さて。このバコフ氏は、金持ちの変人なのですが、なぜかロシア帝国を復興するためにロマノフ王朝の後継者を擁立しようと考えました。
そこで、白羽の矢が立てられた一人が、ロマノフ家当主ロシア女大公マリヤ殿下なのですが、マリヤ殿下には婉曲に断られます。
ここでとっととあきらめればいいのですが、なぜかさらに突き進み、ロシア帝室の厳しい同等身分結婚をマリヤ殿下もその他の男系子孫も満たしておらず、その条件を満たすロシア帝位継承者はロマノフ家女系子孫のライニンゲン家直系だ、といいだしました。補足しますと、この考え自体は(あくまで仮定としてですが)たまにそういう意見を表明する人がいたことはいます(現実的にいうとゲフンゲフンもいいところですが)。
そしてライニンゲン男系直系のライニンゲン公子カール・エミッヒ殿下(His Serene Highness Prince Karl Emich of Leiningen)をキリスト教のルター派から東方正教会の信徒に改宗(洗礼名ニコライ・キリロヴィチ)させて皇帝候補として担ぎます。これが“ロシア皇帝ニコライ3世”です。ちなみにカール・エミッヒ殿下は、二度目の結婚が貴賤結婚とされてライニンゲンの跡継ぎからはずされてしまった人です。
いっぽう、バコフ氏は、どこぞの貧乏な国からそこそこのサイズの島を買い取って、その島を独立国としてその貧乏な国に認めさせようという金の力で独立国を作るという計画を発動します。
当初、この“国”は、まんま“ロシア帝国”と呼ばれていましたが、その後“帝座”と名称を変更します。概念的にもローマ教皇聖座を意識したものへ変更をしようとしますが、ムチャやん……。
そして、南太平洋のキリバス共和国に狙いが定められ、政治家の中にも乗り気になる愉快な人も出たのですが、専門家からの否定的な声などもあり、結局破談となります。
その後、アフリカ西部のガンビア共和国が狙われ、バコフ氏とガンビアの間で協定が交わされます。率直な話、この協定の内容は独立国うんぬんとは到底呼べないようなものだと思うのですが、「その一歩だ!」といわれればさようですかというほかありません。
ここでなぜか名前が“ロマノフ帝国”になります。
ともあれ、バコフ氏は、“ニコライ3世”から与えられた称号などを含め、大法官アントン・バコフ公殿下(His Serene Highness Prince Anton Bakov, The Archchancellor of Romanov Empire)と名乗っていたのですが、ロマノフ帝国では単に首相になったりといろいろ忙しいですが、ともあれ本人の脳内ではすでに帝国は成立しているようです。脳外ではリゾート地としての整備が始まっているだけのようですが。ただリゾート地としての整備は本格的なものを目指しているとの分析もあり、いったいこの人はなにがしたいのかハテナマークが頭に浮かぶばかりです。
しかし、ロマノフ家当主ロシア女大公マリヤ殿下らに皇帝候補になるのを(婉曲的に)断られたので、ロマノフ家の血を引くライニンゲン公子カール・エミッヒ殿下(His Serene Highness Prince Karl Emich of Leiningen)をキリスト教のルター派から東方正教会の信徒に改宗(洗礼名ニコライ・キリロヴィチ)させて皇帝候補として担いでいます(“ロシア皇帝ニコライ3世”)。
カール・エミッヒ殿下がなぜこんなことを承知したのかはっきりしたことはわかりませんが、お金に困っていてバコフ氏の献納するお金が欲しかったのか、あるいは二度目の結婚を貴賤結婚とされライニンゲンの跡継ぎからはずされたことで人生を見失ってしまったのか、そういうことであって、ぶっちゃけロシアの皇帝になりたいなどとは思ってないだろうと考えられています。
また、カール・エミッヒ殿下を候補として推すことの是非ですが、貴賤結婚による厳しい制限があったロシア帝室のルールと、その観点からの継承順位を考えるとまったくありえないことではない(ライニンゲン家を推す人もいる)のですが、本人の二度目・三度目の結婚が貴賤結婚だという問題があります(しかしそうだとしても最初の結婚からの長女であるライニンゲン公女ツェツィーリエ殿下(Her Serene Highness Princess Cäcilie of Leiningen)に権利があると考えることもできないことはないですけど)。
追記2:
なお、カール・エミッヒ殿下の子供たちにロシアの称号が併記されたのはまだ見たことがありません。 次の皇帝はどうするのか……。
ともあれ、バコフ氏は、“ニコライ3世”より敬称と称号をいただき、アントン・バコフ公閣下(His Serene Highness Prince Anton Bakov)および大法官(Archchancellor)となっています。もちろん、まじめに受け取る必要はないのですが、いい続ければ夢はかなうかもしれないので、いい続けるでしょう。
12月5日に崩御した旧ルーマニア王ミハイ1世陛下(His Majesty King Michael I【Mihai I】 of Romania)の葬儀が始まったようです。
長女のルーマニア王位守護者マルガレータ陛下(Her Majesty Margareta, the Custodian of the Crown of Romania : ルーマニア皇太子マルガレータ殿下 : Her Royal Highness Crown Princess Margareta of Romania)らルーマニア王室関係者および外国の王室メンバーが臨席。
ルーマニア大統領クラウス・ヴェルナー・ヨハニス閣下(His Excellency Mr Klaus Werner Iohannis)ら政治家らが参列。
キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会の聖職者らが礼拝を執り行います。
長女のルーマニア王位守護者マルガレータ陛下(Her Majesty Margareta, the Custodian of the Crown of Romania)と夫のルーマニア王子ラドゥ殿下(His Royal Highness Prince Radu of Romania):
三女の“イリーナ王女殿下”、四女のソフィア王女殿下、五女のマリア王女殿下:
一列目 向かって左から
スウェーデン王カール16世グスタフ陛下(Carl XVI Gustaf of Sweden : His Majesty The King)、
スウェーデン王妃シルヴィア陛下(シルビア王妃 : Queen Silvia of Sweden : Her Majesty The Queen)、
前スペイン王ファン・カルロス1世陛下(His Majesty King Juan Carlos I of Spain)、
二列目 向かって左から
ルクセンブルク大公アンリ殿下(Henri : His Royal Highness The Grand Duke of Luxembourg)、
ウェールズ公チャールズ皇太子殿下(Prince Charles : His Royal Highness The Prince of Wales)、
三列目 向かって左から
ベルギー王女アストリッド殿下(オーストリア=エステ大公妃 : オーストリア皇子妃 : ハンガリー王子妃 : ベーメン王子妃 : モデナ公妃 : Her Imperial and Royal Highness Princess Astrid of Belgium, Archduchess of Austria-Este, Princess Imperial of Austria, Princess Royal of Hungary and Bohemia, Duchess of Modena)、
オーストリア=エステ大公/ベルギー王子ローレンツ殿下(ロレンツ大公 : オーストリア皇子 : ハンガリー王子 : ベーメン王子 : モデナ公 : His Imperial and Royal Highness Prince Lorenz of Belgium, Archduke of Austria-Este, Prince Imperial of Austria, Prince Royal of Hungary and Bohemia, Duke of Modena)、
(旧)ユーゴスラビア王室(カラジョルジェヴィッチ家)当主で現在セルビア王室を称するユーゴスラヴィア皇太子アレクサンダル2世殿下(His Royal Highness Crown Prince Alexander II of Yugoslavia / Serbia)、
(旧)アルバニア王室(ゾグー家)当主のアルバニア皇太子レカ2世殿下(His Royal Highness Crown Prince Leka II of the Albanians)と(旧)ポルトガル王室(ブラガンサ家)当主のブラガンサ公爵ドゥアルテ・ピオ殿下(His Royal Highness Duarte Pio, Duke of Braganza):
左から
オーストリア=エステ大公/ベルギー王子ローレンツ殿下(ロレンツ大公 : オーストリア皇子 : ハンガリー王子 : ベーメン王子 : モデナ公 : His Imperial and Royal Highness Prince Lorenz of Belgium, Archduke of Austria-Este, Prince Imperial of Austria, Prince Royal of Hungary and Bohemia, Duke of Modena)、
ルクセンブルク大公アンリ殿下(Henri : His Royal Highness The Grand Duke of Luxembourg)、
(旧)ユーゴスラビア王室(カラジョルジェヴィッチ家)当主で現在セルビア王室を称するユーゴスラヴィア皇太子アレクサンダル2世殿下(His Royal Highness Crown Prince Alexander II of Yugoslavia / Serbia)、
ウェールズ公チャールズ皇太子殿下(Prince Charles : His Royal Highness The Prince of Wales)、
ハプスブルク=ロートリンゲン家当主/オーストリア大公カール殿下(His Imperial and Royal Highness Archduke Karl of Austria, Prince Imperial of Austria, Prince Royal of Hungary and Bohemia):
ベルギー王女アストリッド殿下(オーストリア=エステ大公妃 : オーストリア皇子妃 : ハンガリー王子妃 : ベーメン王子妃 : モデナ公妃 : Her Imperial and Royal Highness Princess Astrid of Belgium, Archduchess of Austria-Este, Princess Imperial of Austria, Princess Royal of Hungary and Bohemia, Duchess of Modena)、
オーストリア=エステ大公/ベルギー王子ローレンツ殿下(ロレンツ大公 : オーストリア皇子 : ハンガリー王子 : ベーメン王子 : モデナ公 : His Imperial and Royal Highness Prince Lorenz of Belgium, Archduke of Austria-Este, Prince Imperial of Austria, Prince Royal of Hungary and Bohemia, Duke of Modena)、
後方はハプスブルク=ロートリンゲン家当主/オーストリア大公カール殿下(His Imperial and Royal Highness Archduke Karl of Austria, Prince Imperial of Austria, Prince Royal of Hungary and Bohemia):
(旧)イタリア王室(サヴォイア家)のヴェネツィア公/ピエモンテ公/サヴォイア公子エマヌエーレ・フィリベルト殿下(His Royal Highness Prince Emanuele Filiberto of Savoy, Prince of Venice and Piedmont):
故ルーマニア王女イレアナの娘でルーマニア王室関連の行事に参列の多いオーストリア大公女マリア・マグダレーナ殿下(“マギー”【Magi】 : オーストリア皇女 : ハンガリー王女 : ベーメン王女 : トスカナ大公女 : Her Imperial and Royal Highness Archduke Maria Magdalena of Austria, Princess Imperial of Austria, Princess Royal of Hungary and Bohemia, Princess of Tuscany):
(旧)ロシア帝室ロマノフ家当主ロシア女大公マリヤ殿下:
マルガレータ陛下たちルーマニア王室構成員が、各王室に挨拶:
アレクサンダー・ニクソン閣下(ミハイ陛下の次女エレーナ王女殿下の夫):
キリスト教/東方正教会/ルーマニア正教会の首座/ルーマニア正教会総主教、ブカレスト大主教、ムンテニア・ドブロジャ府主教ダニエル聖下(His Beatitude Daniel, Archbishop of Bucharest, Metropolitan of Muntenia and Dobrudgea and Patriarch of the Romanian Orthodox Church):
ルーマニア大統領クラウス・ヴェルナー・ヨハニス閣下(His Excellency Mr Klaus Werner Iohannis)たち:
Președintele României
Klaus Iohannis
Cu profund regret, am condus astăzi pe ultimul drum un veritabil om de stat, Regele Mihai I, care, cu demnitate și curaj, și-a reprezentat țara în unele dintre cele mai grele vremuri ale istoriei noastre. Am fost impresionat de mulțimea de oameni care s-a alăturat cortegiului funerar, o autentică expresie a iubirii și respectului românilor față de Regele Mihai I. Sunt convins că va rămâne în memoria națională drept un reper de integritate, un simbol al solidarității și al aspirației către libertate.
アラウカニア・パタゴニア公スタニスラス・パルビュレスコ殿下(キディコ子爵 : His Royal Highness Stanislas Parvulesco, Prince of Araucania and Patagonia, Viscount of Quidico)が参列と称した模様。
※いわゆる自称君主(の対立君主)に分類されるのに近い人ですが(しかしギリギリ正統性があると言えなくもないというか……)、ご自身でブログに参列したと書いていたのでリンクしておきます。
(フランス語:アラウカニア・パタゴニア王国【スタニスラス1世派】公式ブログ)La Maison Royale d'Araucanie présente aux obsèques du Roi Michel de Roumanie – Royaume d'Araucanie et de Patagonie.
同殿下が、父であるヴィラリカ公爵・キディコ伯爵コンスタンティン・パルビュレスコ閣下(His Excellency Constantine Parvulesco, Duke of Villarica and Count of Quidico)のぶんもあわせてルーマニア王室へ弔意を表明したとのことです(表明しただけかもしれません)。
※関係者の多数は、スタニスラス1世と対立しているアントワーヌ4世殿下を支持しているとされています。
ペレシュ城にいったん安置されていた、12月5日に崩御された旧ルーマニア王ミハイ1世陛下(His Majesty King Michael I【Mihai I】 of Romania)の棺が、王族の見守る中ペレシュ城から出発し、ブカレストの王宮へと移され、一般弔問などが始まったようです。
葬儀にも参列予定の、旧ブルガリア王シメオン2世陛下(His Majesty King Simeon II of the Bulgarians : 元ブルガリア共和国首相シメオン・サクスコブルクゴツキ : Simeon Saxe-Coburg-Gotha)も訪れ、ミハイ陛下の長女のルーマニア皇太子マルガレータ殿下(ルーマニア王位守護者 : Her Royal Highness Crown Princess Margareta of Romania, the Custodian of the Crown of Romania)と夫のルーマニア王子ラドゥ殿下(His Royal Highness Prince Radu of Romania)と挨拶をかわしたようです。