結婚(2021年5月6日):南アフリカ伝統的君主/ズールー王に指名されたミスズールー王子殿下が、指名(母・摂政マントフォンビ陛下の葬儀の日に遺書で)の前日に結婚(民事婚)していた模様。「結婚していないので王になる資格はない」との批判をかわすためか

 母であるズールー王国摂政(王妃)マントフォンビ・ドラミニ陛下(Her Majesty Queen Regent Mantfombi Dlamini)の遺書でズールー王に指名されたミスズールー・ズールー王子殿下(His Royal Highness Prince Misuzulu Zulu)、あるいはすでにズールー王ミスズールー・シンコビレ・カズウェリティニ陛下(His Majesty King Misuzulu Sinqobile kaZwelithini of Zulu)と呼んだ方がいいのかもしれませんが、ともあれ摂政の葬儀=指名の日の前日に、ントコゾ・マイイセラNtokozo Mayisela)という女性と結婚(民事婚)していたことがわかりました。

 二人の間には、9歳と3歳の王子がすでに誕生しているようです。

 

 さて、この駆け込みでの結婚は、「結婚していないので王になる資格はない」という批判をかわすためか、と思われているようです。

 そうかもしれませんが、しかしここでいくつか疑問が出ます。

 まず、「結婚していないとダメ」という批判は、ズールー王国の伝統から来るものであるはずであり、であれば(南アフリカ共和国の民事婚ではなく)ズールー王国の伝統的な結婚式をおこなわなければ条件を満たさないのではないか、ということです。

 二つ目は、そもそもそんな条件が本当にあるのか、ということです。2021年3月12日に崩御した南アフリカ共和国の伝統的君主/ズールー王グッドウィル・ズウェリティニ陛下(His Majesty King Goodwill Zwelithini of Zulu)の後継候補としては、ミスズールー王子のほかは、第一夫人との間の子息で2020年11月に薨去したレツクツラ・ズールー王子殿下(His Royal Highness Prince Lethukuthula Zuluが挙げられ、レツクツラ殿下も結婚しているという話は出ていません。
 「結婚していないと王になれない」のに、王の後継候補二人が揃いも揃って中年~初老にもなって結婚していないということがあるのかと。

 

 ともあれ、ミスズールー陛下はさらに他に二子を儲けているようで、そのうちの一人の母親である、ムポンド人の王族であるウェジズウェ・シカウ王女(Princess Wezizwe Sigcau)と戴冠式の前に結婚するという予測があるようです。

※なお、ムポンド人の王位を争っていた人物の中にウェジズウェ・シカウWezizwe Sigcau)の名があり、こちらも王女でしょうが、別人……なんでしょう。同一人物ならさすがに記事内で言及されると思います。
関連:
 南アフリカ伝統的君主:憲法裁判所がCTLDCの判断を支持。政府はムポンド人の王をザノズコ陛下だと認める手続きを開始(2018年10月)

 他の王室出身者であるウェジズウェ王女には、結婚後に Great Wife と呼ばれる資格があり、二人の子供であるジュベジズウェニ・シカウ=ズールー王子(Prince Jubezizweni Sigcau-Zulu)をすでに将来のズールー王と見る向きもあるようです。

 

 余談ですが、行政の文書からミスズールー陛下の子供の割り出しをおこなっている人物もいるようで、南アフリカ共和国では個人情報の保護があまりされていないのではないかと思われます。

 

 (英語)Documents show new Zulu King Misuzulu got married last week
 (英語)PIC: MEET ZULU KING'S NEW MAKOTI
 (英語)King Misuzulu kaZwelithini has a bride – reports

南アフリカ伝統的君主:崩御したズールー王の第一王妃と娘の王女たちが提訴をおこなった模様(2021年5月?)南アフリカ共和国では慣習的な一夫多妻は容認されているものの、民事婚は認めていないため、第一王妃のみが法律上の妻との主張など

 2021年3月12日の南アフリカ共和国の伝統的君主/ズールー王グッドウィル・ズウェリティニ陛下(His Majesty King Goodwill Zwelithini of Zulu)の崩御に続き、2021年4月29日には摂政(第三王妃)マントフォンビ・ドラミニ陛下(Her Majesty Queen Regent Mantfombi Dlamini)が崩御となり、混乱しているズールー王国情勢ですが、報道によれば、故ズールー王の第一王妃シボンギレ・マドラミニ陛下(Her Majesty Queen Sibongile MaDlamini)と娘の二王女が提訴を起こしたようです。

 記事内容によると、南アフリカ共和国では、慣習的な一夫多妻は容認されているものの、民事婚では妻は一人のため、第一夫人のみが唯一の正式な配偶者と主張しているようです。そうなると、遺産相続権もそれに従うべきとの見解が出てきますが……。
 現行の南アフリカ共和国憲法が出来てからズールー王の崩御は初であり、主張の正しさはなんともわかりません。ただ、南アフリカには多数の伝統的君主とその一族がおり、一夫多妻が他にないはずもなく、このような主張が通るのであればすでに例があるように思えます。
 そのほか、二王女は、故ズールー王の遺言が歪められていると主張しているようです。

 ただ、第一夫人の子息レツクツラ・ズールー王子殿下(His Royal Highness Prince Lethukuthula Zulu)は2020年11月に薨去しており、他に息子はいないため、(今のところ女王位を要求しているわけではないため)ズールー王位は結局のところ、他の夫人の子息のものとなるはずです。

 それにしても、エスワティニ王(スワジランド王)ムスワティ3世陛下(His Majesty King Mswati III of Eswatini)の姉である第三王妃との結婚が民事では有効ではないとすると、外交問題に発展しかねない気もしますが……。発展しないのであれば、王室の慣習は憲法より上ということで、それはそれでアフリカによくある感覚という気もします。

 

 (英語)King Goodwill Zwelithini’s first wife in succession battle, set to challenge will
 (英語)Report: Zulu royals embroiled in alleged fraudulent will dispute

 

続報:
 南アフリカ伝統的君主:ズールー王ミスズールー陛下が、亡父とその第一王妃の結婚を無効とするよう法的措置を開始した模様(2021年7月)

訃報(2021年4月29日?):南アフリカ伝統的君主/ズールー摂政(王妃)マントフォンビ陛下が崩御(1953~2021)ズールー王の崩御の翌月。南ア大統領は弔意を表明。エスワティニ王(スワジランド王)ムスワティ3世陛下の姉

 2021年4月29日、南アフリカ共和国のズールー王国摂政(王妃)マントフォンビ・ドラミニ陛下(Her Majesty Queen Regent Mantfombi Dlamini)が崩御した模様です。
 1953年2月15日生まれの68歳。
 エスワティニ王(スワジランド王)ムスワティ3世陛下(His Majesty King Mswati III of Eswatini)の姉です。
 
 マントフォンビ陛下は、2021年3月12日の南アフリカ共和国の伝統的君主/ズールー王グッドウィル・ズウェリティニ陛下(His Majesty King Goodwill Zwelithini of Zulu)の崩御を受けてもっとも格の高い王妃(Great Wife : 他の王室出身を示す)であったことにより摂政に就任し、次の王の即位まで務める予定でした。
 後継王は、故両陛下の長男であるミスズールー・ズールー王子殿下(His Royal Highness Prince Misuzulu Zulu)が確実視されていましたが、次の摂政も含めて混沌としてきました。
追記:
 マントフォンビ陛下が生前に、ミスズールー王子に摂政を“譲位”したという情報が出ていますが、本当かどうか、有効かどうか、不明です。

 また、故ズールー王と第一王妃(マントフォンビ陛下とは別人)の長男レツクツラ・ズールー王子殿下(His Royal Highness Prince Lethukuthula Zulu)が2020年11月に殺害されたこともあり、一連の経緯について陰謀論なども出始めており、マントフォンビ陛下の死因についても毒殺ではないかとの声もあります。
 もちろん、すべて胡散臭いですが、王の長男と王と摂政が半年も経たずに死んでいくという状況では仕方ないかもしれません。

 また、南アフリカ共和国大統領マタメーラ・シリル・ラマポーザ閣下(Matamela Cyril Ramaphosa)は摂政王妃の崩御に弔意を表明しました。

 

eNCA:
AmaZulu Queen Regent has passed away – YouTube

 

eNCA:
Tributes pour in for AmaZulu regent – YouTube

 

 (英語)Zulu Queen Shiyiwe Mantfombi Dlamini Zulu, Regent of the Zulu Nation, has died | Witness

 (英語)Zulu Queen Mantfombi Dlamini dies a month after becoming regent – BBC News

 (英語)Zulu nation shocked as Queen Shiyiwe Mantfombi Dlamini Zulu dies

 

 (英語:南アフリカ共和国大統領府 公式サイト)President mourns passing of Her Majesty Queen Shiyiwe Mantfombi Dlamini Zulu, Regent of the Zulu nation | The Presidency

Presidency | South Africa 🇿🇦さんはTwitterを使っています 「President mourns passing of Her Majesty Queen Shiyiwe Mantfombi Dlamini Zulu, Regent of the Zulu nation https://t.co/f1q8RgJ3fd」 / Twitter

南アフリカ伝統的君主/ズールー王と第一王妃の長男レツクツラ・ズールー王子殿下を殺害した疑いで逮捕された男女5人の保釈の可否の決定が週末に延期(2020年11月)

 南アフリカ共和国の伝統的君主/ズールー王グッドウィル・ズウェリティニ陛下(His Majesty King Goodwill Zwelithini of Zulu)と第一王妃シボンギレ・マドラミニ陛下(Her Majesty Queen Sibongile MaDlamini)の間の第一子・長男レツクツラ・ズールー王子殿下(His Royal Highness Prince Lethukuthula Zulu)を殺害した疑いで逮捕された男女五人の保釈が許可されるかどうかが週末に決まるようです。

※事態の流れをすべて確認していませんが、容疑者側の保釈請求に関する決定が延期されたということだと思います。

 

既報:
 訃報(2020年11月6日):南アフリカ伝統的君主/ズールー王と第一王妃の長男レツクツラ・ズールー王子殿下が薨去(1970~2020)犯罪に巻き込まれた可能性との報道
 南アフリカ伝統的君主/ズールー王と第一王妃の長男レツクツラ・ズールー王子殿下を殺害した疑いで男女5人が逮捕(2020年11月)

 

 (英語)Prince Lethukuthula Zulu murder case postponed | eNCA

eNCA:
Prince Lethukuthula Zulu murder case postponed – YouTube

 

KhayelihleKhumaloさんはTwitterを使っています 「#ZuluPrince Scenes outside court and we believe these are headmen who were sent by the King. https://t.co/e1sH7sXYOu」 / Twitter

 

KhayelihleKhumaloさんはTwitterを使っています 「#ZuluPrince Some of the royal household members who attended the case and they are not speaking to the media yet. https://t.co/XjzuyvLe0h」 / Twitter

 

南アフリカ伝統的君主/ズールー王と第一王妃の長男レツクツラ・ズールー王子殿下を殺害した疑いで男女5人が逮捕(2020年11月)

 2020年11月20日、南アフリカ警察【SAPS】は、レツクツラ・ズールー王子殿下(His Royal Highness Prince Lethukuthula Zulu)を殺害した疑いで、32歳の男一人と、27歳~42歳の女四人を逮捕した模様です。
 記事を読む限りでは強盗の類に思えます。

 

 (英語)5 arrested for murder of Prince Lethukuthula Zulu

 

 故・王子は、南アフリカ共和国の伝統的君主/ズールー王グッドウィル・ズウェリティニ陛下(His Majesty King Goodwill Zwelithini of Zulu)と第一王妃シボンギレ・マドラミニ陛下(Her Majesty Queen Sibongile MaDlamini)の間の第一子・長男です。

既報:
 訃報(2020年11月6日):南アフリカ伝統的君主/ズールー王と第一王妃の長男レツクツラ・ズールー王子殿下が薨去(1970~2020)犯罪に巻き込まれた可能性との報道

続報:
 南アフリカ伝統的君主/ズールー王と第一王妃の長男レツクツラ・ズールー王子殿下を殺害した疑いで逮捕された男女5人の保釈の可否の決定が週末に延期(2020年11月)