英国王チャールズ3世陛下即位により、欧州の現在の君主の最も近い共通祖先がヘッセン=ダルムシュタット方伯ルートヴィヒ9世夫妻になった模様(2022年9月)

 欧州の現在の君主の最も近い共通祖先は、1939年~2022年10月8日まで(英国女王エリザベス2世陛下の崩御まで)オランニェ公ヨハン・ウィレム・フリーゾと公妃マリー・ルイーゼ(ヘッセン=カッセル家出身)の夫妻でしたが、チャールズ3世陛下即位に伴い、ヘッセン=ダルムシュタット方伯ルートヴィヒ9世と“大方伯妃”カロリーネ(ツヴァイブリュッケン宮中伯女)夫妻に変わったとみられています。

 この“交代”は、チャールズ3世陛下の父・故エディンバラ公爵フィリップ王子殿下が(旧)ギリシャ王室出身で、その系統からも他の王室との共通祖先が存在したからです。

フランシスクス【フランス】・ラウタ・ファン・アイスマ氏が貴族証明書を受ける(2022年9月)オランダ貴族の承認は20年ぶり

 2022年9月26日、フランシスクス・ラウタ・ファン・アイスマ氏(Franciscus Lauta van Aijsmaフランス・ラウタ・ファン・アイスマFrans Lauta van Aijsma)は、オランダの貴族に関する機関である Hoge Raad van Adel(貴族最高法院)より貴族証明書を受け取りました。
 これにより同氏は、ヨンクヒール(Jonkheer)号と紋章を使用することが出来ます。
 オランダ王ウィレム=アレクサンダー陛下は3月8日に勅令により承認をしています。
 オランダ貴族の承認は20年ぶりとのことです。
(承認は、新しく本人への授与、外国の貴族の編入、古い貴族の子孫であることを認定してのもの、の三種類があり、今回は三つ目ということになるのでしょう)

 アイスマ家(Aijsma : Aysma)は、シェルテ・ファン・アイスマSchelte van Aysma)という、16世紀~17世紀の人物がそこそこ有名らしく、オランダ王国成立後の1825年に子孫にあたる三人の兄弟がオランダ貴族として承認されています。フランス・ラウタ・ファン・アイスマの先祖はその三兄弟の異母弟のようです。
 2018年にシェルテ・ファン・アイスマの再埋葬がおこなわれた際にDNA鑑定がおこなわれています(これがシェルテの遺骨を特定するためだったのか、フランスがシェルテの子孫であることを証明するためだったのかよくわかりませんが……)。

 今回の貴族証明書は“ヨンクヒール”・フランス・ラウタ・ファン・アイスマとその男系子孫に影響を与えるもので、娘は“ヨンクフラウ”・ミランダ・ラウタ・ファン・アイスマ(Jonkvrouw Miranda Lauta van Aijsma)となります。彼の姉妹も生存しているという話があるのですが、書き方を見ると対象とはならないようです。

 

 (オランダ語)Adelsdiploma voor jonkheer Frans Lauta van Aijsma | Nieuwsbericht | Hoge Raad van Adel
 (オランダ語)Erkenning adeldom: jonkheer Frans Lauta van Aijsma – Adel in Nederland
 (オランダ語)Een adellijke titel krijgen kan nog steeds: 'Het is geen bevroren instuut' – EenVandaag

EenVandaagさんはTwitterを使っています: 「Een adellijke titel krijgen kan nog steeds: 'Het is geen bevroren instuut' https://t.co/sfM8vlW7qW」 / Twitter

インタビュー動画(英語 1時間以上):オランダ王子コンスタンティン殿下夫妻へのインタビュー映像(2022年9月)

 オランダ王の弟、オランダ王子コンスタンティン殿下(His Royal Highness Prince Constantijn of the Netherlands, Prince of Orange-Nassau, Jonkheer van Amsberg)とオランダ王子妃ローレンティン殿下(Her Royal Highness Princess Laurentien of the Netherlands, Princess of Orange-Nassau, mevrouw Van Amsberg-Brinkhorst)へのインタビュー映像です。

 

Mo Gawdat:
#209: Prince Constantijn & Princess Laurentien – How Humanity Outshines Royalty in the Netherlands – YouTube

秋篠宮皇嗣(文仁親王)殿下一家がブータン王女ソナム・デチェン・ワンチュク殿下および長男のジグジェ殿下、次男のジグミ猊下(ヴァイローツァナの化身ラマ)と会見(2022年10月)王女の息子を「王子」とするのは(おそらく)誤り

 2022年10月3日、秋篠宮皇嗣殿下(文仁親王 : ふみひと : Prince Fumihito : His Imperial Highness Crown Prince Akishino)及び秋篠宮皇嗣妃殿下(紀子きこKiko : Her Imperial Highness Crown Princess Akishino)、佳子内親王殿下(かこ : Her Imperial Highness Princess Kako of Akishino)、悠仁親王殿下(ひさひと : His Imperial Highness Prince Hisahito of Akishino)は、安倍(元)総理国葬などのために日本を訪問中の、
 ブータン王室のソナム・デチェン・ワンチュク王女殿下(Her Royal Highness Princess Sonam Dechan Wangchuck)および、
 王女殿下の長男のジグジェ・シンゲ殿下(His Serene Highness Jigje Singye)、
 次男の「大訳経法師ヴァイローツァナの化身ラマ」“リンポチェ”・ジグミ・ジッテン猊下(His Eminence【His Holiness】 Tulku Vairotsana【Vairochana】 Rinpoche Jigme Jigten)と会見しました。

 

日テレNEWS:
【懇談】秋篠宮ご一家 ブータンのソナム王女と王子に面会 – YouTube

3日午後、ソナム王女は2人の王子とともに秋篠宮邸を訪れ、秋篠宮ご一家が出迎え、挨拶をされました。秋篠宮ご夫妻と悠仁さまは、2019年にブータンを私的に旅行した際に王女と会われていますが、王子とは初めてだということです。

 

Nippon TV News 24 Japan:
Crown Prince Fumihito meets Bhutan princess – YouTube

 

 秋篠宮ご一家 訪日中のブータン ソナム王女と2人の王子に面会 | NHK | 皇室
 秋篠宮ご一家 ブータン王女らと面会 | TBS NEWS DIG (1ページ)
TBS NEWS DIG よりキャプチャ:

ご一家が面会されたのはブータン国王の妹のソナム・デチェン・ワンチュク王女と、息子の王子、ヴェロチャナ・リンポチェ・ワンチュク殿下、ジグジェ・シンゲ・ワンチュク殿下です。

 

  NHK や日テレNEWSは「王子」を見出しにも使い、 TBS NEWS DIG は「王子」「殿下」まで使用していますが……。

 「王子」は、おそらくですが、誤りではないかと思います。

※それはともかくとして、「TBS NEWS DIG」は、日本の皇族に「さま」、ソナム王女に殿下の敬称なし、王女の息子に「殿下」をつける、という謎の文面になっています。

 

 王女の二人の子息は「王子」ではないのではないかと言いましたので、ブータンの称号と敬称に関して説明しますと……実はよくわかりません!
 なので、ここからの長い文章は話半分で読んでいただけると助かります。

 ブータンには男性には Dasho(ダショー) とアシ Ashi(アシ)という称号なのか敬称なのかよくわからないものがあります。
 これを王族称号、すなわち王子・王女だとしているケースがありますが、貴族なども使用するものであり、国王から叙されればその他の個人も保有します。
 現在の首相も Dasho を所有しており、
 (英語:ブータン政府サイト)Prime Minister – GOV.BT

Dasho Dr. Lotay Tshering
Prime Minister

 他にも、多数の所有者がいます(なお勝手に使用しているケースも多々あるようでますますよくわからない状況です)。

 しかしややこしいことに、王の子供に関しては Dasho や Ashi は(日本語でいう)王子や王女を含意するとしている資料もあります(本当かどうか不明)。

 ブータンは王室公式サイトがないので、公式情報といえるのは、国王陛下の Facebook での表記になるかと思います。
 (英語:ブータン王 公式Facebookアカウント)His Majesty King Jigme Khesar Namgyel Wangchuck | Facebook
 ですが、そもそもゾンカ語(ブータンの言語)を英語に訳す時点で正確さは失われているはずなので、そこもまた考慮しなければいけません。

 (ここからはこの文章を書いている当方の目測?のようなものなので、興味のある方はご自身で調査をお願いします)
 同 Facebook では、当初(王子や王女に) Dasho や Ashi が使われているケースが多かったのですが、やがて His/Her Royal Highness (殿下)とセットになっていきます。
 そして「Prince Dasho」「Princess Ashi」と英語の王子・王女表記と Dasho/Ashi を併記する書き方になり、現在は His/Her Royal Highness (殿下)と Prince/ss(王子・王女)のみを使用しています。
 つまり、 Dasho と Ashi は使用していません。もちろん Dasho や Ashi ではあるのでしょうが、王の子供の Dasho や Ashi に王子や王女の含意があるとすると Prince や Princess にその意味が含まれているので書く必要はないとも言えます(そう判断しているのかどうかはわかりませんが)。
 また、現国王の子息に関して「Gyalsey」という表記がなされるため、これは「Prince」より上位の王子ではないかとも思われます。

 ここまでが一般的な話なのですが、では王女の二人の子息はどうなのか。
 同 Facebook では、男系・女系を問わず、国王の甥や姪(先代国王の孫)に、Prince や Princess はもちろんのこと Dasho や Ashi が使用されていません。のみならず、男系の姪の一人を除き名前に「ワンチュク」が含まれる表記をされているケースもありません(ただし、名前を短く書いているケースが多いのは間違いないのでワンチュクであるかもしれません)。
 また、敬称は「His/Her Serene Highness : HSH」が使用されています。
 これは上記の「Royal Highness」よりランクの低い敬称ですが、王族近親であることを考えれば、日本語で「殿下」とするのは正しいことでしょう。
 よって、殿下ではあるが、王子や王女とする理由は特にない、ということになります。

 王女の長男のジグジェ・シンゲ殿下についてはここで話が終わりますが次男のジグミ・ジッテン猊下に関してはもう少し説明が必要になります。
 猊下は、同国のチベット仏教最高指導者第70代ジェ・ケンポのジグミ・チェダ猊下より、大訳経法師ヴァイローツァナの化身ラマとして認定を受けています。
 上記記事掲載の写真を見ても、小さい方の子供は仏教の僧侶風の装束であることはわかるかと思います。
 よって、宗教の高位聖職者になりますので、(海外の)報道では宗教の高位聖職者としての称号と敬称が使用されています。
 それが王室の公式表記ということになるのかどうかは不明ですが……。
 また、日本では明治維新後には、仏教の高位聖職者と皇族を兼ねていることがないので、日本側の慣習として「このような場合は~とする」という例がありません。
  TBS NEWS DIG は猊下の表記を「ヴェロチャナ・リンポチェ・ワンチュク殿下」としていますが、ヴェロチャナはヴァイローツァナのことであり(当方にはブータンでの発音はわかりませんが)殿下本人の名前ではなく、過去の高僧の名前です。リンポチェは高僧への尊称のためこれもまた本人の名前ではありません。当方の考えではここは(使うならば)「猊下」を使用するべきです。

 

追記:
 王子ではありませんが、(王女を含め)ブータン王位継承順位には並んでいます。
 ジグミ猊下(9歳)はチベット仏教の高僧なので生涯独身が決定しています。

 

追記2:
 ソナム・デチェン・ワンチュク王女殿下の来日の目的の一つ、ブループラネット賞の授賞式にて、父である前王の名代として授賞。
 授賞式には、秋篠宮皇嗣殿下らが臨席。

 秋篠宮ご夫妻 「ブループラネット賞」表彰式に出席 | NHK | 皇室

 

TBS NEWS DIG Powered by JNN:
秋篠宮ご夫妻 地球環境に寄与する国際賞「ブループラネット賞」表彰式に出席|TBS NEWS DIG – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ftrnsKTiaRg

 

ブループラネット賞:
2022(31st)His Majesty Jigme Singye Wangchuck, the Fourth King of Bhutan – YouTube

 

ブループラネット賞@旭硝子財団さんはTwitterを使っています: 「10月5日、2022年(第31回)#ブループラネット賞 表彰式典を開催しました。 今年の受賞者、ジグミ・シンゲ・ワンチュク第4代ブータン王国国王陛下のご名代、ソナム・デチャン・ワンチュク ブータン王国王女殿下と、スティーブン・カーペンター教授(米国)に島村理事長からトロフィーが贈られました。 https://t.co/g35TIxfzZD」 / Twitter

 

 (英語)His Majesty the Fourth King awarded Blue Planet Prize | Kuensel Online

KuenselさんはTwitterを使っています: 「𝗛𝗶𝘀 𝗠𝗮𝗷𝗲𝘀𝘁𝘆 𝘁𝗵𝗲 𝗙𝗼𝘂𝗿𝘁𝗵 𝗞𝗶𝗻𝗴 𝗮𝘄𝗮𝗿𝗱𝗲𝗱 𝗕𝗹𝘂𝗲 𝗣𝗹𝗮𝗻𝗲𝘁 𝗣𝗿𝗶𝘇𝗲 Staff Reporter His Majesty the Fourth King of Bhutan was awarded the 2022 Blue Planet Prize by the Asahi Glass Foundation of Japan. https://t.co/e0ucTswZZk」 / Twitter

デンマーク女王マルグレーテ2世陛下が新たな声明。次男ヨアキム王子殿下の子供たちの称号・敬称についての決定に関して一家が強い失望を表明していることについて(2022年10月)

 2022年10月3日、デンマーク女王マルグレーテ2世陛下(Margrethe II of Denmark : Her Majesty The Queen)は、新たな声明を発表しました。
 次男ヨアキム王子殿下の子供たちの称号・敬称から王子/王女と殿下を取り除くことを決定したことに対して王子夫妻・元妻・最年長の孫であるニコライ殿下らから強い失望が表明されていましたが、それに対応する内容です。

 

 (英語:デンマーク王室 公式サイト)Statement from HM The Queen

 

 謝罪のようなそうでないような文章もありますが。
 しかしこの内容は……。

 ヨアキム王子一家の最大の不満は発表の5日前に唐突に通知されているということなのはほぼ間違いないと思われますし、なぜそうしたかについては、まったく説明がないものです。

 今回の声明に対してヨアキム王子一家がどう反応するかわかりませんが、一定の配慮(?)が示されたことで納得するのか、それは今後の殿下らのコメント待ちということになるでしょう。

 

関連:
 デンマーク女王マルグレーテ2世陛下が、次男ヨアキム王子殿下の子供たちの称号・敬称から王子/王女と殿下を取り除くことを決定、2023年1月から(2022年9月)
 デンマーク王子ヨアキム殿下の前妻/フレデリクスボー女伯爵アレクサンドラ閣下が、ヨアキム殿下の子供らの王子称号が取り除かれることについて「青天の霹靂」「子供たちは追放されたと感じている」(2022年9月)
 デンマーク王子ヨアキム殿下が、子供らの王子称号が取り除かれることについて「子供たちは傷ついている」(2022年9月)