1713年にトランシルヴァニア(現在のルーマニアの一地域)で発見されたスポンシアヌス(Sponsianus : スポンジアン : Sponsian)という名の刻まれた金貨があったらしいです。発見当時、この名前はまったく知られていませんでした。
金貨は、ゴルディアヌス3世やピリップス・アラブスといった、古代ローマ帝国の軍人皇帝の名が刻まれた金貨とともに発見されたようで、スポンシアヌスの金貨が本物であれば、スポンシアヌスはその時代に実在した、ごく短期に君臨した皇帝ないしは皇帝僭称者であったために、歴史に名前が残らなかった人物と推測できます。
が、その後、専門家が、この金貨を偽造品としてしりぞけていました。
よって、スポンシアヌスは実在しないという結論になりそうですが、一方、当時の皇帝乱立状態から、金貨が偽造であったとしても、実在しない人物だとするのには慎重な立場もあったようです(要するに本物の金貨を真似て作った可能性があるという判断なんでしょうか??)。
そして今回、あらためて専門家が調べたところ、摩耗の状態が流通していたということを示していたり、数百年土壌の中にあったり、というようなことが確認できたということです。
論文では、スポンシアヌスは、皇帝ガッリエヌスの時代(260年代~ゴート族などの侵入で混乱)にダキア属州が孤立し、現地の指導者となった(ならざるをえなかった)人物ではないかという可能性を指摘しています。
(英語)Authenticating coins of the ‘Roman emperor’ Sponsian | PLOS ONE
(英語)Gold coin proves 'fake' Roman emperor was real – BBC News
Gold coin proves 'fake' Roman emperor was real https://t.co/PaRE0U4oQX
— BBC News (World) (@BBCWorld) November 24, 2022