南アフリカ伝統的君主/“雨の女王”継承問題:「マサラナボ王女は雨の女王になることに興味はあるのか」と問われた国会議員が「彼女に選択の余地はない」と回答(2022年10月)南アフリカ「共和国」の未成年女子なんですが……

 延々と続いているこの問題ですが、軽くまとめたという感じの英語記事がありました。 
 内容自体は既出のものばかりですが(既出のものが混乱しているという問題はありますけれど)、以下の部分は注目に値すると思います。

 

 (英語)Battle for Modjadji Rain Queen crown is ongoing | Letaba Herald

When asked if Mosalanabo is interested in becoming the Rain Queen, Motshekga said that she does not have a choice as it is her bloodline.

「マサラナボ(王女)が雨の女王になることに興味があるかどうか尋ねられた時に、モツェクガ議員(モチェハ)は彼女の血統がそうなので彼女に選択に余地はないと言った」。

 

 なぜそこで「もちろんだ。彼女は常にそう望んできた」と言えないのか、と困惑させられます。
 王女本人は興味がないと白状しているようなものなのでは。

 

 南アフリカ共和国は国内の伝統的君主の承認をしているとはいえ、それぞれは一市民であるという前提も当然あります。
 各部族の王族かどうかという基準もあるようです(はっきりとしたことはわからないのですが、「王として認めろ」と主張して「王族ですらない」と判決を受けていた例もあるので、なにかあるのだと思ってます)。
 マサラナボ王女は王族として承認されている範囲でしょうし、継承者として認められていましたが、本人が望んでいない状況ではどうするのか。
 未成年女子(現在17歳)に女王になるのを強制するような発言が国会議員から出るようでは、民主主義の共和国ではなく、なんだかよくわからない国です。いやもう、なんだかよくわからない国なんですが

 兄のレクケラ王をたてたモジャジ王室評議会の(動機の根本はともかくとしても)政治家に引き取られたマサラナボ王女が地元にずっとおらず、儀式についても学んでおらず、その状態で来年から女王です、では伝統的でもなんでもないというのは理解できるところです。

 

 とはいうものの、公平に言って、王女は、兄やおじを含む相手と争いになっているような状況で、あえて興味があるとも言いにくいのだという可能性もあります、
 プレトリアにある高等裁判所が彼女自身が(他の関係者を除いて)相談をできる弁護士を選出するよう求めているのも現時点での彼女の考えを早く引き出さないとこの件を終わらせられないからでしょう。

 王女が女王になることを望んでいると回答した場合、モジャジ王室評議会との法廷闘争に入ります。「伝統的指導権と政府の間の枠組みに関する法律」から考えると、王室評議会による君主に関する事項を一方的に変更した決定は同法に違反している可能性は高いので、レクケラ王即位は無効と判断されるかもしれません。

 いずれにせよ、王女がどう考えているか、になるんですが……。

 

関連:
 (インデックス)(2021年)南アフリカ伝統的君主:ロベドゥ人の君主モジャジ(雨の女王)にレクケラ王子殿下が選出された件に関する記事