ガーナ伝統的君主:アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下夫妻が、宮殿で新型コロナウイルス感染症【COVID-19】のワクチンを接種(2021年3月)元・摂政のマンポン公も接種

 2021年3月2日、ガーナ共和国の伝統的君主/アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下(アシャンティ皇帝 : His Royal Majesty Otumfuo Osei Tutu II, King【Emperor】 of the Ashanti Kingdom【Empire of Ashanti】【Asantehene of Asante】, Kumasehene of Kumasi)とジュリア・オセイ・トゥトゥ令夫人(Lady Julia Osei Tutu)は、マンヒヤ宮殿【マンヒア宮殿】にて、新型コロナウイルス感染症【COVID-19】のワクチンを接種しました。

 陛下自身の精神を浄める儀式の後に接種したと報道されていますが、ガーナで一斉に接種が始まった日なので、単に日が重なっただけなんでしょうか。

 下記の記事と Facebook の投稿によると、陛下と令夫人の他に重要人物らしき二名の名があります。

Photos have popped up showing Otumfuo, Lady Julia, Mamponhene Daseebre Nana Osei Bonsu II, and Mamponhemaa Nana Agyakoma Difie II, taking turns to take the vaccine

Today, March 2, 2021, Otumfuo Osei Tutu II, Asantehene; Lady Julia Osei Tutu, wife of Asantehene; Daasebre Nana Osei Bonsu II, Mamponghene, and Nana Agyakoma Difie II, Queen mother of Mampong took the covid-19 vaccine at the Manhyia Palace, Kumasi – Ghana.

 このうち、ダアセブレ・ナナ・オセイ・ボンス2世Daasebre Nana Osei Bonsu II, Mamponghene)は20世紀末にアシャンティの摂政を務めていた人物です。
 マンポン(Mampong)というところの伝統的君主で、アシャンティ王の麾下ととらえればマンポン公、アシャンティ皇帝の麾下ととらえればマンポン王となるでしょう。
 
 もう一人のナナ・アグヤコマ・ディフィエ2世Nana Agyakoma Difie II, Mamponhemaa【Queen mother of Mampong】)は片方では Queen mother(クイーン・マザー)と書かれています。
 マンポン公の母ではないと思いますが……。
 アフリカでは一族がクイーン・マザーに就任することもあるので、縁者ではあると思います。
 クイーン・マザーと書かれると、やっぱりマンポンとしたほうが良いのかと思ってしまいますが、その場合はアシャンティ皇帝と書かないとあわなくなりますので、ややこしいですね。

 

 (英語)Asantehene Otumfuo Osei Tutu And Wife Lady Julia Take COVID-19 Vaccine Jab After Soul Cleansing ▷ YEN.COM.GH

 

Today, March 2, 2021, Otumfuo Osei Tutu… – Manhyia Palace Events & Photos | Facebook

ガーナ伝統的君主:アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下に対し、野党・国民民主会議【NDC】が訴訟を起こす模様(2020年12月)今月の総選挙でアシャンティ王が不正を指揮したと主張

 ガーナ共和国の伝統的君主/アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下(アシャンティ皇帝 : His Royal Majesty Otumfuo Osei Tutu II, King【Emperor】 of the Ashanti Kingdom【Empire of Ashanti】【Asantehene of Asante】, Kumasehene of Kumasi)に対し、同共和国の最大野党(二大政党のひとつ)・国民民主会議【NDC】が訴訟を起こすという記事が配信されています。

 今月【2020年12月7日】、ガーナ共和国では大統領選挙と議会選挙をあわせた総選挙がおこなわれており、大統領選挙は現職のガーナ共和国大統領ナナ・アド・ダンクワ・アクフォ=アド閣下(His Excellency Nana Addo Dankwa Akufo-Addo)、議会選挙も与党・新愛国党【NPP】が NDC を上回る結果が出ています。
  NDC 大統領候補のジョン・ドラマニ・マハマ(前)大統領は結果の受け入れを拒否しており、当面のところは選挙結果に関する異議の申し立てが続きそうです。
 そしてその一環として、同共和国の最大州アシャンティ州において、アシャンティ王が現職・与党を勝利させるために、不正を指揮したとの訴えを起こすことと、その前に王のマンヒヤ宮殿【マンヒア宮殿】の前で抗議活動をおこなうようです(普通?の抗議活動なのか、アフリカによくある歌ったり踊ったり回ったりするやつなのかはわかりません)。

 ここまでの現大統領および与党と、アシャンティ王の関係を見てくると、まず、両者の関係が悪化。
関連:
 ガーナ共和国のアシャンティ王オトゥムフォ・ナナ・オセイ・トゥトゥ2世陛下が、大統領の甥や側近が自分を罵っていると(別件で宮殿を訪問した)大統領が議長を務める与党・新愛国党【NPP】の幹部や政治家らに激怒、幹部らは謝罪したとの記事が(2018年5月)

 大統領が関係の正常化を図ります。
関連:
 ガーナ大統領アクフォ=アド閣下が、アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下を訪問の予定。大統領による謝罪か弁明がおこなわれるとみている記事が配信(2018年5月)

 その後、大統領の母方の家系であるアキーム・アブアクワ王の式典にアシャンティ王が臨席するという関係が改善されたとみられる出来事がありました。
関連:
 ガーナ伝統的君主:アキーム・アブアクワ王ナナ・オフォリ・アッタ1世(現大統領の母方の祖父)崩御75周年式典。アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下が臨席(2018年8月)

 一方、そのアキーム・アブアクワ王と野党が激しく対立。
関連:
 ガーナの政党「国民民主会議 【NDC】」の地方幹部が、アキーム・アブアクワ王オサグイェフオ・アモアティア・オフォリ・パニン陛下及び同地の住民を「マハマが大統領になる前は動物と同じ水を飲んでいた」と評した件で王国側が激怒。書面での謝罪を拒否し、公共の場での謝罪などがおこなわれない場合、900以上の町村で活動を禁止すると宣言(2019年9月)

 ローリングス(元)大統領の葬儀をめぐる争いが与野党で発生します。
関連:
 ガーナ伝統的君主:アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下が、死去したジェリー・ローリングス(元)大統領に弔意を表明(2020年11月)与党・新愛国党【NPP】と野党・国民民主会議【NDC】に、葬儀などをめぐる争いをやめるよう要求

 そして選挙当日。
関連:
 ガーナ伝統的君主:アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下夫妻らがガーナ共和国総選挙の投票へ(2020年12月)

 以上のことなどから、大統領とアシャンティ王の関係は、一次の悪化の後に良好となっており、アシャンティ王が現職大統領を支持していることは間違いないでしょう。
 また、アシャンティ王が命令すれば、選挙での不正くらいは起こせそうではあります。
 一方、今回の選挙結果は、事前の選挙情勢分析のいくつかの予想にほぼ当てはまるものであり、順当な結果のうちとも取れます。

 

 (英語)NDC to petition Asantehene over 2020 general election outcome [ARTICLE] – Pulse Ghana

#PulseElectionsさんはTwitterを使っています 「NDC to petition Asantehene over 2020 general election outcome https://t.co/Ys9nFbwds9 https://t.co/vHiFI1u5yg」 / Twitter

 

 (英語)Ghana Election 2020: NDC To Petition Otumfuo Over Alleged Irregularities In Ashanti Region » GhBase•com™

 

ガーナ伝統的君主:アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下夫妻らがガーナ共和国総選挙の投票へ(2020年12月)

 ガーナ共和国総選挙の開票が始まっています。
 当然それより前のことになりますが、ガーナ共和国の伝統的君主/アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下(アシャンティ皇帝 : His Royal Majesty Otumfuo Osei Tutu II, King【Emperor】 of the Ashanti Kingdom【Empire of Ashanti】【Asantehene of Asante】, Kumasehene of Kumasi)とジュリア・オセイ・トゥトゥ令夫人(Lady Julia Osei Tutu)が投票をおこなったようです。

 おそらくですが、現職のガーナ共和国大統領ナナ・アド・ダンクワ・アクフォ=アド閣下(His Excellency Nana Addo Dankwa Akufo-Addo)と与党・新愛国党【NPP】に投票したのではないかと思います。

 ガーナ総選挙では大統領選挙と議会選挙がおこなわれ、大統領選挙では現職とジョン・ドラマニ・マハマ(前)大統領の事実上の一騎打ち、議会選挙は与党・新愛国党【NPP】と野党・国民民主会議【NDC】の争いが主流となります。

 現在の報道による情勢では大統領選挙は現職有利、議会選挙でも与党が有利と見られます。
 (英語)Ghana Election 2020
 アシャンティ王の地元アシャンティ州は同国の最大人口を誇り、今回の投票結果で明らかに現職・与党を支持する結果が出ています。大統領の地元イースタン州(東部州)よりも支持が強いというのは正直解せないレベルですが……。

 

 (英語)Asantehene Otumfuo Osei Tutu II, wife cast their ballot

 

GhanaWebさんはTwitterを使っています 「Already, a number of dignitaries have cast their ballots. Continue Reading >> https://t.co/wS5YXbOyHa」 / Twitter

 

GhanaWeb – The Asantehene, Otumfuo Osei Tutu II has cast… | Facebook

 

ガーナ伝統的君主:アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下が、死去したジェリー・ローリングス(元)大統領に弔意を表明(2020年11月)与党・新愛国党【NPP】と野党・国民民主会議【NDC】に、葬儀などをめぐる争いをやめるよう要求

 ガーナ共和国の伝統的君主/アシャンティ王オトゥムフオ・オセイ・トゥトゥ2世陛下(アシャンティ皇帝 : His Royal Majesty Otumfuo Osei Tutu II, King【Emperor】 of the Ashanti Kingdom【Empire of Ashanti】【Asantehene of Asante】, Kumasehene of Kumasi)は、11月12日に死去したガーナ共和国(元)大統領ジェリー・ジョン・ローリングス退役空軍大尉閣下(His Excellency the Former President of Ghana, Flt Lt (rtd) Jerry John Rawlings)に弔意を表明しました。

 また、ローリングス(元)大統領の葬儀などを巡って、与党・新愛国党【NPP】と野党・国民民主会議【NDC】が争っていることについて、やめるよう要求しました。

 ローリングス(元)大統領は、アフリカで有数の有力な政治家で、国民民主会議【NDC】の設立者です。
 ガーナ共和国大統領ナナ・アド・ダンクワ・アクフォ=アド閣下(His Excellency Nana Addo Dankwa Akufo-Addo)率いる与党・新愛国党【NPP】がローリングス(元)大統領の葬儀を仕切り、自身らこそがローリングス(元)大統領の後継者であるかのように見せかけようとしているとして、 NDC から批判が起こっているという状況です。

 

 (英語)Don’t Fight Over Rawlings' Death – Otumfuo To NPP, NDC

 

Modern GhanaさんはTwitterを使っています 「Don’t Fight Over Rawlings' Death – Otumfuo To NPP, NDC https://t.co/KCwqISG5CA」 / Twitter

 

Don’t Fight Over Rawlings' Death –… – Modern Ghana Web | Facebook

 

ガーナ伝統的君主:エイダ大首長ネネ・アブラム・カブ・アクアク3世が、ジョン・マハマ前大統領を「ネネ・カボ・オデイ・ペオ1世」に即位(?)させる(2020年10月)ガーナ大統領選挙・総選挙をめぐる動き

 2020年10月27日、ガーナ共和国の伝統的君主、エイダ大首長ネネ・アブラム・カブ・アクアク3世Nene Abram Kabu Akuaku III, Paramount Chief of Ada)が、ジョン・ドラマニ・マハマ前大統領(John Dramani Mahama)を「ネネ・カボ・オデイ・ペオ1世Nene Kabo Odey Peo I)」に即位(?)させたという記事が出ています。

※地位というか称号というかはさっぱり書かれていないので、統治名っぽい名前だけかと思います。

 大首長の下位の首長であると思われるネネ・オビチェレ3世Nene Obichere III, Manklalo of Ada)が、マハマ前大統領の大統領時代の功績をたたえ、再び大統領として完了させられなかったプロジェクトに取り組んでほしい旨を述べています。

 また、“クイーン・マザー”であるナアナ・カブクオル・ドゥマアレイNaana Kabukuor Dumaaley, Paramount Queen-mother of Ada)は、(たぶん)彼女の要望通りマハマ前大統領が副大統領候補に女性を選んだことに対してお褒めの言葉を述べているのだと思います。

※「Nene」や「Naana」は、ここでは名前の一部ではなく称号的意味合いだと思いますが、はっきりしません(名前の一部である場合もあります)。

 

 (英語)Ada Paramount Chief installs Mahama as Nene Kabo Odey Peo I | News Ghana

News GhanaさんはTwitterを使っています 「#Politics #Ada #GNA Ada Paramount Chief installs Mahama as Nene Kabo Odey Peo I https://t.co/oel4Uvm9gi https://t.co/rLdqEyDJVZ」 / Twitter

 

 ガーナ共和国では2020年12月7日に大統領選挙・総選挙が迫っており、大統領選挙に関しては、マハマ前大統領とガーナ共和国大統領ナナ・アド・ダンクワ・アクフォ=アド閣下(His Excellency Nana Addo Dankwa Akufo-Addo)の(事実上の)一騎打ちとみられています。
 アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下(アシャンティ皇帝 : His Royal Majesty Otumfuo Osei Tutu II, King【Emperor】 of the Ashanti Kingdom【Empire of Ashanti】【Asantehene of Asante】, Kumasehene of Kumasi)の意中の候補はどちらかという記事が配信されたりもします。

 アクフォ=アド大統領は、父親は大統領、母親はアキーム・アブアクワの王族、とサラブレッドもいいところの血統ですが、それゆえにアシャンティ王の権威に挑戦・激怒させるようなところもありました。
 しかし、アキーム・アブアクワの式典へアシャンティ王が臨席したことで、この辺りの関係は良好になっていると思われます。
関連:
 ガーナ伝統的君主:アキーム・アブアクワ王ナナ・オフォリ・アッタ1世(現大統領の母方の祖父)崩御75周年式典。アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下が臨席(2018年8月)

 

 今回のマハマ前大統領の即位(?)の真意は不明ですが、前大統領側から求めたものであるようで、伝統的価値観をおろそかにしていないというアピールか、首長への即位による箔付けかと思います(箔付けになるのかと聞かれるとよくわからないのですが)。