少し前(2018年3月19日付)のことになりますが、ロシア帝室ロマノフ家当主/ロシア女大公マリヤ殿下(Head of the Russian Imperial House : Her Imperial Highness The Grand Duchess Maria Wladimirovna of Russia)が、自身及び継嗣のロシア大公ゲオルギー殿下(His Imperial Highness The Heir, Tsesarevich, and Grand Duke George of Russia)からの、ロシア連邦大統領ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン閣下(His Excellency Mr Vladimir Vladimirovich Putin)の大統領選挙での再選を祝福するメッセージを出しています。
2018年3月19日、フランス共和国を訪問中のルクセンブルク大公アンリ殿下(Henri : His Royal Highness The Grand Duke of Luxembourg)とルクセンブルク大公妃マリア・テレサ殿下(Maria Teresa : Her Royal Highness The Grand Duchess of Luxembourg)は、エリゼ宮殿のフランス共和国大統領エマニュエル・マクロン閣下(アンドラ共同統治公 : His Excellency Mr Emmanuel Macron, Co-Prince of Andorra)を訪問したようです。
Vendredi 9 mars 2018, Son Altesse Royale le Grand-Duc a reçu en audience Son Excellence Monsieur Stefan Löfven, Premier ministre du Royaume de Suède, à l’occasion de sa visite au Grand-Duché. Copyright: Cour grand-ducale / tous droits réservés pic.twitter.com/G5vn2PC2jg
— Cour Grand-Ducale (@CourGrandDucale) March 9, 2018
Vendredi 9 mars 2018, Son Altesse Royale le Grand-Duc a reçu en audience Son Excellence Monsieur Juha Sipilä, Premier ministre de la République de Finlande, à l’occasion de sa visite au Grand-Duché. Copyright: Cour grand-ducale / tous droits réservés pic.twitter.com/8MpCCawAci
— Cour Grand-Ducale (@CourGrandDucale) March 9, 2018
2018年2月23日、ルーマニア王室当主/ルーマニア王位守護者マルガレータ陛下(Her Majesty Margareta, the Custodian of the Crown of Romania : ルーマニア皇太子マルガレータ殿下 : Her Royal Highness Crown Princess Margareta of Romania)と夫のルーマニア王子ラドゥ殿下(His Royal Highness Prince Radu of Romania)は、エリサベタ宮にて、新任のルーマニア首相ヴィオリカ・ダンチラ閣下(ビオリカ・ダンチラ首相 : Her Excellency Mrs Viorica Dăncilă)と会見、昼食をともにしました。
Majestatea Sa Margareta, Custodele Coroanei române
と、ルーマニア王位守護者マルガレータ陛下と表記しています。
政界からは“陛下”使用に慎重な態度もあったようですが、誰かが押し切ったようです。
これについてもう少し細かく書いておきますと、そもそも慣習的に(旧)王室の一員として言及される場合の称号・敬称を使用した場合、ルーマニア王女マルガレータ殿下(Her Royal Highness Princess Margareta of Romania : 以下、英語)となります。
2007年に故ミハイ1世陛下が発布した王室法により、マルガレータ殿下はルーマニア皇太子マルガレータ殿下 : Her Royal Highness Crown Princess Margareta of Romania)の称号・敬称を使用することになり、これが政界にも受け入れられていました(大統領府公式サイトがこの表記を用いたりとか)。
しかし、2007年王室法は、ルーマニア王室当主に関してもまた、「男であれば『ルーマニア王』『陛下』、女であれば『ルーマニア女王』『陛下』である。ただし別の呼ばれ方を用いることもできる」というようなことを定めており、マルガレータ殿下を(2007年王室法に基づいて)皇太子と呼ぶならば、将来的にはルーマニア女王マルガレータ陛下と呼ぶか、あるいは王室側が用いた呼称を用いるのが筋ということになります(2007年王室法に従わないならば、そもそも皇太子と呼ぶべきではない)。 ミハイ1世陛下の体調悪化に伴い、ルーマニア王室側は、皇太子のかわりに(たぶん2007年王室法になかったと思いますが未確認)ルーマニア王位守護者(Custodian of the Crown of Romania)の称号をマルガレータ殿下に用いることになります。
そして昨年【2017年】12月5日に旧ルーマニア王ミハイ1世陛下が崩御したことにより、殿下(Her Royal Highness)の敬称を格上げし、陛下(Her Majesty)を使用しています。ルーマニア女王の称号は使用していませんが、2007年王室法に基づけば、「ルーマニア女王であるが“ルーマニア王位守護者”という称号を使用している」という状態になるかと思います。
これに対し、「さすがに“陛下”は……」という雰囲気も出る中、ルーマニア議会でおこなわれたミハイ1世陛下への追悼演説で、キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会の首座/ルーマニア正教会総主教、ブカレスト大主教、ムンテニア・ドブロジャ府主教ダニエル聖下(His Beatitude Daniel, Archbishop of Bucharest, Metropolitan of Muntenia and Dobrudgea and Patriarch of the Romanian Orthodox Church)は、率先して“陛下”を使用し、報道関係者も一部追随、政界の対応がどうなるか、という状態でした。