逃亡中のルーマニア王カロル2世男系孫パウル・フィリップ・アル・ロムニエイ氏(“ルーマニア王子パウル殿下”)がフランスで身柄を拘束された模様(2022年6月)

 バネアサ農園事件などに伴い、3年4ヶ月の実刑判決が出、ルーマニアから逃亡していたパウル・フィリップ・アル・ロムニエイ氏(Paul Philippe al României)ですが、2022年6月27日にフランス共和国のパリで身柄を拘束された模様です。
 判決から拘束まで一年半がかかりました。

 ルーマニア本国への送還がおこなわれると思われます。

 

 (ルーマニア語)Prinţul Paul al României, dat în urmărire internaţională, a fost prins la Paris

Antena 3:
Prinţul Paul al României, dat în urmărire internaţională, a fost prins la Paris – YouTube

 

Antena 3:
Cum poate scăpa Prinţul Paul de închisoare în România. Scenariile avocaţilor – YouTube

 

 (ルーマニア語)Paul al României a fost prins în Franța. Pentru ce fusese condamnat

Wall-Street.ro – El fusese condamnat la 3 ani și 4 luni… | Facebook

訃報(2022年3月29日):フリードリヒ・アウグスト3世の男系男子(貴賤結婚の子孫)でヴェッティン家/ザクセン王室当主を称していたマイセン辺境伯リューディガー殿下が薨去(1953~2022)

 2022年3月29日、マイセン辺境伯リューディガー殿下(Rüdiger : His Royal Highness The Margrave of Meissen, Prince of Saxony, Duke of Saxony : リューディガー・プリンツ・フォン・ザクセンRüdiger Prinz von Sachsen)が薨去したとの情報です。
1953年12月23日生まれの68歳。
 心臓発作による急死とのことです。

 

 (ドイツ語)Rüdiger Prinz von Sachsen stirbt mit 68 Jahren

 

 故リューディガー殿下は、ザクセン王フリードリヒ・アウグスト3世の男系男子の中ではもっとも年長系統ですが、貴賤結婚の子孫のため、特に貴族社会においては当主であるとの支持を広く受けていません(アルベルティン系統ヴェッティン家の一員としての認知すら受けていません)。
 最後の異議の無い当主マリア・エマヌエル殿下の後は女系甥で養子のアレクサンダー殿下が後継者、ないしはアルベルティン系統ヴェッティン家は絶えている、というのが多くの立場です。
 しかし、ザクセンに存在するらしい王党派の中には男系維持を主張してデモを起こした人々もおり(リューディガー殿下を支持していたかどうかはわかりませんが、他に候補はいません)、またメディアでも主張を承認している記事を散見します。
 これには、あるいは、アレクサンダー殿下がドイツに在住しておらず、また継承直後以外は熱心な活動をおこなっていないことが原因かもしれません。

 

 リューディガー殿下の薨去に伴い、長男のダニエル・ティモ殿下(Daniel Timo)が新たに地位を引き継ぎます。

 また、ここ数年でアルベルティン系ヴェッティン家当主をポーランド王にという話題がたびたび出、アレクサンダー殿下とリューディガー→ダニエル・ティモ両殿下が候補として名前が挙がります。

訃報(2022年2月17日):キリスト教/オストラヴァ=オパヴァ司教フランティシェク・ヴァーツラフ・ロプコヴィッツ座下(ロプコヴィッツ公子フランツ殿下)が帰天(1948~2022)ロプコヴィッツ公の弟

 2022年2月17日、キリスト教/ローマ・カトリック教会/チェコ共和国のオストラヴァ=オパヴァ司教フランティシェク・ヴァーツラフ・ロプコヴィッツ座下(Bishop František Václav Lobkowicz, O. Praem., Bishop of Ostrava-Opava)が帰天したようです。
 1948年1月5日生まれの74歳。

 ロプコヴィッツ公ヤロスラフ殿下の弟です。

 

 (チェコ語)Zemřel první ostravsko-opavský biskup František Václav Lobkowicz – Seznam Zprávy
 (チェコ語)Zemřel ostravsko-opavský biskup Mons. František Václav Lobkowicz O.Praem.

結婚(2021年11月?):ホーエンツォレルン公世子アレクサンダー殿下が父の許可なしに結婚。ジグマリンゲン系統の継嗣から外れるとの観測

 ホーエンツォレルン公カール・フリードリヒ殿下(Karl Friedrich : His Highness The Prince of Hohenzollern)の唯一の男子で継嗣のアレクサンダー公世子殿下が(His Serene Highness Hereditary Prince Alexander of Hohenzollern)が、当主である父の許諾を受けないまま、アメリカ人女性と結婚したとのことです。

 民事婚については不明ですが、カトリックの宗教婚が2021年11月。

 事情を知る人たちが多くを語ろうとしないので、なにがあったのかよくわかりませんが、アレクサンダー殿下は後継から外れるという観測は一致しています。

 これにより、継承順位を考えればカール・フリードリヒ殿下の長弟アルプレヒト殿下、次弟フェルディナント殿下、フェルディナント殿下の長男アロイス殿下、次男フィデリス殿下、となります。
 仮に年長順に亡くなるとした場合、弟二人が相続していくと相続税が多額になるため、甥のアロイス殿下が直接継ぐという見込みもあります(一家はベルリン在住だと思います)。

 それにしても……。
 分家の(旧)ルーマニア王室の故ミハイ1世に男子がおらず、君主政の復活を望む人々の一部から本家筋のホーエンツォレルン公室から後継者を指名してほしいという要望が出ていた(らしい)のが1990年代。
 その時にはホーエンツォレルン公室は男子が多いため、そのような発想もあったのでしょうが、気づけば若い世代の継承可能な男子は、上記のアロイス殿下とフィデリス殿下の他には二人の はとこ のニコラス殿下の、未婚の三人という状況です。

 また、上記の(旧)ルーマニア王室絡みの話ですが、1938年のルーマニア王国憲法によれば、王室の男系男子が途絶えたときはホーエンツォレルン公室から後継者を迎えることになります。これはルーマニア側から人物を指名するのではなく、年長系統から優先、従って当主から順になりますが、本人が拒否すればその人物は対象になりません。
 カール・フリードリヒ殿下がルーマニアに興味がないと明言しているので(文書をルーマニアに出したわけではないので有効ではないかもしれませんが)その場合、次の候補者はアレクサンダー殿下となります。
 今回の結婚により、アレクサンダー殿下がホーエンツォレルン公室から外れるのか否かがまだよくわかりません。が、そもそもホーエンツォレルン公室のメンバーであることを条件にしていないようにも読める(書かなくても当然という前提かもしれませんが)ので、どうなるのかまったくわかりません。

二つの結婚式を前に、ロシア帝室ロマノフ家の争いは終わっていないと思わされる記事(2021年9月)

 ロシア帝室ロマノフ家では、最後の皇帝ニコライ2世の従弟の孫であり現在当主を称しているロシア女大公マリヤ殿下(Head of the Russian Imperial House : Her Imperial Highness The Grand Duchess Maria Wladimirovna of Russia)の唯一の子供であるロシア大公ゲオルギー殿下(His Imperial Highness The Heir, Tsesarevich, and Grand Duke George of Russia : プロイセン王子 : Prince of Prussia)とキリスト教/東方正教会/ロシア正教会に改宗ヴィクトリア・ロマノヴナVictoria Romanovna)の名をえたレベッカ・ベッタリーニ嬢(Rebecca Bettarini)の結婚式が予定されています。
 民事婚は2021年9月24日、宗教婚は2021年10月1日、にそれぞれおこなわれるとの発表。

関連:
 ロシア帝室ロマノフ家継嗣/ロシア大公ゲオルギー殿下とレベッカ・ベッタリーニ嬢の結婚式は2021年10月1日、ロシア・サンクトペテルブルクにておこなわれると発表(2021年3月)
 ロシア帝室ロマノフ家継嗣/ロシア大公ゲオルギー殿下とレベッカ・ベッタリーニ嬢の民事婚は9月24日におこなわれる模様(2021年8月)

 

 一方、ロマノフ家には男系子孫が存在しますが、過去に(ロシア帝国崩壊後に)同等身分ではない者と結婚し、貴賤結婚として帝室の一員からはずされた人たち(の子孫)が存在します。
 これらの人々はロマノフ家協会(Romanov Family Association)という団体を結成し、マリヤ女大公殿下の系統と対立してきました。
 が、高齢の人物たちの薨去などにより、男系男子自体が減少し、動向自体もあまり報じられてこなかったのですが……。
 そのうちの一人、ロスティスラフ・ロスティスラヴォヴィチ・ロマノフ公子殿下(His Highness Prince Rostislav Rostislavovich Romanov【Romanoff】)が2021年9月12日に宗教婚をおこなうとの予定が発表されました。

関連:
 宗教婚予定?(2021年9月12日?):ロスティスラフ・ロマノフ公子殿下夫妻がロシア正教会の宗教婚をパリでおこなう予定との情報

 上記記事にも追記しましたが、殿下自らによるとされるプレスリリースが回付され、その中では自身には(His Imperial Highness)が使用されています。
(このプレスリリースは、どこか信頼できるサイトが掲載したらリンクします)

 また、ロマノフ家協会に属するものでロシア帝位を主張する者はいないとするものの、一方で、最年長系統の男系男子をアンドレイ・アンドレーエヴィチ公子(Prince Andrei Andreevich)、ロマノフ家協会会長をオリガ・アンドレーエヴナ公女(Princess Olga Andreevna)と表記するなど、以前からの主張を掲載しています。
 ただし今回の宗教婚自体にロマノフ家協会や上記のお二人が関わっているかはまだわかりません(参列者がはっきりしないとわかりません)。
※なお、このままの状況ですと。いずれはロスティスラフ公子が最年長系統の男系男子となります。

 前夜におこなわれる夕食会には、フランス駐箚のロシア大使が参列するとのことで、教会はマリヤ女大公殿下を支持し、政府はロマノフ家協会よりの立場を取る(ことがある)という従前からの状況が存続しているのではないかとも思わされます。

 

 上記に関連したことなのか、あるいは別件で出てきたことなのかわかりませんが、マリヤ女大公殿下を支持するサイト「The Russian Legitimist」が、上記の方々をロシア帝室のメンバーではないとする記事を掲載。

 (英語)A New Article on the 1938 Declaration is posted in FAQ section! — The Russian Legitimist

Last week, a social media site described Andrew Romanoff (born in 1923) as Head of the Russian Imperial House and also referred to his half-sister Olga Romanoff (born in 1950) and his cousin Rostislav Romanoff (born in 1985) as members of the Imperial House.

These three individuals do indeed descend in the direct male line from members of the Imperial House, but they are not themselves members of the imperial dynasty.

 記事内容からすると、先週、ソーシャルメディアで、アンドレイ公子をロシア帝室当主、オリガ公女や(今回宗教婚をおこなう)ロスティスラフ公子を帝室のメンバーとする表記があったようです(正直、この書き方だと、誰かその辺りの人が適当に書いたとも取れるので、状況がよくわかりませんが)。

 ともあれ、このような表記に対して、彼らは貴賤結婚の子孫で帝室の子孫ではないとし、1938年の宣言文書を持ち出してきています。
 これははっきりいって苦しい言い訳です。
 というのも、彼ら貴賤結婚の子孫が帝室に含まれないのは、別に1938年の宣言が理由ではなく、ロシア帝室の結婚に関するルールが同等身分間の結婚以外をするものを帝室の一員と認めないものだからです。1938年の宣言はそれを確認した(らしい)というだけで、言ってしまえばたいした意味はありません

 ではなぜ1938年の宣言を持ち出してきたのか?
 それは、彼らの支持するマリヤ女大公殿下の継嗣ゲオルギー大公殿下が、今回同等身分でない人物と結婚するからで、これは(これまでのマリヤ女大公殿下の系統の主張をすべて認めたとしても)ルールからすればアウトです。
 なのでルールを持ち出せないので、根本であるルールではなく、1938年に現状を確認した(らしい)文書を持ち出してきたわけです。

 「そんなルールは時代遅れでは?」という意見ももちろんでしょう。
 しかし、今回、マリヤ女大公殿下は、ルールに対してなんら発表をしていません。これまで傍系の人物らを貴賤結婚として排除してきたルールを変更するともいっておらず、自分の子供だけはルールを無視してもスルー、では、どうも釈然としないものが残ります。
 もちろん傍系の子孫らがもうロマノフに興味を失っているのならば、女系だろうと、同等身分でなかろうと、それでもいいでしょう。ゲオルギー大公殿下もそれなりに年をとってしまっており、この問題のために結婚が遅れているのはあきらかです。そこに同情する人々もいます。
 しかし、排除されてきた貴賤結婚の子孫の人々のうちの一人ロスティスラフ公子殿下が、どうやら納得していないというのもあきらかです。女系ではニコライ2世の妹の子孫であり、支持する人もいますし、排除されてきたことに同情する人々もいます。
 そんなわけでこの問題はまだまだ続きそうです。

 

 そしてロスティスラフ公子夫妻には男子が一人いますが、結婚するよりかなり前に生まれており、伝統的には(どちらにせよ)帝室の一員とみなされません。
 ロスティスラフ公子が自身の子供をどう扱うつもりなのかはわかりませんが(プレスリリースには特に表記無し)、もし自身の子供を帝室の一員として扱うとなると、また異論が発生するかもしれません。

 

 とまあ、これが説明のすべてではありませんが、正直なんでこんなことになってしまったのかと思うところがあります。
 もちろん争いのある(旧)王室は他にもいくらでもありますが……。