訃報(2024年6月14日):ナイジェリア伝統的君主/モロア首長タグワイ・サンボ殿下が薨去(1936~2024)58年の統治終わる

 2024年6月14日、ナイジェリア連邦共和国カドゥナ州カウラのモロア首長“アグワム”・タグワイ・サンボ殿下(His Royal Highness Dr Agwam Tagwai Sambo OFR, Chief of Moroa)が薨去したようです。
 1936年12月24日生まれの87歳。

 1966年より同首長の地位にあったようです。

 記事によれば第一級伝統的統治者(First Class Traditional Ruler)のようです。

 

 (英語)Chief of Moroa dies after 58 years on throne – P.M. News
 (英語)Katsina traditional ruler dies after 58 years on throne

ナイジェリア伝統的君主:カノ首長らが強制的に廃位される事態に陥り、現地は不安定化(2024年5月)

 2024年5月23日、ナイジェリア連邦共和国カノ州では、カノ首長アミヌ・アド・バイエロ殿下ら五人が廃位され、2020年にカノ首長を廃位されていた“アルハッジ”・ムハンマドゥ・サヌシ2世殿下(His Royal Highness Alhaji Muhammad Sanusi II, The Emir of Kano : サヌシ・ラミド・サヌシSanusi Lamido Sanusi)をあらためてカノ首長とするように結論が出たようです。
追記:
 連邦高等裁判所が復位の即位式を差し止める命令を出していた模様。また、司法判断がわかれており、誰が現時点で法的に正当なカノ首長であるかはわかりません

※裁判も絡んでややこしいですが、ムハンマドゥ・サヌシ2世殿下の復位と、以下5人の廃位が決まりました。

 カノ首長アミヌ・アド・バイエロ殿下
 ビチ首長ナシル・アド・バイエロ殿下
 ラノ首長カビル・ムハンマド・イヌワ殿下
 カライェ首長イブラヒム・アブバカル2世殿下
 ガヤ首長イブラヒム・アブドゥルカディル殿下
 (カノ首長以外は2019年に新設)

 現地は不安定化しており、またか……という感想です。
 カノ首長に関しては簡略化しますが、
  ムハンマドゥ・サヌシ1世廃位
  → (弟の)アド・バイエロ即位
  → アド・バイエロ崩御 
  → (1世の孫)ムハンマドゥ・サヌシ2世即位
  → ムハンマドゥ・サヌシ2世廃位
  → (アド・バイエロ次男)アミヌ・アド・バイエロ即位
  → アミヌ・アド・バイエロ廃位
  → ムハンマドゥ・サヌシ2世復位
 と、世代を超えて混乱の極みを続けたいのかという展開になっています。

 

 (英語)Sanusi reinstated as Emir of Kano four years after deposition
 (英語)Kano Emirate: Gov reinstates Sanusi after four-year deposition as Assembly sacks emirs
 (英語)Emirate tussle: Court orders Bayero’s eviction, Kano says deposed emir a threat

 (英語)Muhammadu Sanusi, Nigeria's emir of Kano, speaks out after return to throne

 

News Central TV:
The Deposed Emir of Kano, Aminu Ado Bayero, Ordered to Stop Parading as Emir – YouTube

 

州知事は殿下を逮捕するよう指示を出したという報道/
TVC News Nigeria:
Governor Yusuf Orders Arrest Of 15th Emir Of Kano, Ado Bayero – YouTube

訃報(2023年9月9日):南アフリカ/ズールー人のブテレジ氏族長マンゴスツ・ブテレジ王子が薨去(1928~2023)インカタ自由党【IFP】創設者

 2023年9月9日、南アフリカ共和国のブテレジ氏族長マンゴスツ・ブテレジ王子(Prince Mangosuthu Gatsha Buthelezi, Inkosi of the Buthelezi clan)が薨去したようです。
 1928年8月27日生まれの95歳。

 南アフリカ内務大臣、国会議員、クワズールー自治区首相を務め、インカタ自由党【IFP】創設者です。
 また、先代のズールー王の おじ で、1954年から薨去に至るまで長期に渡ってズールー王国宰相を務めています。

 南アフリカ共和国大統領マタメーラ・シリル・ラマポーザ閣下(Matamela Cyril Ramaphosa)より、クワズールー・ナタル州のウルンディで、特別公的葬儀のカテゴリー1での葬儀が宣言されています。
 (英語:南アフリカ政府 公式ウェブサイト)President Cyril Ramaphosa declares Special Official Funeral Category 1, to honour Prince Mangosuthu Buthelezi | South African Government
 大統領経験者として、ジェイコブ・ズマカレマ・モトランテタボ・ムベキが、政治家として、ジュリアス・マレマフロイド・シヴァンブバントゥー・ホロミサなど他党の指導者を含む多数が、ナイジェリアよりオルシェグン・オバサンジョ元大統領が参列。

 

SABC News:
Prince Mangosuthu Buthelezi | Political stalwart has passed on – YouTube

 

SABC News:
Funeral Service of Prince Mangosuthu Buthelezi – YouTube

 

SABC News:
Prince Mangosuthu Buthelezi | Remembering Prince Mangosuthu Buthelezi – YouTube

 

SABC News:
Prince Mangosuthu Buthelezi | The Life and Times – YouTube

 

Eyewitness News:
In memory of Prince Mangosuthu Buthelezi (1928-2023) – YouTube

 

 (英語)IFP founder Mangosuthu Buthelezi has died – The Mail & Guardian
 (英語)This is how Prince Mangosuthu Buthelezi will be buried on Saturday
 (英語)Mangosuthu Buthelezi's burial marks the end of an era | City Press
 (英語)Prince Mangosuthu Buthelezi’s death a ‘big loss’ for Africa, says friend and former Nigerian president Olusegun Obasanjo
 (英語)IFP Memorial Service – Message by HRH Prince Ntuthukoyezwe Zuzifa Buthelezi on behalf of the Buthelezi Family – The Prince Mangosuthu Buthelezi Foundation

 

関連:
 南アフリカ/ズールー人の新たなブテレジ氏族長に先代の子息ズジファ・ブテレジ王子殿下が選出(2023年12月)
 南アフリカ/ズールー王国の宰相にトゥラシズウェ・ブテレジ閣下が任命される(2024年1月)前任の故・マンゴスツ・ブテレジ王子とは血縁関係はない模様

ナイジェリア伝統的君主:ベニン王エウアレ2世陛下が、村を任される八人の世襲の「公」を任命(2022年10月)「公」の敬称は His Royal Highness(殿下)

 ナイジェリア連邦共和国/エド州の伝統的君主、ベニン王エウアレ2世陛下(His Royal Majesty Oba Ewuare II, The Oba of Benin)は、王の管轄する地域にある村を管轄する世襲の八人の公(Enigie : Duke)を任命しました。
 これは即位してから初めての公の任命になるようです。
 今のところの発表を見る限り、彼らは州政府の承認が必要な第二級伝統的統治者ではなさそうです。
 公の敬称は「HRH : His Royal Highness」と王室の殿下のものが用いられており、不自然なくらいに高い気がします。

 

Independent Television and Radio:
Oba of Benin inducts eight new Enigie – YouTube

 

 (英語)Oba of Benin inducts 8 new Dukes

 

 村の名前の発音の確認までできませんが、八人の名前を表記と映像からなんとなく示しておくと、
 アケンズア・イレルーンワ公殿下(His Royal Highness Enigie【Duke】Akenzua Ileruhnuwa
 イマドンムウィニィイ・オグベムディア公殿下(His Royal Highness Enigie【Duke】Imadonmwinyi Ogbemudia
 ウワイフィオクン・フェストゥス・オグボ公殿下(His Royal Highness Enigie【Duke】Uwaifiokun Festus Ogbo
 エグアギエ・オギエアイェヴボナ公殿下(His Royal Highness Enigie【Duke】Eguagie Ogieayevbona
 オウィエ・オサムディアミエン・テリー公殿下(His Royal Highness Enigie【Duke】Owie Osamudiamien Terry
 イグビニドゥ・イドゥオロボ・エルネスト公殿下(His Royal Highness Enigie【Duke】Igbinidu Iduorobo Ernest
 アルフレッド・エルハウイ・オサギー公殿下(His Royal Highness Enigie【Duke】 Alfred Erhauyi Osagie
 イゼヴボクン・ラッキー・オバイシアグボン公殿下(His Royal Highness Enigie【Duke】Izevbokun Lucky Obaisiagbon

記事(英語):ナイジェリアで最も強力な王たち トップ10(2022年9月)

 定期的に見かけるタイプの記事ですが、ナイジェリア連邦共和国で最も影響力のある伝統的君主を10人挙げています。

 

 (英語)Most Powerful Kings in Nigeria (With Pictures): Top 10 – Bscholarly

 

 10人は、

1. Alaafin of Oyo
2. Emir of Kano
3. Sultan of Sokoto
4. Ooni of Ile-Ife:
5. Dein of Agbor
6. Oba of Benin
7. Oba of Lagos
8. Obi of Onitsha
9. Olu of Warri
10. Olubadan of Ibadan

 となっており、

  1. オヨ王
  2. カノ首長
  3. ソコトのスルタン
  4. (イレ=)イフェ王
  5. アグボー王
  6. ベニン王
  7. ラゴス王
  8. オニチャ王
  9. ワリ王
  10. イバダン王

 いずれも記事などで動静がよく報じられる人物たちです(オヨ王は2022年4月に崩御し、空位)。

 1.のオヨ王と、4.のイフェ王は、ヨルバ系の二大君主です。歴史的にもあまり仲がよろしくありません。
 7.のラゴス王、10.のイバダン王もヨルバ系なので、このトップ10ではヨルバ系君主が4人ということになります。イバダン王は最近崩御があり、先代王と確執・騒動があった人物が新たに王となっています。

 2.のカノ首長は、北部イスラム圏ではナンバー2の君主です。
 大きな影響力を誇った先々代のアド・バイエロの薨去後、長男のサヌシ・アド・バイエロではなく、ムハンマド・サヌシ2世(ジョナサン大統領(当時)と対立した中央銀行総裁(当時))が政治的なバランスも考慮されて州知事から指名されていました。
 しかし結局、廃位され、アド・バイエロの次男(?)のアミヌ・アド・バイエロ(ビチ首長という新設の首長になっていた)が継承しています。ビチ首長自体は弟のナシル・アド・バイエロが継承。
 また先述のサヌシ・アド・バイエロは首長位につけておらず、弟の即位後に評議会のメンバーに選出されていますが、将来の継承に影響が出るのかどうかはわかりません。

 3.のソコトのスルタンは、北部イスラム圏でナンバー1の権威の君主です。
 ナイジェリアからのマッカ(メッカ)巡礼を率いる役割を毎年のように大統領から打診されていますが、これが伝統なのかどうかはよくわかりません。

 5.のアグボー王は、(Dein of Agbor)という称号を用いますが、州の伝統的君主の評議会がこの称号を取り消して他の君主らと同じようなものにしようとした結果、抗議活動が起こったりするなどの出来事がありました。

 6.ベニン王、8.オニチャ王に比べると、9.ワリ王の知名度は低かったように思いますが、昨年の戴冠式に大統領経験者やイフェ王の訪問があったり、関連してベニン王との歴史的つながりがあらためて示されたりということがありました。