バーデン大公世子ベルンハルト殿下、ヘッセン方伯ドナトゥス殿下、ホーエンローエ=ランゲンブルク公フィリップ殿下が、薨去した英国王室/エディンバラ公爵フィリップ王子殿下の葬儀に参列するために自主隔離に入っているとする情報(2021年4月)

 バーデン大公世子ベルンハルト殿下(ツェーリンゲン公子 : His Royal Highness【His Grand Ducal Highness】 Hereditary Prince Bernhard of Baden, Duke of Zähringen : ベルンハルト・エルププリンツ・フォン・バーデン・ヘルツォーク・フォン・ツェーリンゲンBernhard Erbprinz von Baden Herzog von Zähringen
 ヘッセン家当主/ヘッセン方伯ドナトゥス殿下(Donatus : His Royal Highness The Landgrave of Hesse : ハインリヒ・ドナトゥス・プリンツ・ウント・ラントグラーフ・フォン・ヘッセンHeinrich Donatus Prinz und Landgraf von Hessen
 ホーエンローエ=ランゲンブルク公フィリップ殿下(Philipp : His Serene Highness The Prince of Hohenlohe-Langenburg : フィリップ・フュルスト・ツー・ホーエンローエ=ランゲンブルクPhilipp Fürst zu Hohenlohe-Langenburg
 が、薨去した英国王室/エディンバラ公爵フィリップ王子殿下(His Royal Highness The Prince Philip, Duke of Edinburgh)の葬儀に参列するために自主隔離に入っているという記事が出ています。
 この措置は、新型コロナウイルスのパンデミックに伴い要求されているものです。

 フィリップ王子殿下の遺言に従って葬儀に参列するとみられています。

 バーデン大公世子ベルンハルト殿下とホーエンローエ=ランゲンブルク公フィリップ殿下は、祖母がフィリップ殿下の姉(セオドラ殿下とマルガリタ殿下)であり、またフィリップ殿下の母アリス殿下の系統バッテンベルク家はヘッセン(=ダルムシュタット)家の貴賤結婚の子孫です(ダルムシュタット系統=ヘッセン大公室は消滅しており、現在ではヘッセン=カッセル系統のドナトゥス殿下がヘッセン全体の当主となっています)。
追記:
 フィリップ王子殿下とヘッセン方伯ドナトゥス殿下の関係ですが、バッテンベルクがヘッセンの貴賤結婚の子孫であることの他に、ドナトゥス殿下の祖父の弟クリストフ殿下がフィリップ殿下の姉ソフィア殿下と結婚をしていること、ドナトゥス殿下の高祖父(祖父の祖父)ヘッセン方伯フリードリヒ殿下がフィリップ殿下の曾祖母ルイーセ陛下(デンマーク王クリスチャン9世の王妃)の弟にあたるという関係があるようです。

 

 (英語)Prince Philip's close family from Germany is isolating in Ascot for the funeral | Daily Mail Online

For now, Bernhard, Hereditary Prince of Baden; Prince Donatus, Landgrave of Hesse; and Prince Philipp of Hohenlohe-Langenburg are all behind closed doors in a house near Ascot.

 

関連:
 英国王室/エディンバラ公爵フィリップ王子殿下の葬儀に参列する30名についての報道(2021年4月)

訃報(2020年9月29日):元ホーエンベルク公子妃クリスティーネ、薨去(1945~2020)

 2020年9月29日、クリスティーネ・ホーエンベルクChristine Hohenberg)の死亡告知が掲載されています。

 

 (ドイツ語)Trauer: Mag. Christine Hohenberg | SN.at

 

 おそらく、1970年に故ホーエンベルク公子ペーター閣下と結婚し、二女を儲けた後に1980年に離婚した人物かと思われます(離婚後も姓を使用)。
 1945年4月27日生まれの75歳。

 ペーター閣下は、オーストリア皇帝位などを継承するはずだったハプスブルク家のフランツ・フェルディナント大公殿下の貴賤結婚の孫です。

 

関連:
 訃報(2017年12月6日):ホーエンベルク公子ペーター閣下、薨去(1936~2017)

 

結婚(2020年9月26日):ヴァルトブルク=ヴォルフェック=ヴァルトゼー伯女ヴィットーリア殿下とフェルディナント・ロヴレク氏

 2020年9月26日、ヴァルトブルク=ヴォルフェック=ヴァルトゼー伯女ヴィットーリア殿下(Her Illustrious Highness Countess Vittoria of Waldburg-Wolfegg and Waldsee : ヴィットーリア・グレフィン・フォン・ヴァルトブルク・ツー・ヴォルフェック・ウント・ヴァルトゼーVittoria Gräfin von Waldburg zu Wolfegg und Waldsee)とフェルディナント・ロヴレク氏(Ferdinand Lovrek)が結婚したようです。

 ヴィットーリア殿下はドイツおよびオーストリアの名門で歴史上に数々の分枝を持つヴァルトブルク家の一員でヴァルトブルク=ヴォルフェック=ヴァルトゼー公ヨハネス殿下の娘、ロヴレク氏の母親はアウエルスペルク=トラウトソン公女マリア・ベアトリーツェ殿下。
 ヴァルトブルク、アウエルスペルクともに神聖ローマ帝国領邦国家の君主で、後に併合された最上級の家柄です。

 

 (ドイツ語)PressReader.com 世界の新聞 | Hochzeit im Fürstenhaus Waldburg-Wolfegg

 (ドイツ語)Vittoria von Waldburg zu Wolfegg & Waldsee und Ferdinand Lovrek: Traumkleid, Kutsche & Schloss: Diese Hochzeit verspricht viel | BUNTE.de

 

 ヴァルトブルク家関係者、アウエルスペルク=トラウトソン家関係者に加えて、(旧)ヴュルテンベルク王室、(旧)バーデン大公室の方々が参列したようです。

※後で追記するかもしれません。

参列者(一部)/

新郎の両親:
 パウル・ロヴレク氏とマリア・ベアトリーツェ・ロヴレク夫人(アウエルスペルク=トラウトソン公女マリア・ベアトリーツェ殿下)

ヴァルトブルク=ヴォルフェック=ヴァルトゼー家:
 ヴァルトブルク=ヴォルフェック=ヴァルトゼー公ヨハネス殿下
 ヴァルトブルク=ヴォルフェック=ヴァルトゼー公妃ヴィヴィアン殿下

ヴァルトブルク=ツァイル=ホーエネムス系統:
 ヴァルトブルク=ツァイル=ホーエネムス伯子フランツ・クレメンス殿下と伯子妃シュテファニー殿下

アウエルスペルク=トラウトソン家:
 アウエルスペルク=トラウトソン公フランツ・ヨーゼフ殿下

(旧)ヴュルテンベルク王室:
 ヴュルテンベルク公子ミハエル殿下

(旧)バーデン大公室:
 バーデン大公世子ベルンハルト殿下と大公世子妃シュテファニー殿下

 

ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公子ルートヴィヒ=フェルディナント殿下が当主グスタフ殿下を提訴した件、第二審は2020年7月の模様(2020年1月)「もはや事実婚は普通の結婚と同等であり、庶民と事実婚した当主は先祖の遺言に背いている」と主張

 ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公グスタフ殿下(Gustav : His Highness The Prince of Sayn-Wittgenstein-Berleburg : グスタフ・フュルスト・ツー・ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルクGustav Fürst zu Sayn-Wittgenstein-Berleburg)は、デンマーク王女ベネディクテ殿下の息子、つまりデンマーク女王マルグレーテ2世陛下の甥にあたります。

 このザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク家は、先々代のグスタフ・アルプレヒト殿下が、財産相続に厳しい制限を付けています(第三帝国時代)。
 それは、財産相続人は男子であり結婚相手を「貴族・プロテスタント・アーリア人」に限る、としたものです(ただし、完全に詳細な内容は公開されていないはずです)。
 この条件を満たさない結婚をおこなうと即座に財産の相続権を失い、すでに所有している場合それでも失う、というのがこれまでのドイツの判例からほぼ確実視されています。

 先代のリヒャルト殿下は、結局はデンマーク王女と結婚したので、まったく問題なかったのですが、現当主のグスタフ殿下は、庶民のカリーナ・アクセルソン嬢(Carina Axelsson)との結婚を望んだものの、結婚すると財産を相続できなくなります。そして、それは城というか館というか、自分の家を遠い親戚に渡さなければならないことを意味します。

 これが元々の状況で、これに対し、「アーリア人などを条件に含む元々の遺言はナチス時代のものでおかしい」という見解はありました。しかしそれでもドイツの判例からどうにもならないだろうというのがあり、それで二人は結婚せずに一緒に生活していました。

 ところが、2018年あたりからの報道で、リヒャルト殿下の従弟のザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公子ルートヴィヒ=フェルディナント殿下が、グスタフ殿下に対し、自分に財産を譲るよう要求しているとの報道がなされます。
 これが、簡単にいえば、「事実婚はもう普通の結婚と同じなのだから、条件を満たさない人物と事実婚をしているあなたは財産の所有権がない(=財産は私のもの)」ということです(ルートヴィヒ=フェルディナント殿下が次の相続人とみられています)。

 第一審は、グスタフ殿下側弁護士にリッペ公室当主/リッペ公シュテファン殿下が立つという展開がありましたが、ともあれグスタフ殿下側が勝訴。
 ルートヴィヒ=フェルディナント殿下は控訴し、第二審は今年【2020年】7月とのことです。

 この問題は、「“アーリア人”を含む遺言は差別ではないか」(ただしこれだけでは遺言を無効にできないだろうとみられている)に「事実婚と普通の結婚を区別するのは差別ではないか」という問題が絡み、これまでのドイツ王室・貴族関連訴訟で最も面倒なものになるのではないかと思われています。
 また、この件が難しいのは、現実の制度を拒否し自分の意思をつらぬく絶対君主政主義者などのめんどうくさい人たちを除けば、いつかわからないがいつかは事実婚と普通の結婚はドイツでも同等に扱われるのではないかという考えは広範囲にあり、仮にそうだとすると、今回の訴訟でグスタフ殿下が勝利しても、遺言が無効化されない限り殿下が生きている間に殿下が財産を所有できなくなる可能性は残るということもあります。

 付言すると、ドイツでは、過去の当主や一族などの子孫のうち、歴代の本拠地となる城と館を所有している人物が当主とみなされるのが一般的です。これは過去の継承権などとは別の問題で、そう思われています。
 なので、ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公位継承ルールはともかく、敗訴すればグスタフ殿下は廃位された公という社会的にはとてつもなくうれしくない立場になってしまいます。

 あと、グスタフ殿下の母、デンマーク王女ベネディクテ殿下がドイツでの生活をやめて完全にデンマークに戻ることになると、デンマークは王室予算は増やさねばならないのではないかという気もします。

 

 (英語)The (In)Famous Sayn-Wittgenstein-Berleburg Will, Round 3: When There Is An Estate Worth Half a Billion Up For Grabs, That's Apparently Where Cordial Family Relations End

 

訃報(2019年12月20日):アッシュタウン男爵未亡人ドロシー(元プレス公妃)、薨去(1930~2019)

 2019年12月20日、英国のアッシュタウン男爵未亡人ドロシー・メアリー・エリザベス・トレンチDorothy Mary Elizabeth 【Trench】, Baroness Ashtown : 元プレス公妃)が薨去した模様です。
 1930年1月2日生まれの88歳。

 ホッホベルク家のプレス公妃となった後に、英国のアイルランド貴族/故・第7代アッシュタウン男爵ナイジェル・トレンチ閣下と結婚しました。

 

 (英語:情報が閲覧できない場合があります)ASHTOWN – Deaths Announcements – Telegraph Announcements
 (英語)Peerage News: Dorothy, Baroness Ashtown [died 2019]