婚約(2022年8月25日):リヒテンシュタイン公子(ヨハン・)ヴェンツェル殿下とハルティヒ伯爵女フェリツィタスが婚約

 リヒテンシュタイン公子ヨハン・ヴェンツェル殿下(His Serene Highness Prince Johann Wenzel of Liechtenstein : Prinz Johann Wenzel von und zu Liechtenstein)とハルティヒ伯爵女フェリツィタス(Countess Felicitas of Hartig)が婚約したようです。

※ヨハン・ヴェンツェル殿下の表記は名前の間にハイフンが入るケースと入らないケースがあり、どちらが正しいか不明。また、ヴェンツェル単独の表記の場合もあります。

 ヨハン・ヴェンツェル殿下の父は、リヒテンシュタイン公室ではやや傍系のグンダカル殿下で、母はオルレアン派フランス王室の長姉であるリヒテンシュタイン公子妃マリー殿下(オルレアン公女 : フランス王女 : Her Royal Highness Princess Marie of Liechtenstein, Princess of Orléans, Princess of France)です。そのため、マリー殿下の弟のパリ伯ジャン4世殿下が自身の公式サイトで婚約を報じています。

 ハルティヒ家は、オーストリアやチェコなどの貴族の家柄です。

 

 (英語)Eurohistory: A Princely Engagement: Prince Johann Wenzel of Liechtenstein and Countess Felicitas von Hartig

 (フランス語:オルレアン派フランス王室当主/パリ伯 公式サイト)Fiançailles de S.A.S. le Prince Johann-Wenzel de et à Liechtenstein – Le Comte de Paris

𝐅𝐢𝐚𝐧ç𝐚𝐢𝐥𝐥𝐞𝐬 𝐨𝐟𝐟𝐢𝐜𝐢𝐞𝐥𝐥𝐞𝐬 𝐝𝐞… – Prince Jean, Comte de Paris | Facebook

来日したUAEのハーリド・ビン・ムハンマド殿下が内閣総理大臣 岸田文雄 閣下を訪問(2022年9月)UAE大統領(アブダビ首長)の長男(?)

 2022年9月26日、来日したアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ執行評議会委員・アブダビ執行事務局長“シャイフ【シェイク】”・ハーリド・ビン・ムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン殿下(His Highness Sheikh Khaled bin Mohamed bin Zayed Al Nayan, member of the Abu Dhabi Executive Council and Chairman of the Abu Dhabi Executive Office)は、日本国 内閣総理大臣岸田文雄閣下(きしだ ふみお : His Excellency Mr. Fumio Kishida)を訪問しました。

 まずこのハーリド・ビン・ムハンマド殿下がどなたかという話ですが、現UAE大統領・アブダビ首長のムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン殿下の長男ではないかと思います。
 また、アブダビの役職しか持っていない(連邦レベルの役職ではない)のに、今回の来日では大臣を含む外交団のトップに据えられており、後継者の有力候補と見るのが妥当に思われます。
 今後、アブダビ皇太子に任命されるかどうかは注目です。

 それはそれとして、外務省記事と UAE 報道で微妙な差異があるのが気になるのですが……

 

 ハーリド・アブダビ執行評議会委員兼執行事務局長による岸田総理大臣への表敬|外務省
 (英語)Emirates News Agency – Khaled bin Mohamed bin Zayed witnesses launch of strategic partnership agreement between UAE, Japan

 

冒頭、岸田総理大臣から、「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)の実施に関する共同宣言」を近日中に署名できる運びとなったことを歓迎する旨述べた上で、故安倍晋三国葬儀へのハーリド殿下の参列に対する謝意を表明するとともに、

 「近日中に署名できる運び」となっていますが、 UAE 側では文書を署名し交換したような写真が記事および Twitter に掲載されています(別の文書かもしれませんが)。
 また、 UAE 側の記事には、安倍総理の国葬の件は記述がありません(この時期に来日して参列しないこともないでしょうが、もともとのパートナーシップの強化の発案者として安倍総理の名前が挙げられているだけに不思議ではあります)。

これを受け、ハーリド殿下から、安倍元総理大臣の逝去に対し、心からの哀悼の意を示し、ムハンマド大統領からも弔意をことづかっていると述べるとともに、

  UAE 側には哀悼に関連する表記はなく、また父である大統領(アブダビ首長)からの親書は手渡されていますが、こちらもまた弔意に関する表記はありません。

 

WAM EnglishさんはTwitterを使っています: 「Khaled bin Mohamed bin Zayed witnesses launch of strategic partnership agreement between UAE, Japan. #WamNews https://t.co/nMC3kKkBn9 https://t.co/mg2nSXeyBQ」 / Twitter

 

WAM EnglishさんはTwitterを使っています: 「Khaled bin Mohamed bin Zayed witnesses launch of strategic partnership agreement between UAE, Japan #WamNews https://t.co/gjpWdDLZfQ https://t.co/SJitbmgzZq」 / Twitter

 

外務省さんはTwitterを使っています: 「ハーリド・アブダビ執行評議会委員兼執行事務局長による岸田総理大臣への表敬 9月26日、#岸田総理大臣 はアラブ首長国連邦(#UAE)のハーリド・ビン・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アブダビ執行評議会委員兼執行事務局長の表敬を受けました。 https://t.co/NQw9ZrFC6B https://t.co/5ysBKRA0Qt」 / Twitter

記事(英語):ナイジェリアで最も強力な王たち トップ10(2022年9月)

 定期的に見かけるタイプの記事ですが、ナイジェリア連邦共和国で最も影響力のある伝統的君主を10人挙げています。

 

 (英語)Most Powerful Kings in Nigeria (With Pictures): Top 10 – Bscholarly

 

 10人は、

1. Alaafin of Oyo
2. Emir of Kano
3. Sultan of Sokoto
4. Ooni of Ile-Ife:
5. Dein of Agbor
6. Oba of Benin
7. Oba of Lagos
8. Obi of Onitsha
9. Olu of Warri
10. Olubadan of Ibadan

 となっており、

  1. オヨ王
  2. カノ首長
  3. ソコトのスルタン
  4. (イレ=)イフェ王
  5. アグボー王
  6. ベニン王
  7. ラゴス王
  8. オニチャ王
  9. ワリ王
  10. イバダン王

 いずれも記事などで動静がよく報じられる人物たちです(オヨ王は2022年4月に崩御し、空位)。

 1.のオヨ王と、4.のイフェ王は、ヨルバ系の二大君主です。歴史的にもあまり仲がよろしくありません。
 7.のラゴス王、10.のイバダン王もヨルバ系なので、このトップ10ではヨルバ系君主が4人ということになります。イバダン王は最近崩御があり、先代王と確執・騒動があった人物が新たに王となっています。

 2.のカノ首長は、北部イスラム圏ではナンバー2の君主です。
 大きな影響力を誇った先々代のアド・バイエロの薨去後、長男のサヌシ・アド・バイエロではなく、ムハンマド・サヌシ2世(ジョナサン大統領(当時)と対立した中央銀行総裁(当時))が政治的なバランスも考慮されて州知事から指名されていました。
 しかし結局、廃位され、アド・バイエロの次男(?)のアミヌ・アド・バイエロ(ビチ首長という新設の首長になっていた)が継承しています。ビチ首長自体は弟のナシル・アド・バイエロが継承。
 また先述のサヌシ・アド・バイエロは首長位につけておらず、弟の即位後に評議会のメンバーに選出されていますが、将来の継承に影響が出るのかどうかはわかりません。

 3.のソコトのスルタンは、北部イスラム圏でナンバー1の権威の君主です。
 ナイジェリアからのマッカ(メッカ)巡礼を率いる役割を毎年のように大統領から打診されていますが、これが伝統なのかどうかはよくわかりません。

 5.のアグボー王は、(Dein of Agbor)という称号を用いますが、州の伝統的君主の評議会がこの称号を取り消して他の君主らと同じようなものにしようとした結果、抗議活動が起こったりするなどの出来事がありました。

 6.ベニン王、8.オニチャ王に比べると、9.ワリ王の知名度は低かったように思いますが、昨年の戴冠式に大統領経験者やイフェ王の訪問があったり、関連してベニン王との歴史的つながりがあらためて示されたりということがありました。

訃報(2022年9月11日):英国の第17代バハン伯爵【バカン伯爵】マルコム・アースキン閣下が薨去(1930~2022)

 2022年9月11日、英国のスコットランド貴族/第17代バハン伯爵マルコム・ハリー・アースキン閣下(Malcolm Harry Erskine, 17th Earl of Buchan)が薨去したようです。
 1930年7月4日生まれの92歳。

 薨去に伴い、子息のヘンリーHenry)が第18代伯爵となっていると思われます。Telegraphの訃報内家族標記では名前をハリー(Harry)と表記しています。愛称かもしれませんが、薨去した伯爵の名前の一部がハリーなので、判断に困るケース。
 また、第18代伯爵の継嗣アレクサンダーがカードロス卿(Lord Cardross)の儀礼称号を用いることになるでしょう。

 

 (英語)BUCHAN – Deaths Announcements – Telegraph Announcements
 (英語)Peerage News: The 17th Earl of Buchan 1930-2022

訃報(2022年9月15日):“サー”・ジョン・ロバート・モウブレー準男爵(第6代)が卒去(1932~2022)卒去に伴い準男爵位は消滅

 2022年9月15日、英国の連合王国準男爵“サー”・ジョン・ロバート・モウブレー準男爵【第6代】(Sir John Robert Mowbray, Bt : 6th Baronet)が卒去したようです。
 1932年3月1日生まれの90歳。

 準男爵には娘三人のみで男子がおらず、また初代準男爵の男系男子も存在していないようで、卒去に伴い、同・準男爵位は消滅しました。

 

 (英語)MOWBRAY – Deaths Announcements – Telegraph Announcements
 (英語)Peerage News: Sir John Robert Mowbray, 6th Baronet 1932-2022