ジョージア王室【グルジア王室】グルジンスキー系統のジョージア王女アナ殿下(Her Royal Highness Princes Anna of Georgia : アナ・バグラチオニ=グルジンスキー公女 : Princess Anna Bagrationi-Gruzinsky)と父で王室当主のジョージア皇太子ヌグザル殿下(His Royal Highness Crown Prince Nugzar of Georgia : ヌグザル・バグラチオン=グルジンスキー公子 : Prince Nugzar Bagration-Gruzinsky : ヌグザル・バグラチオニ=グルジンスキー公子 : Prince Nugzar Bagrationi-Gruzinski : Batonishvili : Tsarevich)は、アナ殿下の元夫で、対立しているムフラニ系ジョージア王室当主/ジョージア皇太子ダヴィト殿下(ムフラニ公 : His Royal Highness The Crown Prince Davit of Georgia, Royal Prince of Kartli (Batonishvili), Prince of Mukhrani and Mukhran Batoni : ダヴィト・バグラチオニ=ムフラネリ公子 : Prince Davit Bagrationi-Mukhraneli : ダヴィト・バグラチオン=ムフランスキー公子 : Prince Davit Bagration-Moukhransky)を提訴した模様です。
(英語)Georgian ‘royal divorcees’ face-off in court over right to the throne
二人は王朝の統合のために結婚し、一子・ジョージア王子ギオルギ殿下(His Royal Highness Prince Giorgi of Georgia : ギオルギ・バグラチオン・バグラチオニ・ムフラン・バトニシュヴィリ王子 : Prince Giorgi Bagration Bagrationi Mukhran Batonishvili : ギオルギ・バグラチオニ=ムフラネリ公子 : Prince Giorgi Bagrationi-Mukhraneli : ギオルギ・バグラチオン=ムフランスキー公子 : Prince Giorgi Bagration-Moukhransky)を儲けていますが、その後離婚しています。
また、アナ殿下はその前の結婚により二女を儲けているとされます(追記:ヌグザル殿下系のサイトでは二女子とも王女となっています)。
ヌグザル殿下は現在、当主は後継者を指名できるとしています。ムフラニ側が立場を譲らないならば、アナ殿下の後は、殿下の二人の娘のどちらか(なにせすでに王女にしているので)を後継者と指名するだろうことを示唆しています。
今回の提訴は、長年の対立の末ではありますが、「ヌグザル殿下側の許可なしにダヴィト殿下が王室の代表者であるようなことをいっているのをやめるよう要求する」もののようです。
記事で取り上げられている件のひとつは(前々から話の出ている)、ダヴィト殿下が英国女王エリザベス2世陛下に授与(グロスター公爵リチャード王子殿下夫妻が代理で受け取ったもの)したジョージア鷲騎士団のグランド・カラーが、約3000ポンド(=約44万円)の寄付をすれば誰にでも手に入る疑惑です。
なお、記事とは関係なく、また日本の鳩山由紀夫(元)総理など政治家が同騎士団の叙任を受けているという話もあります(階級や、買ったのか無料で貰ったのかなどまったくわかりません)。
さらに、ダヴィト殿下側弁護士が、「ジョージア正教会【グルジア正教会】がおこなったDNA検査」によって、ヌグザル殿下らはバグラチオン王朝の一員でない(男系でない)ことが証明されたという主張をしているようですが、これに対し、検査機関がこれを否定(そもそもその検査機関は教会と関係ないとのコメント)。
DNAによる否定をしてくるというのは、王室関連では一番のタブーですが、提訴直後でこの状況では、どこまで泥沼化するのかわかったものではありません。
はたして、キリスト教/東方正教会/ジョージア正教会【グルジア正教会】の首座/全ジョージアのカトリコス=総主教イリア2世聖下(イリヤ2世 : His Holiness Catholicos-Patriarch Ilia II of All Georgia)が夢見る王政復古はこれで潰えてしまうのか。聖下の健康状態を含めて予断を許さない状況となってきました。
追記:
上記以外にも、ダヴィト殿下によるアナ殿下への暴力疑惑(DV疑惑)など、ダヴィト殿下の個人的な信頼感の失墜は避けられない状況です(追記:ダヴィト殿下はジョージアを出国したようです)。
ムフラニ系男系男子による王政復古は、不可能となった感があり、ギオルギ殿下の成人を待たずして、もはや大部分の人々の熱は冷めてしまっています。
しかしグルジンスキー系の主張通りに、いきなりの女子→女系可能(アナ殿下の長女イリナ・バグラチオニ=グルジンスキー嬢)による継承はバグラチオン王朝の復古とも受け止めにくいという前提もあります。
東方正教会自体が、コンスタンティノープルのいい加減な行動により教会分裂に突入しており、王政復古を支援するどころではなくなっています。ジョージア正教会もイリア2世聖下を最後に王政復古に積極的な首座を迎えることはないでしょう。
以上のことから、ジョージア王政復古の可能性は潰えたのではないかと判断していいでしょう。
とはいえ、王政復古がなかろうと、王室は一定の権威を持つものであり、その王室当主としての役割は将来的に誰が担うことになるのか。
ダヴィト殿下がジョージア国内に戻らないとするならば、グルジンスキー系統が正統な王室とされていくでしょう。ヌグザル殿下、アナ殿下の次は、アナ殿下の一回目の結婚の第一子・長女のイリナ・バグラチオニ=グルジンスキー嬢、第二子・次女のマリアム・バグラチオニ=グルジンスキー嬢、二回目の結婚で長男のギオルギ殿下の誰かということになりますが、イリナ嬢もまだ未成年であり、本人がどの程度興味を持っているかということすらわかりません。