ルーマニア王カロル2世の再埋葬とそれに伴う礼拝(葬儀)など(2019年3月)ラドゥ王子殿下、ソフィア王女殿下、マリア王女殿下、”元ルーマニア王子”ニコラエ・メドフォース=ミルズ氏夫妻、“称ルーマニア王子”パウル・ホーエンツォレルン氏一家らが参列

 2019年3月8日~3月9日にかけて、ルーマニア王カロル2世陛下(Carol II of Romania)の葬儀・再埋葬などがおこなわれました。

 ルーマニア王カロル2世ですが、王位を手放し出国後、ポルトガル共和国のエストリルで崩御し、同地で埋葬されました。
 その後、ルーマニアに棺が戻され再埋葬がおこなわれましたが、王陵であるクルテア・デ・アルジェシュ大聖堂ではなくその外のクルテア・デ・アルジェシュ修道院におこなわれています。

 今回のさらなる再埋葬の件ですが、キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会の聖職者らが、王は代々の王陵に埋葬されることが望ましいという見解を述べていたことや、孫で現在のルーマニア王室当主/ルーマニア王位守護者マルガレータ陛下(Her Majesty Margareta, the Custodian of the Crown of Romania : ルーマニア皇太子マルガレータ殿下 : Her Royal Highness Crown Princess Margareta of Romania)は、おそらくそのようなことを積極的に望んではいなかっただろうこと(カロル2世の息子で、マルガレータ陛下の亡父である旧ルーマニア王ミハイ1世陛下はカロル2世とは会おうとせず、当時の再埋葬にも臨席せず)。そして、カロル2世の年長系統の男系の孫の“ルーマニア王子パウル殿下”にはこのような要望はあるでしょうが、2015年の違法な不動産取引の件以降、もともと大きくなかった発言権はほぼゼロになっており(公式サイトも消滅しました)、まとめるとルーマニア正教会主導の出来事なのではないかと思います。

 礼拝はルーマニア正教会の、
 トゥルゴヴィシュテ大主教ニフォン座下(個人の称号として府主教 : His Eminence Hon Metropolitan Nifon, Archbishop of Targoviste)、
 アルジェシュ・ムスチェル大主教カリニク座下(His Eminence Archbishop Calinic of Argeș and Muscel)
 ヴルチャ大主教ヴァルサヌフィエ座下(His Eminence Archbishop Varsanufie of Vâlcea)、
 らが執り行いました。

 

TRINITAS TV:
Osemintele regelui Carol al II-lea au fost așezate în noua catedrală regală – YouTube

 

短い映像/
CasaRegalaaRomaniei(ルーマニア王室公式チャンネル):
Ceremonia funerară Carol al II-lea, prima seară – YouTube

 

途中から切れる映像(削除されるかもしれません)/
CasaRegalaaRomaniei(ルーマニア王室公式チャンネル):
Regele Carol al II-lea înmormântat la Curtea de Argeș – YouTube

 

 以下、動画より主な参列者。

左から、ラドゥ王子殿下、ソフィア王女殿下、マリア王女殿下、ニコラエ氏:

 

左から、ラドゥ王子殿下、ソフィア王女殿下、マリア王女殿下、ニコラエ氏夫妻:

 

パウル・ホーエンツォレルン氏一家:

 

 参列者ですが、マルガレータ陛下の名代として、夫のルーマニア王子ラドゥ殿下(His Royal Highness Prince Radu of Romania)、妹のルーマニア王女ソフィア殿下(Her Royal Highness Princess Sophia of Romania)、妹のルーマニア王女マリア殿下(Her Royal Highness Princess Maria【Marie】 of Romania)が参列しています。
 一方、マルガレータ陛下及びすぐ下の妹で王位継承順位第1位のエレーナ王女殿下は参列していません。エレーナ王女殿下の子息ながら、一度与えられた「ルーマニア王子」の称号と「殿下」の敬称、そしてルーマニア王位継承権を剥奪された”元ルーマニア王子”のニコラエ・メドフォース=ミルズ氏(Nicolae Medforth-Millsニコラス・メドフォース=ミルズ氏 : Nicholas Medforth-Mills)とアリナ夫人は参列していますが、今のところの継承順位では将来的に王室当主となることになるエリサベタ・カリナ・デ・ロムニエ・メドフォース=ミルズ嬢(Elisabeta Karina de Roumanie Medforth-Mills)は参列していません。
 そして、ルーマニア王室公式ニュース配信サイト掲載の写真では、なるべくニコラエ氏をのせないように写真を選んでいるようにも思え、同王室は今後どうしたいのかと首をかしげる次第(いつものことですが)。

 そして、ルーマニア王子パウル殿下(ポール王子 : His Royal Highness Prince Paul of Romania)を称するパウル・ホーエンツォレルン氏(パウル=フィリップ・ホーエンツォレルンPaul-Philippe Hohenzollernパウル・ランブリノPaul Lambrino)とリア夫人、子息のカロル・フェルディナンド・ホーエンツォレルンCarol Ferdinand Hohenzollern)が、カロル2世の孫夫妻及び曾孫として参列しています。
 カロル2世は、父フェルディナンド1世らに内密で1回目の結婚をし、その間に生まれたのが故カロル・ランブリノ氏で、パウル氏はその長男です。この結婚は強制的に無効化されましたが、数十年後に各国の裁判所が有効と認め(ただしこれは生まれた子供へルーマニア王室に関する権利を認めたわけではありません)、またルーマニア正教会の教会法上合法な結婚であったことから教会内部に立場を支持する主教らも存在しました。
 故カロル氏は自らの出自に関する承認を求めたわけですが、一方子息のパウル氏は、自らがルーマニア王室当主と称するようになります。この主張に関しては細かいところで一定していませんでした。王室当主は自分ただ一人とする場合と、叔父である故ルーマニア王ミハイ1世陛下が王位についていたことは事実であることから王室当主の座は二つあると称する場合とがありました。
 教会内部以外にもその主張を支持する人々もいたのですが、上述した通り、2015年に違法な不動産取引で自宅軟禁に置かれ、以後ふるわない状態です。
 なお、妻のリア夫人との間に今回同席した子息がいるわけですが、リア夫人の生年の情報が誤りでなければ60歳での出産ということになり、なんといいますか、疑問視する意見もあります。

 

 (ルーマニア語:ルーマニア正教会通信)„Un act de recuperare istorică și comemorare liturgică”: Regele Carol al II-lea reînhumat alături de fiul său – Basilica.ro
 (ルーマニア語:ルーマニア正教会通信)Mesajul Înaltpreasfințitului Părinte Mitropolit Nifon la reînhumarea Regelui Carol al II-lea (Integral) – Basilica.ro

 (ルーマニア語:ルーマニア王室公式ニュース配信サイト)Ceremonia funerară a Regelui Carol al II-lea | Familia Regală a României / Royal Family of Romania

 

Basilica.roさんのツイート: "Regele Carol al II-lea a murit în exil, în Portugalia, pe 4 aprilie 1953 şi este singurul Rege al României care a fost înhumat până acum în afara unei biserici. https://t.co/2A4CJMUKdM"

 

Basilica.roさんのツイート: "„Mutarea sicriului cu osemintele Regelui Carol al II-lea dintr-o capelă izolată și așezarea acestuia în noua Catedrală Arhiepiscopală şi Regală de la Curtea de Argeș reprezintă un moment de recuperare istorică şi de integrare în tradiția monarhică… https://t.co/DWLkEAZznL"

 

Familia Regalăさんのツイート: "Ceremonia înmormântării Regelui Carol al II-lea la Curtea de Argeș https://t.co/OAVCzqH8XF… "
https://twitter.com/casamsregelui/status/1104391379696959488

 

Familia Regală a României (@familiaregalaaromaniei) • Instagram photos and videos

 

Familia Regală a României (@familiaregalaaromaniei) • Instagram photos and videos

 

訃報(2018年12月3日):第3代プリモ・デ・リベラ公爵ミゲル・プリモ・デ・リベラ・イ・ウルキホ閣下が薨去(1934~2018)一般的に独裁者と呼ばれる第2代エステーリャ侯爵ミゲル・プリモ・デ・リベラ・イ・オルバネハ閣下(スペイン首相)の孫、第3代エステーリャ侯爵ホセ・アントニオ・プリモ・デ・リベラ・イ・サエンス・デ・ヘレディア閣下(ファランヘ党初代党首)の甥

 2018年12月3日、第3代プリモ・デ・リベラ公爵ミゲル・プリモ・デ・リベラ・イ・ウルキホ閣下(Miguel Primo de Rivera y Urquijo, 3rd Duke of Primo de Rivera : The Most Excellent The Duke of Primo de Rivera : 第5代エステーリャ侯爵(既に譲渡済み?) : 5th Marquis of Estella)が薨去したようです。
 1934年8月17日生まれの84歳。

 スペインの近現代史でもっとも重要な一族の一つであるプリモ・デ・リベラ家の一員で、前スペイン王ファン・カルロス1世陛下(His Majesty King Juan Carlos I of Spain)と親交が深く、王政復古の推進役の一人でした。

 

 (スペイン語)Muere Miguel Primo de Rivera, nieto del dictador y sobrino de José Antonio
 (スペイン語)Muere Miguel Primo de Rivera
 (スペイン語)Muere Miguel Primo de Rivera y Urquijo El 'todo Jerez' y el 'Todo Madrid' dan su adiós
 (スペイン語)Las cenizas de Primo de Rivera descansan ya junto a su abuelo en La Merced

 

 祖父の第2代エステーリャ侯爵ミゲル・プリモ・デ・リベラ・イ・オルバネハ閣下(Miguel Primo de Rivera y Orbaneja)はスペイン首相を務め(首相の職名は途中で変わりますが)、一般的に軍事独裁政権の独裁者とされます。
※なお、ソブレモンテ伯爵という称号を保有しているとする情報もありますが、ちょっとこの称号については真偽・存在含めてわかりません。

 また、伯父の第3代エステーリャ侯爵ホセ・アントニオ・プリモ・デ・リベラ・イ・サエンス・デ・ヘレディア閣下(José Antonio Primo de Rivera y Sáenz de Heredia)はファシズム運動の指導者で、ファランヘ党初代党首。スペイン人民戦線政府により、裁判なしで銃殺されました。
 死後かなり経って、フランシスコ・フランコ総統の時代に、初代プリモ・デ・リベラ公爵に叙されています。
 なお、ホセ・アントニオとフランコ総統の支持者は現在では完全にわかれている傾向にありますが、どちらの命日も 11月20日 です。ファランヘ党支持者は現在でも 11月20日 にデモ行進をおこないますが、キャプションなどが適当だとどちらの支持者なのかわからない場合があります(おそらくはホセ・アントニオの支持者だと思いますが……)。
 ホセ・アントニオの系統のファランヘ党の組織の後裔は、現在では(主にカタルーニャ問題の対応のためか)連邦制などを主張しているようですが、大昔の思想の名残がどの程度あるのかはわかりません。また、現在のスペイン王室に対しては、主に失態などについて批判的です。

 

関連:
 スペインのフェルナンド・プリモ・デ・リベラ・イ・オリオル閣下によるプリモ・デ・リベラ公爵位継承(第4代)が許可される(2020年7月・9月)

 

誕生(2019年2月1日):フランス王子アンリ殿下(トゥーレーヌ公爵)。正統派フランス王位継承者ルイ20世ことアンジュー公ルイ・アルフォンス殿下夫妻の第四子・三男

 2019年2月1日、正統派フランス王位継承者ルイ20世Louis XX)ことアンジュー公ルイ・アルフォンス殿下(Louis Alphonse : Monseigneur The Duke of Anjou : ルイス・アルフォンソ・デ・ボルボン・マルチネス=ボルディウLuis Alfonso de Borbón Martínez-Bordiú)と妻のアンジュー公妃マリー・マルグリット殿下(Marie Marguerite : Her Royal Highness The Duchess of Anjou)の間の第四子・三男となる男子が誕生したようです。
 名前はフランス語表記のほうはアンリ・ド・ジェスHenri de Jésus)、スペイン語メディアではエンリケ・デ・ヘススEnrique de Jesús)となっています。
 また、儀礼称号として、ルイ・アルフォンス殿下がかつて使用していたトゥーレーヌ公爵が用いられる模様。

 

Louis de Bourbon, Duc d’Anjouさんのツイート: "Je suis heureux, avec Marie-Marguerite, de vous annoncer la naissance d'Henri, notre quatrième enfant, aujourd'hui à 13:05 GMT. Il pèse 4,200 kg et mesure 53 cm. La maman et le bébé se portent bien. Nous remercions tous ceux qui s'associent à cette naissance par la prière.… https://t.co/baiKn0afWL"

 

 (スペイン語)Luis Alfonso de Borbón y Margarita Vargas ya son padres de su cuarto hijo
 (スペイン語)Solo en ¡HOLA!, Luis Alfonso y Margarita de Borbón, primeras imágenes con su hijo recién nacido, en Nueva York

 

訃報(2019年1月21日):オルレアン派フランス王位継承者パリ伯アンリ(7世)殿下が薨去(1933~2019)

 2019年1月21日、オルレアン派フランス王室当主のパリ伯アンリ殿下(フランス公爵 : Henri : Monseigneur The Count of Paris, Duke of France : オルレアン派フランス王位継承者アンリ7世Henry VIIHenri VII】)が薨去したようです。
 1933年6月14日生まれの85歳。

 次男で継嗣のフランス皇太子/ヴァンドーム公爵/フランス王子/オルレアン公子ジャン殿下(Prince Jean of France : His Royal Highness The Dauphin de France, Duke of Vendôme : Prince of Orléans)が新たにフランス王室当主、フランス王位継承者ジャン4世Jean IV, Titular King of France)となります。

 

J'ai la tristesse de vous annoncer le… – Le prince Jean de France | Facebook

 

Prince Jean de Franceさんのツイート: "J'ai la tristesse de vous annoncer le décès de mon père, Monseigneur le Comte de Paris, survenu ce matin. Je le confie à vos prières. Jean, Duc de Vendôme Domaine Royal de Dreux , le 21 janvier 2019… https://t.co/CGFcZPQ1YJ"

 

 (フランス語)Le comte de Paris Henri d'Orléans est mort

 

 (フランス語)Le comte de Paris, Henri d’Orléans, est décédé
 (フランス語)Le comte de Paris, Henri d’Orléans, est mort à l’âge de 85 ans
 (フランス語)Henri d'Orléans, comte de Paris, une vie en quête d'amour – Point de Vue

 (英語)Royal Musings: Count of Paris (1933-2019)

 

ロシア帝室ロマノフ家当主/ロシア女大公マリヤ殿下が、ロシア帝位継承法の変更の承認を、キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下に求めている模様(2019年1月)

 ロシア帝室では同等身分間の結婚を厳格に要求する帝位継承法がありますが、ロシア帝室ロマノフ家当主/ロシア女大公マリヤ殿下(Head of the Russian Imperial House : Her Imperial Highness The Grand Duchess Maria Wladimirovna of Russia)が、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)に継承法の変更の承認を求めているようです。

 

※サイト運営者が新たに別のサイトを立ち上げ、それに関連する記事を移行中のため、下記記事は閲覧できなくなっている場合があります。記事の移行が確認できればリンクを貼り替えますが、下記記事は移行されるかはわかりません。
 (英語)Russian Imperial House Considers Changes to Law of Succession | Royal Russia News

 

 要するにこのままでは継嗣のロシア大公ゲオルギー殿下(His Imperial Highness The Heir, Tsesarevich, and Grand Duke George of Russia)の結婚相手がどうにもならないということですが……。
 総主教の承認で変更というのもなんともいえない発想ではあります(キリル聖下はマリヤ殿下母子を支持する発言をしたことがあります)。

 伝統的な観点からすれば、結婚自体は教会に属する問題といえますが、同等身分間の結婚かどうかは教会の問題ではないですし、まして帝位継承法の変更の承認を教会に求めるのはどうなのかと思いますが……。

 

 仮に変更がおこなわれた場合、貴賤結婚の子孫として権利を認められなかったマリヤ殿下よりも傍系の男系男子ら(ロマノフ家協会など)からまたもやの激しい不満や批判・暴言の類が出ることは間違いありません。

 加えて、アントン・アレクセーヴィチ・バコフ氏(Anton Alexeevich Bakov)【またはアントン・バコフ公閣下(His Serene Highness Prince Anton Bakov)】も、自らが擁立するロシア皇帝ニコライ3世ことライニンゲン公子カール・エミッヒ殿下(His Serene Highness Prince Karl Emich of Leiningen)の三度目の結婚で生まれた男子がロシア帝位に即位することが可能になったとか言い出すかもしれません(当の息子さんがやりたがるかどうかは……)。

関連:
 ライニンゲン公子カール・エミッヒ殿下を“ロシア皇帝ニコライ3世”として擁立しているロシアの君主政主義者党の立ち上げた王室情報サイト(2019年3月)“ニコライ3世”ではなく「ロシア公子ニコライ・キリロヴィチ殿下」となっています