2025年11月5日に、英国で現在も貴族院に議席を持つ世襲貴族(労働党)の第3代スタンズゲート子爵スティーヴン・ベン閣下(Stephen Benn, 3rd Viscount Stansgate : The Right Honourable The Viscount Stansgate)が、政府に対して「アンドルー・マウントバッテン=ウィンザーのすべての称号を剥奪するという国王の決定を実行するための法案を提出する予定があるか」という質問を提出しています。
これは、チャールズ3世陛下が、ヨーク公爵アンドルー王子殿下のすべての称号と敬称を剥奪するとした件についてです。
2025年11月17日、政府側から、王室侍従(院内幹事)で内閣府を担当している一代貴族(労働党)のアンダーソン・オブ・ストーク=オン=トレント女男爵ルース・アンダーソン閣下(Ruth Anderson : The Right Honourable The Baroness Anderson of Stoke-on-Trent)が「王子(Prince)と殿下(Royal Highness)については勅令によって剥奪されており(has been removed by Letters Patent)、ヨーク公爵についても貴族名簿から取り除かれ公式に使用されることはない。よって法案を提出する必要はない」と回答しました。
(英語:英国議会 公式ウェブサイト)Written questions and answers – Written questions, answers and statements – UK Parliament
17 November 2025
Following the statement made by Buckingham Palace on 30 October, the entitlement to the title of ‘Prince’ and the style of ‘Royal Highness’ has been removed by Letters Patent. The title of the Duke of York has been removed from the Roll of the Peerage and will no longer be used officially. There is therefore no need for legislation to implement the measures that have been announced.
これは曖昧な回答でありますが、ヨーク公爵位は貴族名簿からは削除され公的には使用されないが、剥奪されてはいないという認識であることを示唆していると読めると思います。
(剥奪されてもう何もする必要がないのであればシンプルにそう言えばいいだけなので、こんなに遠回しに書く必要がありません)
政府が立法措置を回避しようとしている理由は、いろいろあるでしょうが、現段階においてアンドルー王子(とりあえずこう書きますが)は裁判で有罪になったわけでもなんでもなく、本人も疑惑を否定しており、この段階で法案を通すのはとても難しいと思います(有罪になっても称号自体が剥奪されていない一代貴族もいます)。
ヨーク公爵(第八次叙爵)は、特別な継承規定が付けられていないため(男子のみ継承可能)、アンドルー王子の薨去をもって消滅する可能性が濃厚です。(もちろんここから再婚して息子が出来る可能性はゼロではありませんが……)
