ナイジェリア伝統的君主:イバダン王サリウ・アカンム・アデトゥンジ陛下の90歳祝賀式典がおこなわれる(2018年8月)

 2018年8月、ナイジェリア連邦共和国オヨ州の伝統的君主のひとり、イバダン王“オバ”・サリウ・アカンム・アデトゥンジ陛下(His Royal Majesty【His Imperial Majesty】 Oba Saliu Akanmu Adetunji, the Olubadan of Ibadan)の90歳記念式典がおこなわれたようです。
 1928年8月26日生まれ。

 

 (英語)Celebrations as Olubadan turns 90 – Daily Trust

Daily Trustさんのツイート: "Celebrations as #Olubadan turns 90 https://t.co/Hrs3vOG6Lw #dailytrust @oyostategovt @AAAjimobi… "

 

 いくつか気になったことや、気になっていることを。

 まず称号は、「Olubadan of Ibadan」と英語では書かれていることが多いのですが、「Olubadan」自体に「Ibadanの統治者」のような意味合いがあるらしいので、意味上は重複しているかと思います。とはいえ、現在のナイジェリアでは普通の書き方になっていますね。

 また、イバダン王ですが、王統のようなものはなく、イバダン王国の二集団から交互に選ばれる、ということのようですが……(詳細未確認)。
 陛下自体は2016年即位との情報があります(いくらなんでももっと若い人にしませんか……??)。

 また、今回の式典ですが、事前にかなり大袈裟な報道がされていたものの、イバダン王国枢密院の枢密顧問官を含む多数の首長が無断で欠席したとの情報があります(州政府主催行事との話もありますが……)。
 訪問が予想されていた大物は、上記記事からは、イフェ王【オオニorオニ】オジャジャ2世、“オバ”・アデイェイェ・エニタン・オグンウシ陛下(His Royal Majesty【His Imperial Majesty】 Oba Adeyeye Enitan Ogunwusi, Ojaja II, The Ooni of Ife)の名前しか見当たりません。

 参列者として以下の方々の名前が挙がっています。

 元オヨ州知事・上院議員ラシーディ・アデウォル・ラドジャ(High Chief Rashidi Adewolu Ladoja, The Osi Olubadan of Ibadan)、イバダン王国枢密顧問官の一人で、「The Osi Olubadan of Ibadan」はイバダン王を補佐する上位の伝統的首長かと思われます(“High Chief”なので)、

 ナイジェリア一の大金持ちこと、ウグボ王“オバ”・フレデリック・オバテル・アキンルンタン陛下(His Royal Majesty Oba Fredrick Obateru Akinruntan, the Olugbo of Ugbo)

 エルワ王“オバ”・サミュエル・アデバヨ・アデグボラ陛下(His Royal Majesty Oba Samuel Adebayo Adegbola, the Eleruwa of Eruwa)、

 など。

 

訃報(2018年8月26日):ナイジェリア/クロスリバー州の伝統的君主の一人で、魔女狩りに関わった疑いで逮捕されていたヘンリー・オコング殿下(70歳)が獄中で死亡。拷問や餓死の疑惑。警察は「独房にいること自体が拷問なのでさらに拷問する方法は無い」と疑惑を否定

 2018年8月26日、ナイジェリア連邦共和国クロスリバー州の、ボキ地域のブアンカーの伝統的君主であるヘンリー・オコング殿下(His Royal Highness Henry Okong)が獄中で薨去したとのことです。

 

 (英語)Cross River monarch dies in police custody – Daily Post Nigeria
 (英語)Police not responsible for Cross River monarch's death in custody – Commissioner – Daily Post Nigeria

 

 「Daily Post Nigeria」以外の記事を見かけないので、全部鵜呑みでいきますが、殿下は、「若者を多数呪い殺した」という疑い(?)のかかっていた老婆への「魔女狩り」に関わった罪で逮捕されていた模様。

 警察による拷問や、食事を与えられずに餓死した、という疑惑が発生しています。

 また、殿下が逮捕される前から病気だった30代の子息も死亡しているとのことです。

 故・殿下らの弁護士が警察を批判(そもそも殿下の事件への関わりから否定)する一方、警察は「独房にいること自体が拷問なのでさらに拷問する方法は無い」などと疑惑を完全に否定。検視解剖がおこなわれるようです。

 

ナミビア伝統的君主:ナミビア政府が、ヘレロ人の大首長ヴェクイイ・ルコロの称号を“格下げ”。大首長(元・法務長官?)は「憲法違反」「ドイツ外務省と大使が関わっている」と非難(2018年8月)ドイツ大使館は関与を否定

 (英語)Rukoro fights village chief status – The Namibian

The Namibianさんのツイート: "Paramount chief Vekuii Rukoro vowed to sue the government if it does not change its intentions to confer him the status of just being the chief of the traditional community of Aminuis. https://t.co/gyt7ngBO2c… https://t.co/e6vgbzBRvF"

The Namibian – Paramount chief Vekuii Rukoro yesterday… | Facebook

 

 ナミビア共和国政府が、同国の伝統的君主のひとり、ヘレロ人の大首長ヴェクイイ・ルコロVekuii Rukoro)の称号を“格下げ”したそうです。

 記事によりますと、“ombara otjitambi”という称号を2016年に承認されているようです。
 ヘレロ人は、ナミビアの構成民族で唯一複数の伝統的君主が存在します(これがドイツの植民地政策の結果かどうかはわかりませんが)。
 “ombara otjitambi”という称号を保有することは、おそらくですが、ヘレロ全体の大首長に近い意味合いなのではないかと思いますが、一方で、他の伝統的君主はその下で指揮を受けるわけではないと思われるので、管轄区域があるのではないかと思います。

 そして、政府、というか現在のナミビア共和国大統領ハーゲ・ガインゴブ博士閣下(His Excellency Dr. Hage G. Geingob)は、今回、ルコロの称号をアミヌイスの首長(Aminuis)としたようです。
 記事によればアミヌイスはすごい田舎のようですが、そもそもここを管轄しているのは、ムバンデル大首長なのではという疑問が。

 ルコロの前任者、クアイマ・リルアコは2014年6月2日に薨去していますが、現在の大統領とリルアコ、ルコロの関係があまり良くなかった/良くないのではないかとも思われます。

 また、ルコロはドイツ外務省と大使を非難(ドイツ大使館は関与を否定)、抗議に対して政府関係者が電話に出ず、WhatsAppでも返事をよこさない、としています(WhatsAppで大首長と閣僚が連絡を取るのがナミビアの現状のようです)。

 ともあれ、政府側が撤回しない場合、訴訟がおこなわれるでしょう。
 ルコロがなぜドイツの関与をほのめかしたのかよくわかりませんが、裁判になれば明らかになるかもしれないし、ならないかもしれません。

 

ガーナ伝統的君主:アキーム・アブアクワ王ナナ・オフォリ・アッタ1世(現大統領の母方の祖父)崩御75周年式典。アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下が臨席(2018年8月)

 2018年8月23日、アキーム・アブアクワ王ナナ・オフォリ・アッタ1世Nana Ofori Atta INana Sir Ofori Atta I, KBE)の崩御から75周年の式典がおこなわれました。

 ガーナの歴史では、The Big Six(偉大な6人)と呼ばれる統一黄金海岸会議という政党を創設したり、有力ポストで活動したりするなどした六人がいます。
 正直この六人がなにをやったのか細かいことはよくしらないのですが、
 六人のうち、ジョセフ・ボアキエ・ダンクアJoseph Boakye DanquahJ・B・ダンクア)はナナ・オフォリ・アッタ1世の弟、
 ウィリアム・オフォリ・アッタは息子、
 エドワード・アクフォ=アド大統領は娘婿(その間に生まれた子供が現在のガーナ共和国大統領ナナ・アド・ダンクワ・アクフォ=アド閣下(His Excellency Nana Addo Dankwa Akufo-Addo)、
 となっているようです。

 式典は現在のアキーム・アブアクワ王オサグイェフオ・アモアティア・オフォリ・パニン陛下(His Royal Majesty Osagyefuo Amoatia Ofori Panin, Okyenhene【King of Akyem Abuakwa】)が執りおこない、アシャンティ王オトゥムフォ・オセイ・トゥトゥ2世陛下(アシャンティ皇帝 : His Royal Majesty Otumfuo Osei Tutu II, King【Emperor】 of the Ashanti Kingdom【Empire of Ashanti】【Asantehene of Asante】, Kumasehene of Kumasi)が招待に応じ訪問しました。

 なお、ジェリー・ジョン・ローリングス元大統領や、政治家ら多数も参列。

 

 両王は友好関係を発展させていくことを宣言した模様です。

 

 (英語)Photos: Otumfuo’s Historic Visit To Okyenhene
 (英語)Asantes, Akyems Will Continue To Live In Peace – Otumfuo, Okyenhene Declare
 (英語)Okyenhene Not My Rival -Otumfuo – Daily Guide Africa

 

ADDRESS BY THE OKYENHENE, OSAGYEFUO… – Office of the Okyenhene | Facebook

The President of the Republic, Nana Addo Dankwa Akufo-Addo

Asantehene, Otumfuo Osei Tutu II

First Lady, Mrs Rebecca Akufo-Addo

※アキーム・アブアクワ王のスピーチですが、呼びかけの一人目が大統領、二人目がアシャンティ王、三人目がファーストレディー(大統領の妻)となっています。なかなか興味深い順番ではあります。

 

 (英語)Asantehene Wants Role Of Traditional Rulers Defined In The Constitution

 式典当日スピーチ、アシャンティ王は、1992年憲法の改正を提案。
 伝統的君主の役割や権限の明確化を求めているようですが……。
 はっきりいって難航必至だと思います。

 なお、同記事によれば、今回の式典、アシャンティ王は、21人の大首長(アシャンティ王は King of Kings なので、この21人あたりが本当は King 扱いされるべきだと考える人がいる)を連れてきたそうです。

 

 式典の翌日、なぜかアシャンティ王が大統領を訪問。

 (英語)Akufo-Addo hosts Otumfuo at Jubilee House | General News 2018-08-24
 (英語)Akufo-Addo Hosts Otumfuo At Jubilee House
 (英語)Otumfuo Meets Nana

 20人の大首長を連れて、となっています(1人減りましたね)。

 なお、数ヶ月前にアシャンティ王が大統領近親および側近に対して激怒した件がありました。
 原因のひとつが、アシャンティ王の評判を落として、彼らの王であるアキーム・アブアクワ王の権威を上げようというような(わかるようなわからないような)動機ではないかと現在では見られているようですが、今回のアシャンティ王とアキーム・アブアクワ王との会見により、とりあえず事態は収束したとみていいのではないでしょうか。

 (英語)Gabby Otchere-Darko pays homage to Otumfuo Osei Tutu at Okyehene's durbar (Photo) ▷ Ghana news | YEN.COM.GH
 (英語)Akyem and Ashanti advance relations | Ghana News Agency (GNA)

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Asantehene Wants Role Of Traditional Rulers Defined In The Constitution https://t.co/putaBIqMrf"

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Photos: Otumfuo’s Historic Visit To Okyenhene https://t.co/fqUF0kBjuM"

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Asantes, Akyems Will Continue To Live In Peace – Otumfuo, Okyenhene Declare https://t.co/V3WLnMiWjb"

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Akufo-Addo Hosts Otumfuo At Jubilee House https://t.co/FjplVTflkV"

 

ModernGhana.comさんのツイート: "Otumfuo Meets Nana https://t.co/nRbUWGleNh"

 

Yen.com.gh – Gabby Otchere-Darko got a chance to meet the… | Facebook

 

Yen.com.gh – The Rawlings' commended the Otumfuo and the… | Facebook

 

 (英語)Otumfuo calls on former president Rawlings ▷ Ghana news | YEN.COM.GH

ジェリー・ジョン・ローリングス元大統領のアカウント:
OTUMFUO CALLS ON RAWLINGS Former… – Jerry John Rawlings | Facebook

 

訃報(2018年8月20日):ナイジェリア伝統的君主オド・オロ王グバデボ・オグンサキン陛下【オロウォセル1世】がナイフで刺殺された模様(?~2018)

 2018年8月20日、ナイジェリア連邦共和国エキティ州の伝統的君主の一人、オド・オロ王グバデボ・オグンサキン陛下(オロウォセル1世 : Oba Gbadebo Ogunsakin, Onise of Odo Oro, Olowoselu I)がナイフで刺殺された模様です。
 陛下は1986年即位ということです。

 犯人(オモニイ・アデモラ・スティーヴンという名前が出ていますが…… : Omoniyi Ademola Stephen)は精神的な問題を抱えていたり、薬物中毒であったり、また王族の一員で自らが正統な王だと思い込んでいたり(?)したようだという記事が出ています。

 

 (英語)Odo Oro Ekiti Regicide: Drug Addict Who Killed Ekiti King Near His Palace Arrested | NaijaGistsBlog
 (英語)Mad Man Kills King In Ekiti: Onise Of Odo Oro Ekiti Oba Gbadebo Ogunsakin Dies Of Stab Wounds | NaijaGistsBlog

 (英語)Man stabs Ekiti Traditional Ruler To Death ▷ Naija News

※ニュース記事が多くて拾えてません。

 

追加:
 (英語)I killed monarch to cliam his throne, says Ekiti murder suspect

 こちらの記事によると、陛下は80歳だったということです。