訃報(2023年7月20日):ジュナーガド藩王位継承者ムハンマド・ジャハーンギール・ハーンジ殿下が薨去(1955?1956?~2023)パキスタン首相シャバーズ・シャリフ閣下が弔意を表明

 2023年7月20日、インドのジュナーガド藩王位継承者“ナワーブ”ムハンマド・ジャハーンギール・ハーンジ殿下(His Highness Nawab Mohammad Jahangir Khanji, Nawab of the Junagadh State)が薨去したようです。
 1955年または1956年生まれの67歳と報じられています。

 ジュナーガド藩王国は、インドとパキスタンの分離の際に、当時の藩王(ムスリム)と多数住民(ヒンドゥー)の宗教が食い違っており、藩王はパキスタンへの帰属を宣言したために、現在はインド領となっているものの、パキスタン側が自国領土と主張するケースがあります。
 薨去した殿下も、ジュナーガドの独立や、パキスタンへの帰属を望んでいたようです。

 薨去に伴い、継嗣の“ナワーブザーダ”ムハンマド・アリー・モルタザ・ハーンジNawabzada Mohammad Ali Murtaza【Murtaxa】 Khanji)が新たにナワーブ(Nawab)の称号を引き続き藩王位の継承者となります。

 

 (英語)Nawab of Junagadh, who championed accession, passes away – Pakistan – DAWN.COM
 (英語)Nawab of Junagarh State Jhangir Khanji passes away | Pakistan Today
 (英語)Nawab of Junagarh Jahangir Khanji dies of cancer – Pakistan – Dunya News
 (英語)Nawab of Junagarh Muhammad Jahangir Khanji passes away

 

 パキスタン・イスラム共和国首相シャバーズ・シャリフ閣下が弔意を表明しています。

 (英語)MINISTRY OF INFORMATION AND BROADCASTING (MOIB), PAKISTAN | PM Shehbaz expresses grief over demise of Nawab of Junagarh
 (英語)PM Shehbaz expresses grief over demise of Nawab of Junagarh

 

BOL News:
Sad News For Junagadh State | Nawab Muhammad Jahangir Passed Away | Breaking News – YouTube

 

BOL News:
Nawab of Junagarh Muhammad Jahangir Khanji Funeral Prayers Performed | Breaking News – YouTube

インド君主諸家/ハイデラバード王位継承者アズメット・アリー・ハーン殿下(アズメット・ジャー)の一族が、別の人物を擁立(2023年2月~3月)

 2023年1月に、インドのハイデラバード藩王位継承者バルカト・アリー・ハーン殿下(ムカッラム・ジャー)(アーサフ・ジャー8世)が薨去したことに伴い、長男のアズメット・アリー・ハーン殿下(アーサフ・ジャー9世 : His Exalted Highness Mir Azmet Ali Khan, Asaf Jah IX : アズメット・ジャーAzmet Jah)が新たな継承者となりましたが、同王朝の親族(または一部親族)が別の人物を擁立したと報じられています。

 ラウナック・ヤー・ハーンRaunaq Yar Khan)という人物が擁立されたようです。ハイデラバード藩王マフブーブ・アリー・ハーンの曾孫という話や別の系譜の説明もありますが、詳細は不明。

 記事から見ると、別人物を擁立した一族の主な主張は、(当主は英国ではなくハイデラバードにいるべき、という主張もありますが)王朝の当主は財産を使って一族の面倒を見るべきということになりそうです。
 べき論はともかく、インドでは州政府が何か規定を設けていなければ、すでに所有権のあるものは単なる私有財産になると思うので(私有財産でなくても一族の面倒を見るべきかはともかく)、その辺りがどうなっているのかというところでしょうか。

 

 (英語)Asaf Jahi family coronates Raunaq Yar Khan as Nizam IX, slams Azmet Jah | Asaf Jahi family coronates Raunaq Yar Khan as Nizam IX, slams Azmet Jah
 (英語)1 throne, 2 heirs? Why Asaf Jahi dynasty chose Raunaq Yar Khan over Azmet Jah as Hyderabad Nizam – The South First

 

XユーザーのAjay Tomarさん: 「#Telangana: In a ceremony, Raunaq Yar Khan was crowned as 9th titular #Nizam of #Hyderabad. This is after #MukarramJah's ( Nizam 8) son Azmet Jah was anointed as 9th Nizam in Jan. "Jah had no interest in welfare of Asaf Jah family so we choose Khan" a member to @TheSouthfirst https://t.co/rnznZuxrcc」 / X
https://x.com/ajaytomarasks/status/1631296899285237765

 

South First:
#Hyderabad – Raunaq Yar Khan coronated as #Nizam IX – YouTube

 

 その後も活動しているようです。

 (英語)TANA invites the 9th head of the Asaf Jahi Dynasty of Nizams, Raunaq Yar Khan-Telangana Today

 

HYBIZTV HD:
Raunaq Yar Khan Appointed 9th Nizam of the Asaf Jahi Dynasty | Hybiz tv – YouTube

訃報(2023年1月15日):インド君主諸家/ハイデラバード藩王位継承者バルカト・アリー・ハーン殿下(ムカッラム・ジャー)(アーサフ・ジャー8世)が薨去(1933~2023)

 2023年1月15日、インドのハイデラバード藩王位継承者バルカト・アリー・ハーン殿下(アーサフ・ジャー8世 : His Exalted Highness Mir Barakat Ali Khan, Asaf Jah VIII : ムカッラム・ジャーMukarram Jah)が、トルコのイスタンブールで薨去したようです。
 1933年10月6日生まれの89歳。

 英国植民地の中で最大の領域を誇った、かつてのハイデラバード藩王国の藩王位の継承者です。

 薨去に伴い、子息のアズメット・アリー・ハーン殿下(アーサフ・ジャー9世Azmet Ali Khan, Asaf Jah IX : アズメット・ジャーAzmet Jah)が新たな継承者となります。
 1960年7月23日生まれの62歳。

 

 (英語)Mukarram Jah, Eighth Nizam of Hyderabad, Passes Away

 

追記:
 戴冠式の報道が出ています。

 (英語)In Hyderabad, Azmet Jah coronated as successor of Mukarram

Hyderabadnews Urdu:
Update Video of Nawab Azmat Jah's Coronation Ceremony @ Chowmahalla Palace – YouTube

 

関連:
 インド君主諸家/ハイデラバード王位継承者アズメット・アリー・ハーン殿下(アズメット・ジャー)の一族が、別の人物を擁立(2023年2月~3月)

殉教者・カヘティ王妃聖ケテヴァンの不朽体(聖遺物)がインドからジョージア【グルジア】に(2021年7月)大統領・両外相らが大聖堂の式典に参列するも、バグラチオン王朝からの参列者なし(たぶん)

 2021年7月9日、キリスト教/東方正教会/ジョージア正教会【グルジア正教会】の殉教者・カヘティ王妃聖ケテヴァン(Saint Queen Ketevan of Kakheti)の不朽体(聖遺物)がインドからジョージア【グルジア】にもたらされました。

 

 (英語:インド外務省 公式サイト)External Affairs Minister at the ceremony to mark the return of the holy relics of St. Queen Ketevan in Georgia

Ministry of External Affairs, India(インド外務省 公式チャンネル):
EAM at the ceremony of Handing over of holy relics of Queen St.Ketevan – YouTube

 

ジョージア大統領コメント/
Salome Zourabichvili(サロメ・ズラビシヴィリ公式チャンネル):
პრეზიდენტის კომენტარი ქეთევან დედოფლის წმინდა ნაწილების საქართველოში გადმოსვენებასთან დაკავშირებით – YouTube

 

 (ジョージア語【グルジア語】:ジョージア正教会【グルジア正教会】総主教庁 公式サイト)საქართველოს საპატრიარქო | დიდმოწამე ქეთევან დედოფლის წმინდა ნაწილი საქართველოს მართლმადიდებელ ეკლესიას გადმოეცა

 (英語)Georgian Church receives relics of St. Ketevan from Indian gov’t / OrthoChristian.Com

 

 聖ケテヴァンは、現在のジョージアの東部に成立していたカヘティ王国の王妃(&王太后)であり、サファヴィー朝のアッバース1世にイスラム教への改宗を要求されたため拷問を受け殉教したとされています。
 その遺骨などはカトリックの聖職者によってインドにもたらされます。
 インドでは、自国に現在あるものについては、インドの文化的遺産として扱うため、他国に渡す理由がありません。したがって今回の“返還”はインド首相ナレンドラ・モディ閣下の英断となるわけです。
 今回、インド側が特殊な決断をした上に外務大臣スブラマニヤム・ジャイシャンカル閣下がジョージアを初訪問までしたその目的についての考察はやや錯綜しており、ロシアへの牽制を読み取るものや、あるいはコーカサスへの足掛かりをえて婉曲的に中国への牽制をしている、あるいはイスラムvs非イスラムの対立を構築する作戦という見方もあります。しかし、いずれにせよちと説得力が足りないように思います。はっきりいってよくわかりませんが、当サイトの考察対象ではないのでここまでにしておきます。
 ジョージア側では、副首相・外務大臣ダヴィト・ザルカリアニ閣下が対応をおこないました。

 重要なのは、7月10日には、ジョージアの首都トビリシの至聖三者大聖堂で記念式典がおこなわれたことであり、ジョージア正教会から首座代行であるセナキ・チホロツク府主教シオ座下(His Eminence Metropolitan Shio of Senaki and Chkhorotsqu)が臨席しています。
 事前には総主教イリア2世聖下の臨席という話も出ましたが、高齢と体調の問題で動くのも難しいのかもしれません。
 また、記念式典には、ジョージア大統領【グルジア大統領】サロメ・ズラビシヴィリ閣下(ズラビシュヴィリ大統領)も臨席しています。

 そしてようやくここからが当サイトの本題となります。
 ジョージア王室、あるいはバグラチオン王朝の当主は二系統にわかれて対立を続けています。
 男系では年長系統ながら、長らく君主の位から離れていたムフラニ系統。
 そして、ジョージアの最後の統一的な王の系統であるグルジンスキー系統。
 動画やその他記事を見る限りでは、両系統ともこの重要な式典に臨席していません。
 ムフラニ系ジョージア王室当主/ジョージア皇太子ダヴィト殿下(ムフラニ公 : His Royal Highness The Crown Prince Davit of Georgia, Royal Prince of Kartli (Batonishvili), Prince of Mukhrani and Mukhran Batoni : ダヴィト・バグラチオニ=ムフラネリ公子 : Prince Davit Bagrationi-Mukhraneliダヴィト・バグラチオン=ムフランスキー公子 : Prince Davit Bagration-Moukhransky)は、グルジンスキー系統の元妻からの暴行・DVでの提訴を受けジョージアを離れています。臨席しようがありません。
 一方、グルジンスキー系統のジョージア皇太子ヌグザル殿下(His Royal Highness Crown Prince Nugzar of Georgia : ヌグザル・バグラチオン=グルジンスキー公子 : Prince Nugzar Bagration-Gruzinskyヌグザル・バグラチオニ=グルジンスキー公子 : Prince Nugzar Bagrationi-GruzinskiBatonishviliTsarevich)もまた臨席していません。

 聖ケテヴァンは、ムフラニ系の男系女子であり、またヌグザル殿下の直接の先祖になります。
 そして、バグラチオン王朝関連の出来事で、今回より大きなことは当分ない、下手したらもうないということです。
 このような状況で臨席が実現しなかったのは、もはや政府も教会も両系統共に王室当主として扱う気が薄れているのではないかという気がします。
 王政復古どころか当主として扱われないという、なんとも情けない有様になってしまいましたが……。そもそも先祖の遺骨の返還に呼ばれないという時点で、もうどうにもならないでしょう。
 最大の王政復古支持者である総主教イリア2世聖下は高齢で、後継と目されるシオ府主教は、コンスタンティノープルがロシア正教会の管轄権下にあるウクライナに対して起こした勝手な行動に起因するシスマ2018が遠因で、コンスタンティノープルを支持する聖職者らとの教会内闘争に入りつつあり、教会は王政復古を支持するどころではありません(これは東方正教会全域がそうで、もはやルーマニアやブルガリア、セルビアですら王政復古は不可能です。なにかすると、コンスタンティノープルが介入してきて荒れる可能性があるのでは、王政復古による社会の安定など戯言にしかなりません)。
 ジョージア政府にしても、今までメインで支持してきたムフラニ系のダヴィト殿下がこんなことになってしまった以上、やる意味も見いだせないでしょう。そもそも彼らが本気でダヴィト殿下とヌグザル殿下の関係をマネージしなかったことが一因ではありますが……。

 ダヴィト殿下の一子で、ヌグザル殿下の女系孫にもあたるギオルギ殿下の将来に期待する人々もいますが、統一の王室当主として認められる可能性はあるかもしれませんが、それは確実ではありませんし、まして王政復古はもうないと断言していいでしょう。

 

関連:
 ジョージア王女【グルジア王女】アナ殿下が父でグルジンスキー系当主のヌグザル殿下と共に、元夫で対立するムフラニ系当主のダヴィト殿下を「王室の代表者を勝手に名乗るのをやめよ」と提訴(2019年3月)ダヴィト殿下がエリザベス2世陛下に授与した勲章(鳩山(元)総理も授与されているとの噂あり)が一定金額寄付すれば誰でも入手できる説や、ダヴィト殿下側が弁護士がヌグザル殿下を「ジョージア正教会【グルジア正教会】によるDNA検査の結果バグラチオン王朝の一員でないとわかった」(検査機関は否定)とするなど泥沼総決算の予感
 ジョージア王室【グルジア王室】グルジンスキー系当主ヌグザル殿下をはじめとする人々(ムフラニ系含む)が、対立するムフラニ系当主のダヴィト殿下とその弁護士を非難する公式声明を新聞に掲載した模様(2019年4月)

 

訃報(2021年5月28日):インド君主諸家/カッチのマハラジャ、プラグムルジ3世殿下が薨去(1936~2021)新型コロナウイルス感染症【COVID-19】

 2021年5月28日、カッチのマハラジャ、プラグムルジ3世殿下(His Highness Maharrao Pragmalji III, The Maharaja of Kutch)が薨去したと報道されています。
 1936年5月3日生まれの85歳。
 新型コロナウイルス感染症【COVID-19】に関連するものとのことです。

 

 (英語)Gujarat: Maharaja of erstwhile Kutch state dies of COVID-19 complications – The Economic Times