ロシア外務次官がマルタ騎士団を訪問。イタリア王室(アオスタ系統)当主アイモーネ殿下が同席(2021年7月)

 2021年7月27日、ロシア連邦外務次官セルゲイ・ヴァシリエヴィッチ・ヴェルシニン閣下(ヴェルシーニン外務副大臣Sergey Vasilievich Vershinin)はローマのマルタ騎士団本部邸を訪問、マルタ騎士団側のカウンターパートと会談しました。
 マルタ騎士団のロシア・ミッション代表(特命全権大使相当)であるイタリア王室(アオスタ系統)当主/サヴォイア公・アオスタ公爵アイモーネ殿下(His Royal Highness Prince Aimone of Savoy-Aosta, Duke of Savoy and Aosta : His Royal Highness The Duke of Savoy, The Duke of Aosta)が同席した模様。

※マルタ騎士団の本部邸(Magistral Villa)と本部宮殿(Magistral Palace)はイタリアより治外法権を認められています。

 

こちらから見て左がアイモーネ殿下、右が外務次官:
Facebook

 

 (英語:マルタ騎士団 公式サイト)Russian Deputy Minister of Foreign Affairs Received – Order of Malta

ベルギー王室継嗣/ブラバント女公/ベルギー王女エリザベート殿下が、三日間の特別訓練を経て王立軍事学園を修了(2021年7月)

 ベルギー王室継嗣/ブラバント女公/ベルギー王女エリザベート殿下(Princess Elisabeth of Belgium : Her Royal Highness The Duchess of Brabant)は、三日間の特別訓練を終え、昨年からの王立軍事学園での学習を修了したようです。

 

Belgian Royal PalaceさんはTwitterを使っています 「Fin d’une superbe année à l’ERM au Centre d’entrainement Commando à Marche-les-Dames. Ce stage de 3 jours, qui comprend de l’escalade sur rocher, descentes en rappel, death ride et dinghy, permet aux élèves d’apprendre à repousser leurs limites et à passer des épreuves en groupe. https://t.co/LMDaE81uaG」 / Twitter

 

 

Belgian Royal Palace(@belgianroyalpalace) • Instagram写真と動画

 

 

Royal Military Academy Belgium(@royal_military_academy) • Instagram写真と動画

殉教者・カヘティ王妃聖ケテヴァンの不朽体(聖遺物)がインドからジョージア【グルジア】に(2021年7月)大統領・両外相らが大聖堂の式典に参列するも、バグラチオン王朝からの参列者なし(たぶん)

 2021年7月9日、キリスト教/東方正教会/ジョージア正教会【グルジア正教会】の殉教者・カヘティ王妃聖ケテヴァン(Saint Queen Ketevan of Kakheti)の不朽体(聖遺物)がインドからジョージア【グルジア】にもたらされました。

 

 (英語:インド外務省 公式サイト)External Affairs Minister at the ceremony to mark the return of the holy relics of St. Queen Ketevan in Georgia

Ministry of External Affairs, India(インド外務省 公式チャンネル):
EAM at the ceremony of Handing over of holy relics of Queen St.Ketevan – YouTube

 

ジョージア大統領コメント/
Salome Zourabichvili(サロメ・ズラビシヴィリ公式チャンネル):
პრეზიდენტის კომენტარი ქეთევან დედოფლის წმინდა ნაწილების საქართველოში გადმოსვენებასთან დაკავშირებით – YouTube

 

 (ジョージア語【グルジア語】:ジョージア正教会【グルジア正教会】総主教庁 公式サイト)საქართველოს საპატრიარქო | დიდმოწამე ქეთევან დედოფლის წმინდა ნაწილი საქართველოს მართლმადიდებელ ეკლესიას გადმოეცა

 (英語)Georgian Church receives relics of St. Ketevan from Indian gov’t / OrthoChristian.Com

 

 聖ケテヴァンは、現在のジョージアの東部に成立していたカヘティ王国の王妃(&王太后)であり、サファヴィー朝のアッバース1世にイスラム教への改宗を要求されたため拷問を受け殉教したとされています。
 その遺骨などはカトリックの聖職者によってインドにもたらされます。
 インドでは、自国に現在あるものについては、インドの文化的遺産として扱うため、他国に渡す理由がありません。したがって今回の“返還”はインド首相ナレンドラ・モディ閣下の英断となるわけです。
 今回、インド側が特殊な決断をした上に外務大臣スブラマニヤム・ジャイシャンカル閣下がジョージアを初訪問までしたその目的についての考察はやや錯綜しており、ロシアへの牽制を読み取るものや、あるいはコーカサスへの足掛かりをえて婉曲的に中国への牽制をしている、あるいはイスラムvs非イスラムの対立を構築する作戦という見方もあります。しかし、いずれにせよちと説得力が足りないように思います。はっきりいってよくわかりませんが、当サイトの考察対象ではないのでここまでにしておきます。
 ジョージア側では、副首相・外務大臣ダヴィト・ザルカリアニ閣下が対応をおこないました。

 重要なのは、7月10日には、ジョージアの首都トビリシの至聖三者大聖堂で記念式典がおこなわれたことであり、ジョージア正教会から首座代行であるセナキ・チホロツク府主教シオ座下(His Eminence Metropolitan Shio of Senaki and Chkhorotsqu)が臨席しています。
 事前には総主教イリア2世聖下の臨席という話も出ましたが、高齢と体調の問題で動くのも難しいのかもしれません。
 また、記念式典には、ジョージア大統領【グルジア大統領】サロメ・ズラビシヴィリ閣下(ズラビシュヴィリ大統領)も臨席しています。

 そしてようやくここからが当サイトの本題となります。
 ジョージア王室、あるいはバグラチオン王朝の当主は二系統にわかれて対立を続けています。
 男系では年長系統ながら、長らく君主の位から離れていたムフラニ系統。
 そして、ジョージアの最後の統一的な王の系統であるグルジンスキー系統。
 動画やその他記事を見る限りでは、両系統ともこの重要な式典に臨席していません。
 ムフラニ系ジョージア王室当主/ジョージア皇太子ダヴィト殿下(ムフラニ公 : His Royal Highness The Crown Prince Davit of Georgia, Royal Prince of Kartli (Batonishvili), Prince of Mukhrani and Mukhran Batoni : ダヴィト・バグラチオニ=ムフラネリ公子 : Prince Davit Bagrationi-Mukhraneliダヴィト・バグラチオン=ムフランスキー公子 : Prince Davit Bagration-Moukhransky)は、グルジンスキー系統の元妻からの暴行・DVでの提訴を受けジョージアを離れています。臨席しようがありません。
 一方、グルジンスキー系統のジョージア皇太子ヌグザル殿下(His Royal Highness Crown Prince Nugzar of Georgia : ヌグザル・バグラチオン=グルジンスキー公子 : Prince Nugzar Bagration-Gruzinskyヌグザル・バグラチオニ=グルジンスキー公子 : Prince Nugzar Bagrationi-GruzinskiBatonishviliTsarevich)もまた臨席していません。

 聖ケテヴァンは、ムフラニ系の男系女子であり、またヌグザル殿下の直接の先祖になります。
 そして、バグラチオン王朝関連の出来事で、今回より大きなことは当分ない、下手したらもうないということです。
 このような状況で臨席が実現しなかったのは、もはや政府も教会も両系統共に王室当主として扱う気が薄れているのではないかという気がします。
 王政復古どころか当主として扱われないという、なんとも情けない有様になってしまいましたが……。そもそも先祖の遺骨の返還に呼ばれないという時点で、もうどうにもならないでしょう。
 最大の王政復古支持者である総主教イリア2世聖下は高齢で、後継と目されるシオ府主教は、コンスタンティノープルがロシア正教会の管轄権下にあるウクライナに対して起こした勝手な行動に起因するシスマ2018が遠因で、コンスタンティノープルを支持する聖職者らとの教会内闘争に入りつつあり、教会は王政復古を支持するどころではありません(これは東方正教会全域がそうで、もはやルーマニアやブルガリア、セルビアですら王政復古は不可能です。なにかすると、コンスタンティノープルが介入してきて荒れる可能性があるのでは、王政復古による社会の安定など戯言にしかなりません)。
 ジョージア政府にしても、今までメインで支持してきたムフラニ系のダヴィト殿下がこんなことになってしまった以上、やる意味も見いだせないでしょう。そもそも彼らが本気でダヴィト殿下とヌグザル殿下の関係をマネージしなかったことが一因ではありますが……。

 ダヴィト殿下の一子で、ヌグザル殿下の女系孫にもあたるギオルギ殿下の将来に期待する人々もいますが、統一の王室当主として認められる可能性はあるかもしれませんが、それは確実ではありませんし、まして王政復古はもうないと断言していいでしょう。

 

関連:
 ジョージア王女【グルジア王女】アナ殿下が父でグルジンスキー系当主のヌグザル殿下と共に、元夫で対立するムフラニ系当主のダヴィト殿下を「王室の代表者を勝手に名乗るのをやめよ」と提訴(2019年3月)ダヴィト殿下がエリザベス2世陛下に授与した勲章(鳩山(元)総理も授与されているとの噂あり)が一定金額寄付すれば誰でも入手できる説や、ダヴィト殿下側が弁護士がヌグザル殿下を「ジョージア正教会【グルジア正教会】によるDNA検査の結果バグラチオン王朝の一員でないとわかった」(検査機関は否定)とするなど泥沼総決算の予感
 ジョージア王室【グルジア王室】グルジンスキー系当主ヌグザル殿下をはじめとする人々(ムフラニ系含む)が、対立するムフラニ系当主のダヴィト殿下とその弁護士を非難する公式声明を新聞に掲載した模様(2019年4月)

 

記事・動画(英語):abc news による、将来的にイタリア王室(直系)当主になるカリニャーノ女公/サヴォイア公女ヴィットーリア殿下に関する記事(2021年6月)

 アメリカの abc news が、将来的にイタリア王室(直系)当主になるサヴォイア公女ヴィットーリア殿下(カリニャーノ女公 : イヴレーア女侯爵 : Her Royal Highness Princess Vittoria of Savoy, Princess of Carignano, Marquise of Ivrea)に関する記事・動画を掲載しています。

 ヴィットーリア殿下の父エマヌエーレ・フィリベルト殿下のコメントや、対立するアオスタ系統のアイモーネ殿下のコメントも含みます。

 記事の最後は「イタリアに王政復古が起こるとは思えないが」という文章に対し、エマヌエーレ・フィリベルト殿下の “Never say never.” という言葉を添えて終わっています。

 

 (英語)Young princess fights for her claim to the (abolished) throne of Italy – ABC News

 

関連:
 イタリア王室(直系)が継承法を絶対長幼制へ改定へ。サヴォイア公女ヴィットーリア殿下が将来的にイタリア王室当主に(2020年1月)

訃報(2021年6月1日):イタリア王室(アオスタ系統当主・サヴォイア公)アオスタ公爵アメデーオ殿下が薨去(1943~2021)

 2021年6月1日、対立するイタリア王室のうち傍系/アオスタ系統の当主(サヴォイア公)のサヴォイア公・アオスタ公爵アメデーオ殿下(Prince Amedeo : His Royal Highness The Duke of Savoy and The Duke of Aosta)が薨去した模様です。
 1943年9月27日生まれの77歳。

 薨去に伴い、子息のプッリャ公爵アイモーネ殿下(His Royal Highness Prince Aimone of Savoy-Aosta)が当主の地位を継承します。

※称号ですが、公式サイトのほか、報道したイタリア紙の多くが Duca di Savoia e Duca d’Aosta と、サヴォイア公とアオスタ公爵の称号を併記しています。この二つをアイモーネ殿下もこれから使用すると思われます。
 2006年の段階で、アメデーオ殿下が自身のアオスタ公爵号を子息のアイモーネ殿下に使用させるとした決定がややこしい影響を及ぼし、結果、アイモーネ殿下がプッリャ公爵の称号すら消極的になるような状況も生じましたが、これで解消となるでしょう。

 

 (イタリア語:イタリア王室アオスタ系統 公式サイト)Scomparsa di S.A.R. il Principe Amedeo di Savoia – Real Casa di Savoia
 (イタリア語:イタリア王室アオスタ系統 公式サイト)Superga 1 luglio 2021. Ultimo saluto a S.A.R. Il Principe Amedeo di Savoia – Real Casa di Savoia

 

葬儀の映像(一部)/
Basilica di Superga:
Cerimonia per il Principe Amedeo Duca D'Aosta – YouTube

 葬儀には他の(旧)君主家からの臨席もあり、アオスタ系統を当主とみなす動きは大きくないものの、イタリア王室一員であることは変わらないということでしょう。