マルタ騎士団の“グランド・チャンセラー”(国務大臣相当)をローマ教皇フランシスコ聖下によって解任されたアルプレヒト・フライヘル・フォン・ベーゼラガー閣下(Albrecht Freiherr von Boeselager)が、騎士団の現状への危機感を表明したり、騎士団を離脱する意向を示している人々を慰留したりしているようです。
これは、主権実体として多数の国と外交関係を樹立していたり、本部宮殿や本部邸がイタリアの治外法権になっていたりする特殊な存在であるマルタ騎士団を、フランシスコ教皇が自身の管轄下に強く置く(あるいは特殊な地位を削る)ための変更を打ち出し続けていることが原因です。
もともとの始まりは、第79代マルタ騎士団総長“フラー”・マシュー・フェスティング殿下と、ベーゼラガー閣下の影響力争いかあるいは目指す方向性の違いか、といったところから内部の争いがあり、ベーゼラガー閣下側にたったフランシスコ教皇がマシュー・フェスティング殿下を辞任に追い込むという結末になりました。
時はたち、今度はベーゼラガー閣下が教皇によって解任されるという結末に。「二虎競食の計」という言葉も浮かびますが……。
憲章の改定などによる制度変更はもとより、騎士団内部の人間ではないローマ教皇の強い影響に置かれている現状は、マシュー・フェスティング殿下が主張した「(ローマ教皇による)国際法違反」でなければ、マルタ騎士団が主権実体である必要がないととらえるしかないかもしれません(もちろん必要があるかといわれるとないような気もします)。
しかしマルタ騎士団の特異性がなくなれば、支持者は減り、支持者が減ればできることは減り、できることが減れば支持者が減り、と、そこまで顕著な影響が出るかどうかは正直わかりませんが、マイナスの方へと向かっていくでしょう。
The former grand chancellor of the Order of Malta has written a letter to members calling for unity while also expressing concern over the new constitution promulgated by Pope Francis, reports @andygag https://t.co/lFNI4qezQb
— Catholic News Agency (@cnalive) October 6, 2022