2020年1月10日(11日との報道もあります)、オマーン国のスルタン カブース・ビン・サイード・アル・サイード陛下(His Majesty Sultan Qaboos bin Said al Said of Oman)が崩御した模様です。
1940年11月18日生まれの79歳。
関連:
ベルギー王国で治療を受ける予定だったオマーンのスルタン(国王)カブース・ビン・サイード陛下(カブース国王)が帰国。母国での最期を望んでのことと一部報道(2019年12月)
次期スルタンですが、王族のうち「狭義の王族(統治王族)」の協議がおこなわれる一方、スルタンが意中の候補を封した文書があります(あるはずです)。
協議で速やかに決まらない場合、文書の公開となるものと思われますが……。
続報:
オマーンの新しいスルタン【国王】にオマーン遺産文化相ハイサム・ビン・ターリク・アル・サイード殿下(故カブース陛下の従弟)が即位したとの報道(2020年1月)
葬儀(2020年1月11日):オマーンのスルタン(国王)カブース・ビン・サイード陛下(カブース国王)の葬儀がおこなわれる
更新中:各国君主・王族からの、オマーンのスルタン(国王)カブース・ビン・サイード陛下(カブース国王)への弔意の表明(2020年1月)
(英語)Diwan of Royal Court Issues Obituary
(英語)Defence Council Issues Statement
オマーンの国王死去 半世紀近く国家元首 | NHKニュース
(英語)Sultan Qaboos of Oman dies aged 79 – Al Arabiya English
(英語)His Majesty Sultan Qaboos passes away: Royal Court statement – Times Of Oman
(英語)His Majesty Sultan Qaboos passes away: Royal Court statement
Al Arabiya EnglishさんはTwitterを使っています: 「The late Sultan #Qaboos, 79, had ruled the Gulf Arab state of Oman since he took over in a bloodless coup in 1970 with the help of Oman’s former colonial power Britain. https://t.co/hfcTj6658m https://t.co/eWiDm5Pal6」 / Twitter
関連:
オマーン次期スルタンの最有力候補/副首相アスアド・ビン・ターリク・アル・サイード殿下が、ウガンダ大統領特使/トロ王ルキディ4世陛下と会見(2020年1月)トロ王は9月に「世界君主サミット2020」を開催予定
※やや古い記事ですが、↓の時期の後継候補について引用しておきます。
オマーン遺産文化相のハイサム・ビン・ターリク・アル・サイード殿下(スルタンの従弟で、後継候補に名のあがっていた一人)が、キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下と会見(2018年5月)
もともと後継として名前が挙がっていたのは、カブース陛下即位後から現在まで50年近く副首相(閣議担当副首相)を務めているファハド・ビン・マフムード・アル・サイード殿下(His Hihgness Sayyid Fahd bin Mahmoud al Said)です。
オマーンでは首相などをスルタンを務めるため、副首相はナンバー2。
そして、ファハド殿下は、カブース陛下の先祖のスルタンの兄の子孫です。
ここでオマーン王室の中の王族分類について。
オマーンでは王族に、狭義の王族と広義の王族が存在します(ほかの国にもあったりしますが)。
オマーン関係の資料だと、前者を「統治王族」、後者を「一般王族」と呼んでいたりしますが、ともあれ、スルタンは前者から出ます。
ここの区別を知らないで、系統もよくわからない事業家の人物を後継者候補などとする記述があったりしますが、上記のルールから考えれば父親が誰かの情報もない人物が継承できると考えるのは無理があります(そもそも広義の王族にすら入っているのかどうかすらわかりませんし)。
※ザンジバルを統治していた系統は後者になります。
ファハド殿下は、前者の中の年長系の一族の一人であり、そのため、過去の世代の継承問題と関連して後継者として正統とされているのではないかという見方がありました。
しかし、生まれた年代がカブース陛下とほぼ変わらない(同年という説も)ファハド殿下が本当に後継者なのかという疑問はありました。
そして、それに次いで名前が挙がっていたのは、カブース陛下の従弟にあたる“三兄弟”、今回の記事のハイサム殿下、前出の弟のアスアド殿下、そして同じく弟の“サイイド”・シハーブ・ビン・ターリク・アル・サイード殿下(His Hihgness Sayyid Shihab bin Tariq Al Said)です。
スルタンの統治が長くなるにつれ、さらに下の世代が意識され始め、それによりアスアド殿下の子息の“サイイド”・タイムール・ビン・アスアド・ビン・ターリク・アル・サイード殿下(His Hihgness Sayyid Taimur bin Asaad bin Tariq Al Said)の名前が後継候補としてあがってくるようになります。
他の候補だったファハド殿下、ハイサム殿下、シハーブ殿下らの方面では、その子息らが重要視されたり、要職への起用があったりということもないため、アスアド殿下 → タイムール殿下 という順序でのスルタン位の継承が意識され、そしてアスアド殿下の副首相(国際関係・協力担当副首相)兼国王特別代理への起用がその見方を強めています。
とはいえ、これですべて終わりなのかどうかはわかりません。
現在のところ、アスアド殿下が有力ではありますが、外務関係の仕事を長く務め、国際的には知名度もあるハイサム殿下の可能性がないわけではありません。
しかし、ハイサム殿下は60代半ばにさしかかっているはずで、アスアド殿下と違いその後継問題がすぐに俎上にのぼることになるでしょう。
オマーンの新しいスルタン【国王】にオマーン遺産文化相ハイサム・ビン・ターリク・アル・サイード殿下(故カブース陛下の従弟)が即位したとの報道(2020年1月)