47NEWS の いい加減な記事「王位継承権より大事なもの、それが「愛」 オランダ王室の恋愛・結婚事情【世界から】」(2020年12月)

 いい加減な記事を見かけたのでリンクしておきます。

 

 王位継承権より大事なもの、それが「愛」 オランダ王室の恋愛・結婚事情【世界から】
URL: https://www.47news.jp/47reporters/5607122.html

 

 およそ日本語の欧州王室に関する記事は(のみならず書籍も)かなりの部分でいい加減ですが(その逆も)、しかしここまでいい加減なものが出るか……と呆れています。

(オランダ在住ジャーナリスト、共同通信特約=稲葉かおる)

 という人物が書いているらしいですが、共同通信がからんでいるのかなるほどと思う次第。

 そして、アホウなこと書いています。

 あくまでも冗談だが、「アマリア王女が将来、異性ではなく同性と結婚すると言い出したら、一体王家はどうなるのか?」というような、たわいもない話題で国民はあれこれと話し合うのが大好きだ。

 ちなみに、同性同士の婚姻はオランダで合法化されている。アマリア王女が「花嫁」を迎え入れることは可能である。「それでは王室の血統が途絶えるのでは?」と心配する声が上がりそうだが、心配はない。他の王家から養子を迎えるなどすればいいだけだ。アマリア王女は女王になった暁には、パートナーは王女という肩書を授与される結果に落ち着くだろう。

 あのですね、オランダには王位の継承法があり、王位継承順位というものがあります。ルールがあるわけです
 オランニェ女公カタリナ=アマリア王女殿下に子供がいなければ、妹のアレクシア王女殿下が継承することになります。
 なぜいきなり「他の王家から養子を迎えるなどすればいいだけだ。」などという戯言が出てくるのか。妹がいるんですよ? ルール上継承順位が次の順位になっている妹がいるんですよ? 知らないんですか? 「他の王家」ってどこです?
 それでなくても、オランダ人の専門家の一部は、歴代の女王がドイツ人を夫に迎えてきた最近のオランダ王室(オランニェ=ナッサウ家)に対して、政府が現在の王室をあきらめて(この間も失態がありましたねいっそドイツの(旧)王朝のどこかに新しい君主を要求する可能性(つまり「養子を迎えるなどすればいい」論を超えてクビにする論)を捨てていないと判断している、そしてその潜在的な案に反対している。オランニェ=ナッサウの家系の血を引かない人物の継承がオランダの伝統に関連しているとみなしていないからだ。この人は現在の王室の状況を知っているのか? 専門家の意見を知っているのか?

 「パートナーは王女という肩書を授与される結果に落ち着くだろう」というのも、大した根拠があると思えず、ド素人の世間話をいかにも実現しそうな記事にするという共同通信らしい無責任さはやめていただきたい。
 
 

 その次の、

ここで、他国の王室に婿入りしたオランダ人男性のエピソードを紹介しよう。マレーシアの王女と結婚した、デニス・フェルバース氏だ。

 は、そもそも話の内容が、さっぱりなく、なんのために挿入したのか。オランダ王室の話でもないし。
 原稿料の都合で文章を水増ししたのか。
 いや、そんなことはないはずですね。

 なお、デニス・フェルバース氏(Dennis Verbaas)というのは、ジョホール州スルタンの娘アミナー王女殿下(Her Highness Tunku Tun Aminah Maimunah Iskandariah)と結婚した人物です。結婚前にイスラムに改宗し、現在はデニス・ムハマド・アブドゥラ閣下(The Honourable Dato’ Dennis Muhammad Abdullah)と呼ばれるのが正式のようです。

 

 そして……

▽王位を掛けた恋

 一般女性への愛を貫き結婚し、王子のタイトルを放棄した人物もいる。アレクサンダー国王の弟、ヨハン・フリーゾ王子である。彼がオランダの一般女性、メイベル・ウィサスミットさんとの婚約を発表したとき、多くの国民が驚くとともに、落胆の声も上がった。

 記事タイトル・副題を思い出してください。
「王位継承権より大事なもの、それが「愛」 オランダ王室の恋愛・結婚事情」
 ここからですよようやく。記事のタイトルにあう話。
 今まではただの素人の世間話とオランダ王室の実際の話と関係ない話
 それに加え、この段の「王位を掛けた恋」という出だしはおおげさ
 この殿下が結婚する前年、兄に娘であるカタリナ=アマリア王女殿下が生まれ、王位を継承する見込みは大幅に薄まっていたのである。
 また、弟コンスタンティン王子殿下もいるため、実際のところ、抜けたとしてもそこまで王室にとっても痛手にならない状況だったのだ。
 もちろん、だからと言って、それは彼が王位を継ぐ可能性がなかったことを示すわけではないし、そもそも王室が想定していた構成員の役割について再考が迫られたことは事実です。
 しかしそれは「王位を掛けた」というほどのものでもない。
 また、「王子のタイトルを放棄した」とありますが、細かいことになりますが、同意なしに結婚したのと同時にオランダの王子の称号が自動的に失われるというルールなので、「私はこれを放棄する」と宣言して放棄したというのはちょっと違います。そして、またその後に、オランニェ=ナッサウ公子には叙されています。

 

 最後の段もいい加減です。

 もし、不幸にして議会や国民からの合意を素直に得られそうにない相手を選んだ場合は潔く王室を去る。これも、国民に支えられ、国の象徴として存在する王室メンバーとしての自覚があるがゆえの選択だろう。

 昔から国王(や後に議会)の許可を得られなかったら結婚の代わりに継承権と称号を手放すというのは欧州に広範囲によくあることだっただけで自覚でもなんでもないです(もちろんそう取りたいなら取ってもいいようなものでもありますけど)。
 最近にいたっては、相手の過去に問題があっても反対される可能性は少なく、許可を取らないのも単に手続きが面倒くさいというケースすらあります(しかも遡って後から許可をもらうことが出来る国もある)。ゆるゆるになっています。

 

 それにしても、おおげさなタイトルをぶち上げた割には、フリーゾ殿下の話しか当てはまるものはなし。「オランダ王室の恋愛・結婚事情」とは一件で代表させて良いものなのでしょうか。そうは思えないのですが……。
 これが「釣り」というものでしょうか。

 

マレーシア国王アブドゥラ陛下が各国大使を接受、信任状の捧呈を受ける(2020年12月)

 2020年12月8日、マレーシア第16代国王アブドゥラ陛下(His Majesty Al Sultan Abdullah Ri’ayatuddin Al-Mustafa Billah Shah Ibni Sultan Haji Ahmad Shah Al-Musta’in Billah, The Yang di-Pertuan Agong XVI : パハン州スルタン)は、11ヶ国および欧州連合のマレーシア駐箚特命全権大使を接受、信任状の捧呈を受けました。

 11ヶ国は、フィンランド共和国、デンマーク王国、ハンガリー、モーリシャス共和国、インドネシア共和国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、チリ共和国、ニュージーランド、ベトナム社会主義共和国、バングラデシュ人民共和国、です。

 

 (英語)King receives credentials of 12 foreign envoys to Malaysia

 

Istana Negara – 8 Disember 2020 – KDYMM Seri Paduka… | Facebook

 

動画(英語・ルーマニア語字幕)ルーマニア王室当主/ルーマニア王位守護者マルガレータ陛下が、例年の外交団との会見の代わりにスピーチ映像を配信(2020年12月)後半にルーマニア駐箚ローマ教皇大使ミゲル・マウリー・ブエンディア大司教座下のスピーチも

 2020年12月9日、ルーマニア王室当主/ルーマニア王位守護者マルガレータ陛下(Her Majesty Margareta, the Custodian of the Crown of Romania : ルーマニア皇太子マルガレータ殿下 : Her Royal Highness Crown Princess Margareta of Romania)は、例年の外交団(特命全権大使ら)との会見を新型コロナウイルス感染症【COVID-19】パンデミックの影響によりおこなわず、代わりにスピーチ映像を配信しました。

 

Familia Regală(ルーマニア王室 公式チャンネル):
Seara Regală în onoarea Corpului Diplomatic 2020 – YouTube

 

 内容は、はっきりと説明しにくいですが……。
 普通の挨拶から、軍事費を削減して医療費に充てるべきという論に対する反論というかすべて大切だというかそういう話、欧州連合および欧州の話(西欧や東欧という分類名称に否定的=欧州は一つでかつ各国が大事という意見)、北大西洋条約機構【NATO】の重要性、モルドバ共和国の政権交代(マイア・サンドゥ(元)首相の勝利)を歓迎、気候変動について、来年も変わらず王室の責務を果たす、といったようなことです。

 なお後半の10分ごろから(外交団の代表として)ルーマニア駐箚/モルドバ共和国駐箚ローマ教皇大使ミゲル・マウリー・ブエンディア大司教座下(イタリカ名義大司教 : His Most Reverend Excellency Monsignor Archbishop Miguel Maury Buendía, Titular Archbishop of Italica, Apostolic Nuncio to Romania and Republic of Moldova)のメッセージ映像になります。
 こちらは英語ではありませんし、字幕もありません。

 

訃報(2020年12月2日):ケーニッヒセック=アウレンドルフ伯ヨハネス殿下が薨去(1925~2020)ケーニッヒセックヴァルト地方議会議員を43年間務めた模様

 2020年12月2日、ケーニッヒセック=アウレンドルフ伯ヨハネス殿下(Johannes : His Illustrious Highness The Count of Königsegg-Aulendorf : ヨハネス・グラーフ・ツー・ケーニッヒセック=アウレンドルフJohannes Graf zu Königsegg-Aulendorf)が薨去した模様です。
 1925年4月13日生まれの95歳。

 高齢ですが、訃報は突然だった模様。

 ケーニッヒセックヴァルト地方議会議員を43年間(1956年~1999年)務めたようです。

 薨去に伴い、長男のケーニッヒセック=アウレンドルフ伯世子マクシミリアン殿下(1958年生まれ)があらたに当主となり、またその長男のフィリップ伯子殿下(1988年生まれ)が新たな伯世子となります。

 

 (ドイツ語)In Königseggwald, Kreis Ravensburg, ist am Mittwochmorgen Johannes Graf zu Königsegg-Aulendorf gestorben. – SWR Aktuell
 (ドイツ語)Johannes Graf zu Königsegg-Aulendorf ist gestorben | Wochenblatt-online
 (ドイツ語)Johannes Graf zu Königsegg-Aulendorf im Alte … | GLONAABOT

 

訃報(2020年12月3日):ジュセッペ・ダッラ・トッレ・デル・テンピオ・ディ・サングイネット教授が薨去(1943~2020)新型コロナウイルス感染症【COVID-19】。バチカン市国第一審裁判所長官(1997~2019)。4月に薨去した第80代マルタ騎士団総長ジャコモ殿下の兄

※この記事はキリスト教 高位聖職者のニュースと重複します。

 

 2020年12月3日、ジュセッペ・ダッラ・トッレ・デル・テンピオ・ディ・サングイネット教授(Professor Giuseppe Dalla Torre del Tempio di Sanguinetto)が薨去した模様です。
 1943年8月27日生まれの77歳。
 新型コロナウイルス感染症【COVID-19】が原因とのことです。

 1997年~2019年にバチカン市国第一審裁判所長官を務めています。
 同家はイタリアの貴族の家系で、教授の弟はマルタ騎士団総長となりました。
関連:
 訃報(2020年4月29日):第80代マルタ騎士団総長ジャコモ・ダッラ・トッレ・デル・テンピオ・ディ・サングイネット殿下が薨去(1944~2020)

 

 (イタリア語)Addio al giurista cattolico Giuseppe Dalla Torre: fede, cultura e diritto
 (英語)Former Vatican court president Giuseppe Dalla Torre dies at 77

ローマ教皇フランシスコ聖下が弔意を表明:
 (英語:バチカン・ニュース)Pope sends condolences for death of Giuseppe Dalla Torre – Vatican News

国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿座下が葬儀ミサを司式:
Vatican News(バチカン・ニュース):
December 05 2020 St. Peter’s Basilica Holy Mass – YouTube

※マルタ騎士団にて外務大臣的職掌を多く含む“グランド・チャンセラー”のアルプレヒト・フライヘル・フォン・ベーゼラガー閣下(プロイセン貴族)が参列しています。

 

𝐀𝐯𝐯𝐞𝐧𝐢𝐫𝐞さんはTwitterを使っています 「Addio al giurista cattolico Giuseppe #DallaTorre https://t.co/JGcOkbKGJR @UniLUMSA」 / Twitter

 

Avvenire – Aveva 77 anni, è stato rettore della Lumsa e… | Facebook