インタビュー記事:ロシア帝室ロマノフ家当主/ロシア女大公マリヤ殿下がウクライナに独立正教会を設置しようとしているキリスト教/コンスタンティノープル全地総主教庁を批判「首位性は儀礼的なもの」「あそこはアンティオキア総主教庁から独立したが今は指示を受けたりしない」「自らが独立を認めた教会へ介入する権利はない」(2018年9月)

※この記事はキリスト教 高位聖職者のニュースと重複します。

 

 ロシア帝室ロマノフ家当主/ロシア女大公マリヤ殿下(Head of the Russian Imperial House : Her Imperial Highness The Grand Duchess Maria Wladimirovna of Russia)が、Interfax のインタビューを受けた模様です。
 元が英語なのか、そのロシア語版の翻訳なのかわかりませんが、英語記事がロシア帝室公式サイトに掲載されています。

 

 (英語:ロシア帝室公式サイト)Russian Imperial House – Grand Duchess Maria of Russia: Constantinople’s position will lead to the splintering of the very foundations of Orthodoxy

 

 キリスト教/東方正教会/全地総主教庁(コンスタンティノープル)が、ウクライナの管轄権を持つロシア正教会モスクワ総主教庁の許諾なしに一方的に「ウクライナへの独立正教会設置準備」を始めたことについて聞かれ、それを批判している内容です(「非常に悲しんでいる」というような言葉もありますが)。

 自らは、聖職者でも歴史家でもないため専門家ではないと前置きしつつも、全地総主教庁(コンスタンティノープル)の首位性は儀礼的なものであり実質はないとし、コンスタンティノープルはもともとはアンティオキア総主教庁から独立したが(大昔ですが)その後に指示を受けたりしていないことを例示し(これは微妙です。少なくとも初期の総主教らはアンティオキアに叙任されていたという話もあります。とはいえ現在はもちろんそうではありません)どの教会であれ独立正教会と認めた教会へは介入する権利は持っていないと述べています。

 また、東方正教会の理論としてどうなのかはわかりませんが、「母なる教会」(Mother Church)と「娘である教会」(Daughter Church)は、母が娘の独立を認めたら「姉妹教会」(Sister Church)になる、という表現を用いています(あくまで表現です。この表現は初めて見ましたが……通常は独立を認めても「母なる教会」は「母なる教会」と表現されます)。

 結論として、コンスタンティノープル全地総主教庁の行動は、東方正教会を分裂させるものだ、としています。

 

 全体の話の流れはロシア正教会側の主張とほぼ同じですが、「母なる教会」関連の表現ではさらに踏み込んでおり、これはあるいはロシア正教会モスクワ総主教庁とは立場が違うかもしれません(この理屈であれば、ロシア正教会モスクワ総主教庁が独立を認めた教会側はロシア正教会を「母なる教会」と呼ぶ必要はないことになりますので)。

 

ブラジル帝室(ヴァソウラス系統)当主/ルイス殿下が、ブラジル独立宣言196周年のメッセージ(2018年9月)

 2018年9月7日、ブラジル帝室(ヴァソウラス系)当主のブラジル皇子/オルレアン=ブラガンサ公子ルイス殿下(His Imperial and Royal Highness Prince Luiz of Brazil, Prince of Orléans-Braganza, Head of the Imperial House of Brazil)によるブラジル独立宣言196周年のメッセージが公開されています。

 

Pró Monarquia – MENSAGEM OFICIAL DO CHEFE DA CASA IMPERIAL… | Facebook

 

ガーナ伝統的君主:アキーム・アブアクワ王ナナ・オフォリ・アッタ1世(現大統領の母方の祖父)崩御75周年式典。アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下が臨席(2018年8月)

 2018年8月23日、アキーム・アブアクワ王ナナ・オフォリ・アッタ1世Nana Ofori Atta INana Sir Ofori Atta I, KBE)の崩御から75周年の式典がおこなわれました。

 ガーナの歴史では、The Big Six(偉大な6人)と呼ばれる統一黄金海岸会議という政党を創設したり、有力ポストで活動したりするなどした六人がいます。
 正直この六人がなにをやったのか細かいことはよくしらないのですが、
 六人のうち、ジョセフ・ボアキエ・ダンクアJoseph Boakye DanquahJ・B・ダンクア)はナナ・オフォリ・アッタ1世の弟、
 ウィリアム・オフォリ・アッタは息子、
 エドワード・アクフォ=アド大統領は娘婿(その間に生まれた子供が現在のガーナ共和国大統領ナナ・アド・ダンクワ・アクフォ=アド閣下(His Excellency Nana Addo Dankwa Akufo-Addo)、
 となっているようです。

 式典は現在のアキーム・アブアクワ王オサグイェフオ・アモアティア・オフォリ・パニン陛下(His Royal Majesty Osagyefuo Amoatia Ofori Panin, Okyenhene【King of Akyem Abuakwa】)が執りおこない、アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下(アシャンティ皇帝 : His Royal Majesty Otumfuo Osei Tutu II, King【Emperor】 of the Ashanti Kingdom【Empire of Ashanti】【Asantehene of Asante】, Kumasehene of Kumasi)が招待に応じ訪問しました。

 なお、ジェリー・ジョン・ローリングス元大統領や、政治家ら多数も参列。

 

 両王は友好関係を発展させていくことを宣言した模様です。

 

 (英語)Photos: Otumfuo’s Historic Visit To Okyenhene
 (英語)Asantes, Akyems Will Continue To Live In Peace – Otumfuo, Okyenhene Declare
 (英語)Okyenhene Not My Rival -Otumfuo – Daily Guide Africa

 

ADDRESS BY THE OKYENHENE, OSAGYEFUO… – Office of the Okyenhene | Facebook

The President of the Republic, Nana Addo Dankwa Akufo-Addo

Asantehene, Otumfuo Osei Tutu II

First Lady, Mrs Rebecca Akufo-Addo

※アキーム・アブアクワ王のスピーチですが、呼びかけの一人目が大統領、二人目がアシャンティ王、三人目がファーストレディー(大統領の妻)となっています。なかなか興味深い順番ではあります。

 

 (英語)Asantehene Wants Role Of Traditional Rulers Defined In The Constitution

 式典当日スピーチ、アシャンティ王は、1992年憲法の改正を提案。
 伝統的君主の役割や権限の明確化を求めているようですが……。
 はっきりいって難航必至だと思います。

 なお、同記事によれば、今回の式典、アシャンティ王は、21人の大首長(アシャンティ王は King of Kings なので、この21人あたりが本当は King 扱いされるべきだと考える人がいる)を連れてきたそうです。

 

 式典の翌日、なぜかアシャンティ王が大統領を訪問。

 (英語)Akufo-Addo hosts Otumfuo at Jubilee House | General News 2018-08-24
 (英語)Akufo-Addo Hosts Otumfuo At Jubilee House
 (英語)Otumfuo Meets Nana

 20人の大首長を連れて、となっています(1人減りましたね)。

 なお、数ヶ月前にアシャンティ王が大統領近親および側近に対して激怒した件がありました。
 原因のひとつが、アシャンティ王の評判を落として、彼らの王であるアキーム・アブアクワ王の権威を上げようというような(わかるようなわからないような)動機ではないかと現在では見られているようですが、今回のアシャンティ王とアキーム・アブアクワ王との会見により、とりあえず事態は収束したとみていいのではないでしょうか。

 (英語)Gabby Otchere-Darko pays homage to Otumfuo Osei Tutu at Okyehene's durbar (Photo) ▷ Ghana news | YEN.COM.GH
 (英語)Akyem and Ashanti advance relations | Ghana News Agency (GNA)

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Asantehene Wants Role Of Traditional Rulers Defined In The Constitution https://t.co/putaBIqMrf"

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Photos: Otumfuo’s Historic Visit To Okyenhene https://t.co/fqUF0kBjuM"

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Asantes, Akyems Will Continue To Live In Peace – Otumfuo, Okyenhene Declare https://t.co/V3WLnMiWjb"

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Akufo-Addo Hosts Otumfuo At Jubilee House https://t.co/FjplVTflkV"

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Otumfuo Meets Nana https://t.co/nRbUWGleNh"

 

Yen.com.gh – Gabby Otchere-Darko got a chance to meet the… | Facebook

 

Yen.com.gh – The Rawlings' commended the Otumfuo and the… | Facebook

 

 (英語)Otumfuo calls on former president Rawlings ▷ Ghana news | YEN.COM.GH

ジェリー・ジョン・ローリングス元大統領のアカウント:
OTUMFUO CALLS ON RAWLINGS Former… – Jerry John Rawlings | Facebook

 

ガーナ共和国アシャンティ王国の学者がコフィー・アナン(元)国連事務総長閣下の葬儀を王と同格の「国葬」にするべきと主張(2018年8月)神聖なる「黄金の剣」の名を称号として授与されているため

 報道によりますと、ガーナ共和国アシャンティ王国の学者が、2018年8月18日に薨去した国際連合第7代事務総長コフィー・アナン閣下(His Excellency Mr【Dr?】 Kofi Annan)閣下の葬儀を、アシャンティ王と同格の「国葬」にするべきと主張しているようです。

 

 (英語)Kofi Annan earns traditional burial rite typical of Asante Kings – 3newsgh
 (英語)Kofi Annan to receive special burial akin to Asante kings – The Nubian Times
 (英語)Kofi Annan earns traditional burial rite typical of Asante Kings – Historian | General News 2018-08-20

 

 2002年にコフィー・アナン閣下は、アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下(アシャンティ皇帝 : His Royal Majesty Otumfuo Osei Tutu II, King【Emperor】 of the Ashanti Kingdom【Empire of Ashanti】【Asantehene of Asante】, Kumasehene of Kumasi)より、王が戴冠時などに使う神聖なる「黄金の剣」(Busumuru【ブスムル?】 または Busumro【ブスムロ?】 と表記されています)の名前を称号として受けていることが根拠として挙げられています。
 この名称を授与すること自体が前例のなかったことなので、葬儀に関することも前例がないわけですが、どのような結論が出るでしょうか。

 なお、下記記事によると、葬儀(ガーナでの正式な葬儀?)については、(ガーナにいる)遺族(といっても日本人の感覚では遠い親戚かもしれませんが)が正式に陛下に薨去を報告してからということです(またアナン閣下は「chief」となっているので、アシャンティでの状況はよくわからないのですが、首長の位を継いでいることになっているのかもしれません。ともあれ死亡表記を「薨去」にしました)。

 (英語)Annan's funeral arrangement to be announced after Otumfuo's meeting with family | General News 2018-08-20

 

その他アナン氏死去の報道:
 (英語)How Kofi Annan earned tittle ‘Busumuru’ from Asantehene – Otec FM Online
 見出しにくだんの「Busumuru」を持ってきています(が、その話はほんの少しです)。
 
 (英語)Kofi Annan's death; Ghana flag to fly at half-mast for one week – Graphic Online

 

2002年に称号を授与されたときの報道など:

 (英語:国際連合公式サイト)In Ghana, Annan receives honorary title from Ashanti people | UN News

Last year, while visiting Sierra Leone, Mr. Annan also received a traditional title, equivalent to a “great warrior,” in recognition of his work.

 シエラレオネでも称号を受けているようですが、どのくらいの格式かは不明(国連のサイトでアフリカの称号について考えることになろうとは……)。
 なお「Busumuru」表記です。

 (英語)Ghana: Busumuru Kofi Annan – allAfrica.com
 こちらも「Busumuru」表記です。

 (英語)Asantehene confers rare title on U.N. sec-general | General News 2002-08-16
 こちらは「Busumro」表記です。

 

敬称表記修正に関する追記:
 日本国行政府が弔意メッセージにおいて英語の敬称に(H. E.)【His Excellencyのこと】を使用しているので、それを使用すると同時に、こちらではさらに対応する日本語として「閣下」を使用します。

 アナン元国連事務総長の逝去を受けた安倍総理大臣による弔意メッセージの発出 | 外務省
 アナン元国連事務総長の逝去を受けた我が国によるガーナへの弔意メッセージの発出 | 外務省

 

関連:
 ガーナ:アナン(元)国連事務総長閣下の国葬に、オランダのベアトリクス前女王陛下(王女殿下)とメイベル妃殿下、ノルウェー皇太子妃メッテ=マリット殿下が臨席(2018年9月)棺が国旗に覆われ遺体の顔すら公開されなかったので議論に「彼は『黄金の剣』だから」説も

 

インタビュー記事(英語):ハプスブルク家のオーストリア大公イムレ殿下へのインタビュー記事(2018年8月)オーストリア皇帝“福者”カール1世陛下の曾孫

 オーストリア帝室/ハンガリー王室/ハプスブルク=ロートリンゲン家のオーストリア大公イムレ殿下(オーストリア皇子 : ハンガリー王子 : ベーメン王子 : His Imperial and Royal Highness Archduke Imre of Austria, Prince Imperial of Austria, Prince Royal of Hungary and Bohemia)へのインタビューの記事です。

 8月21日にアイルランド共和国のゴールウェイ大聖堂でおこなわれる催しに殿下が参列予定とのことです。

 

 イムレ大公殿下は、キャスリーン妃殿下との間に、マリア=ステラ大公女殿下とマグダレーナ大公女殿下の二子があります。

 

 (英語)Advertiser.ie – 'We feel no nostalgia for the imperial era'

Galway Advertiserさんのツイート: "It's not everyday you meet royalty! HRH Archduke Imre de Habsbourg-Lorraine of Austria is from a family which has dominated European history from the Holy Roman Empire to the… https://t.co/4joPqYsAbU"

 

 イムレ大公殿下が、自分自身の人生や、オーストリア皇帝カール1世陛下夫妻や帝国崩壊後、カール1世列聖について語っています。

 なお、殿下の発言から、ローマ教皇“聖”ヨハネ・パウロ2世聖下の父(カロル・ユゼフ・ヴォイティワ息子と同名)は、カール1世の名前にちなんで自分の息子のファーストネームをカロルにしたと取れますが……(初めて聞きました。というか自分自身と同じにしただけだと思い込んでましたが、そういえば命名の理由を記述したものを見た記憶がない……)。