誕生(2020年4月27日):ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ザイン公子ヨハン・フリードリヒ・ザレンティン殿下

 2020年4月27日、ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ザイン公子ヨハン・フリードリヒ・ザレンティン殿下(His Serene Highness Prince Johann Friedrich Salentin of Sayn-Wittgenstein-Sayn : ヨハン・フリードリヒ・ザレンティン・プリンツ・ツー・ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ザインJohann Friedrich Salentin Prinz zu Sayn-Wittgenstein-Sayn)が誕生したようです。
 ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ザイン公子カジミール殿下(Casimir)と公子妃アラナ殿下(Alana)の第一子となります(カジミール殿下には前妻コリンナとの間に一子あり)。

 今回誕生の殿下は、名前のうちザレンティンSalentin)で呼ばれるとしているところもあるようです。

 

 (ドイツ語)Casimir & Alana zu Sayn-Wittgenstein: Sie zeigen ihren kleinen Sohn | BUNTE.de

 

Almanach de GothaさんはTwitterを使っています 「Prince Johann Friedrich SALENTIN Eduard Brady Maria Casimir, born Koblenz 27-4-2020 to Prince and Princess Casimir zu Sayn-Wittgenstein-Sayn」 / Twitter

 

Alana BunteはInstagramを利用しています:「We are delighted to announce the birth of our son Johann Friedrich Salentin on April 27th at 1:05am, weighing 8lbs 4oz. The admiration we…」

 

Schloss Sayn | Facebook

 

Geert JanssensさんはTwitterを使っています 「Today in the mailbox the card from Prince Casimir and Princess Alana of Sayn-Wittgenstein-Sayn and the new born prince Johann Friedrich Salentin. @royalresponses #royalreplies https://t.co/B2sVDvMLmk」 / Twitter
https://twitter.com/GeertJanssens68/status/1291299401282052096

 

訃報(2020年4月24日):ドーナ=シュロビッテン城伯爵女・伯爵女アレクサンドラが薨去(1934~2021)

 2020年4月24日、ドーナ=シュロビッテン城伯爵女・伯爵女アレクサンドラ(Burgravine and Countess Alexandra of Dohna-Schlobitten : アレクサンドラ・ブルクグレフィン・ウント・グレフィン・ツー・ドーナ=シュロビッテンAlexandra Burggräfin und Gräfin zu Dohna-Schlobittenアレクサンドラ・グレフィン・ドーナAlexandra Gräfin Dohna)が薨去したようです。
 1934年8月8日生まれの85歳。

 

 (ドイツ語)Trakehner Verband: Abschied von Alexandra Gräfin Dohna

誕生(2020年3月24日):クロエ・プリンツェッシン・フォン・ザクセン=コーブルク・ウント・ゴータ嬢

 2020年3月24日とみられていますが、クロエ・プリンツェッシン・フォン・ザクセン=コーブルク・ウント・ゴータChloe Prinzessin von Sachsen-Coburg und Gotha)が誕生という情報が出ています。
 ダニエル・プリンツ・フォン・ザクセン=コーブルク・ウント・ゴータ氏(Daniel Prinz von Sachsen-Coburg und Gotha)夫妻の第二子・長女で、同氏の両親の結婚は一般的にザクセン=コーブルク=ゴータ公室の貴賤結婚とみなされている為、称号表記ではなく名前表記のみにしておきます。
 夫妻には、第一子・長男のチャドウィック・プリンツ・フォン・ザクセン=コーブルク・ウント・ゴータChadwick Prinz von Sachsen-Coburg und Gotha)がいます。

 

 (英語)Eurohistory: The Newest QVD: A Little Saxe-Coburg and Gotha Has Arrived!

 

前ベルギー王アルベール2世陛下の娘であることが確定したデルフィーヌ・ボエルが姓を変える(デルフィン・ファン・サクセン=コブルフ or デルフィーヌ・ド・サクス=コブール)つもりだとフランデレン地域のメディアが報道している模様(2020年1月)

 ウェブ上でニュースソースは見つからなかったのですが、前ベルギー王アルベール2世陛下(His Majesty King Albert II of Belgium)の娘であることが確定したデルフィーヌ・ボエルDelphine Boël)が姓を変えるつもりであるとフランデレン地域のメディアが報道しているという話が出ています。

関連:
 前ベルギー王アルベール2世陛下が弁護士を通じて、 DNA 検査の結果はデルフィーヌ・ボエルの生物学上の父がアルベール2世であることを示していることを発表(2020年1月)

 ウェブ上で見つけられないうえに、「親しい友人の話」だそうなので、信用度には疑問符が付きますが、彼女はオランダ語ではデルフィン・ファン・サクセン=コブルフDelphine Van Saksen-Coburg)、フランス語ではデルフィーヌ・ド・サクス=コブールDelphine De Saxe-Cobourg)を選ぶとされています。
 ドイツ語ではデルフィーネ・フォン・ザクセン=コーブルクDelphine Von Sachsen-Coburg)となるでしょうか。

※なお、彼女は、ベルギー王室構成員が使用するベルギーを意味する姓、「ド・ベルジック」「ファン・ベルヒエ」「フォン・ベルギエン」も選択可能です。いずれにせよ、ベルギー王フィリップ陛下の許諾が必要とも報道されていますが、詳細な法的手続きなどはよくわかりません。

 

 真偽もまだ不明ですが、加えて言いますと、今のところ彼女は法律上の父親である“ヨンクヒール”・ジャック・ボエルと法律上の縁が切れたわけではなく(と言いますか、切れたとする報道がありません)、従って法律上はベルギー貴族の“ヨンクフラウ”であることになる、と思います
 姓を変えるだけでは法律上の父親と完全に縁を切ることになるわけではないと思うので、ザクセン=コーブルク系統の姓になっても、ベルギー貴族の“ヨンクフラウ”であり続けるのではないかと思いますが……。

 

続報:
 前ベルギー王アルベール2世陛下の娘であることが確定したデルフィーヌ・ボエルがベルギー王女に(2020年10月)子供二人もジョゼフィーヌ王女殿下とオスカル王子殿下に

 

ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公子ルートヴィヒ=フェルディナント殿下が当主グスタフ殿下を提訴した件、第二審は2020年7月の模様(2020年1月)「もはや事実婚は普通の結婚と同等であり、庶民と事実婚した当主は先祖の遺言に背いている」と主張

 ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公グスタフ殿下(Gustav : His Highness The Prince of Sayn-Wittgenstein-Berleburg : グスタフ・フュルスト・ツー・ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルクGustav Fürst zu Sayn-Wittgenstein-Berleburg)は、デンマーク王女ベネディクテ殿下の息子、つまりデンマーク女王マルグレーテ2世陛下の甥にあたります。

 このザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク家は、先々代のグスタフ・アルプレヒト殿下が、財産相続に厳しい制限を付けています(第三帝国時代)。
 それは、財産相続人は男子であり結婚相手を「貴族・プロテスタント・アーリア人」に限る、としたものです(ただし、完全に詳細な内容は公開されていないはずです)。
 この条件を満たさない結婚をおこなうと即座に財産の相続権を失い、すでに所有している場合それでも失う、というのがこれまでのドイツの判例からほぼ確実視されています。

 先代のリヒャルト殿下は、結局はデンマーク王女と結婚したので、まったく問題なかったのですが、現当主のグスタフ殿下は、庶民のカリーナ・アクセルソン嬢(Carina Axelsson)との結婚を望んだものの、結婚すると財産を相続できなくなります。そして、それは城というか館というか、自分の家を遠い親戚に渡さなければならないことを意味します。

 これが元々の状況で、これに対し、「アーリア人などを条件に含む元々の遺言はナチス時代のものでおかしい」という見解はありました。しかしそれでもドイツの判例からどうにもならないだろうというのがあり、それで二人は結婚せずに一緒に生活していました。

 ところが、2018年あたりからの報道で、リヒャルト殿下の従弟のザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公子ルートヴィヒ=フェルディナント殿下が、グスタフ殿下に対し、自分に財産を譲るよう要求しているとの報道がなされます。
 これが、簡単にいえば、「事実婚はもう普通の結婚と同じなのだから、条件を満たさない人物と事実婚をしているあなたは財産の所有権がない(=財産は私のもの)」ということです(ルートヴィヒ=フェルディナント殿下が次の相続人とみられています)。

 第一審は、グスタフ殿下側弁護士にリッペ公室当主/リッペ公シュテファン殿下が立つという展開がありましたが、ともあれグスタフ殿下側が勝訴。
 ルートヴィヒ=フェルディナント殿下は控訴し、第二審は今年【2020年】7月とのことです。

 この問題は、「“アーリア人”を含む遺言は差別ではないか」(ただしこれだけでは遺言を無効にできないだろうとみられている)に「事実婚と普通の結婚を区別するのは差別ではないか」という問題が絡み、これまでのドイツ王室・貴族関連訴訟で最も面倒なものになるのではないかと思われています。
 また、この件が難しいのは、現実の制度を拒否し自分の意思をつらぬく絶対君主政主義者などのめんどうくさい人たちを除けば、いつかわからないがいつかは事実婚と普通の結婚はドイツでも同等に扱われるのではないかという考えは広範囲にあり、仮にそうだとすると、今回の訴訟でグスタフ殿下が勝利しても、遺言が無効化されない限り殿下が生きている間に殿下が財産を所有できなくなる可能性は残るということもあります。

 付言すると、ドイツでは、過去の当主や一族などの子孫のうち、歴代の本拠地となる城と館を所有している人物が当主とみなされるのが一般的です。これは過去の継承権などとは別の問題で、そう思われています。
 なので、ザイン=ヴィトゲンシュタイン=ベルレブルク公位継承ルールはともかく、敗訴すればグスタフ殿下は廃位された公という社会的にはとてつもなくうれしくない立場になってしまいます。

 あと、グスタフ殿下の母、デンマーク王女ベネディクテ殿下がドイツでの生活をやめて完全にデンマークに戻ることになると、デンマークは王室予算は増やさねばならないのではないかという気もします。

 

 (英語)The (In)Famous Sayn-Wittgenstein-Berleburg Will, Round 3: When There Is An Estate Worth Half a Billion Up For Grabs, That's Apparently Where Cordial Family Relations End