南アフリカ伝統的君主:ンコバンゴサンド・ズールー王女(28歳独身:ズールー王の扶養家族)が、公的なプロジェクトによって建てられた既婚者または扶養する家族がいる人々向けの住宅に(一番目の認定者として)入居していた疑惑発生(2018年10月)

 南アフリカ共和国の最有力伝統的君主、ズールー王グッドウィル・ズウェリティニ陛下(His Majesty King Goodwill Zwelithini of Zulu)の27人の子供のひとり、ンコバンゴサンド・ズールー王女(Princess Nqobangothando Zulu)が、既婚者または扶養する家族がいる人々向けの住宅に一番目の認定者として入居していた疑惑が発生しています。

 王女は28歳独身で、王の扶養家族として言及されています(「王の扶養家族」というのもなんともいえない言葉ですが)。

 

 ※注意。ここの記事が最初の報道のようですが、なぜか王女が年一度主催する踊りの式典の写真がトップにあり、なぜか上半身裸にみえる女の人が写っているので、そういうのは遠慮したい方はほかの記事へどうぞ(TwitterやFacebookからのリンクもこの写真使ってます):
 (英語)Zulu princess scores 'an RDP house'

 (英語)Zulu princess allegedly receives RDP home meant for married people ▷ South Africa news | Briefly.co.za
 (英語)Zwelithini in scandal for giving daughter RDP house – The Citizen

 

 ズールー王の広報官スラニ・ズールー王子(Prince Thulani Zulu)は「何も知らない。知っている人に聞いてくれ」となかなか図太い回答をしています。

 また、この住宅プロジェクトは、王の宮殿内の土地(?)でおこなわれているようです。
 これについては、「王はプロジェクトを注視したかった。他地域ではしばしば低品質な仕事がおこなわれているからだ。決して身内をひいきするためではない」ということです。
 まとめると「王はプロジェクトを注視していたが、王の広報官である自分は王女の入居は知らない」ということになりますが……。

 最近の日本でよく使われる忖度があったということなんでしょうか。

 

 その疑惑は疑惑として、品質を監視したかったというのは、アフリカ全体の現況を見ればある程度はうなずける話です。
 今年もガーナ共和国で、大統領とアシャンティ王が、前の大統領の時代に公共工事で建設された道路を視察しにいったら、道路自体が存在しなかったという報道が出ていました(お金がどうなったのかもわからないとのこと)。にわかには信じがたい話ですが……。

 

戴冠式(2018年10月3日):南アフリカ伝統的君主/ムポンド人のニャンデニ王マンガリソ・ンドロヴイェズウェ・ンダマセ陛下が戴冠

 2018年10月3日、ムポンド人のニャンデニ王マンガリソ・ンドロヴイェズウェ・ンダマセ陛下(King of AmaMpondo aseNyandeni Mangaliso Ndlovuyezwe Ndamase)の戴冠式が、リボデのニャンデニ大宮殿でおこなわれたようです。

 

 (英語)King Ndamase vows to develop nation | IOL News

 

 戴冠式より少し前、南アフリカ共和国憲法裁判所がCTLDCの判断を支持したので、政府がムポンド人の王をザノズコ陛下だと認める手続きを開始しましたが、2010年に南アフリカ共和国は、このザノズコ・シカウ陛下(Kumkani Zanozuko Sigcau)が争っていた位をポンド人全体の王だと認めています。

 一方、ムポンド人は地域別に二人の王がいたという話があり、それぞれムキケラ系統(Mqikela)=カウケニ王統(aseQawukeni)とンダマセ系統(Ndamase)=ニャンデニ王統(aseNyandeni)となっていたようです。なぜかよくわかりませんが、南アフリカ共和国は2010年に前者(つまりザノズコ・シカウ陛下のほうの位)をポンド人全体の王と認めたようです(他でも同じように一人を選んでいるケースがあります)。
 今回の記事からすると、そもそも二王は領域が異なっているので、同じ地位を争っていたわけでもなさそうです(未確認ですが、主導権争いのようなものはあったのかもしれません)。
 当然のことながら、ニャンデニの地域からは反発が続いています。

 戴冠式にはザノズコ・シカウ陛下は姿を見せていないようですが、これは以上の事柄を踏まえれば、来てくれても困る状況でしょう。

 

 戴冠したマンガリソ・ンドロヴイェズウェ・ンダマセ陛下は、地域の経済発展と失業率の改善、観光業の強化を訴えたようです(いずこも同じといいますか……)。

 

南アフリカ伝統的君主:憲法裁判所がCTLDCの判断を支持。政府はムポンド人の王をザノズコ陛下だと認める手続きを開始(2018年10月)

 南アフリカ共和国の憲法裁判所は、CTLDC(Commission on Traditional Leadership Disputes and Claims :
伝統的指導権に関する議論と主張を扱う委員会)による、ザノズコ・シカウ陛下(Kumkani Zanozuko Sigcau)をムポンド人(Mpond people : AmaMpondo : Pondo)の王と判断する決定を支持するとしたようです。

 

 (英語)Govt begins process of recognising AmaMpondo king | News24
 (英語)Government begins process of Recognising King of Amampondo – EIN News
 (英語)Kumkani Zanozuko Tyelovuyo Sigcau to be recognised as rightful King of the AmaMpondo

 

 政府はすでに承認手続きを開始した模様。

 同王位は、1937年のマンドロンケ王(King Mandlonke)の崩御以降、争いが続いており、(当時)南アフリカ共和国大統領ジェイコブ・ズマ閣下(His Excellency Jacob Zuma)が2010年にザノズコ陛下を王と認めた後も憲法裁判所から異論が出されたりしていました。
 “対立王”であったムポンドンビニ・シカウMpondombini Sigcau)の死後、その娘のウェジズウェ・シカウWezizwe Sigcau)が主張を引き継いでいた模様。最高裁判所で敗訴したのちに、憲法裁判所に上訴していたようですが、憲法裁判所はザノズコ陛下を王と認めました。

※なお、在位年代が不明ですが、ムポンドンビニ・シカウに関しては、歴代の王として扱われている場合もあり、ザノズコ陛下の前に単独の王位主張者であったのかもしれません。

 

続報/
 最高上訴裁判所は判断を取り消す:
 南アフリカ伝統的君主:ムポンド人の王位に関して、最高裁判所が(5月に崩御し、6月に第一級公葬がおこなわれた)ザノズコ・シカウ陛下の王位を無効と判断(2022年9月)

 

関連:
 戴冠式(2018年10月3日):南アフリカ伝統的君主/ムポンド人のニャンデニ王マンガリソ・ンドロヴイェズウェ・ンダマセ陛下が戴冠